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「日本一暑いまち」の隣で「高温に強いコメ」を開発 進む温暖化"10年後も美味しいお米を"

RKB毎日放送 / 2024年9月23日 17時0分

近年の記録的な猛暑は主食であるコメの生育にも大きな影響を与えています。

品質の良い1等米の比率は減少傾向で、去年60・9%(速報値)と過去最低となりました。

「高温に強いコメ」の品種改良は、待ったなしの課題です。

さらなる気温の上昇を想定した研究の最前線を取材しました。

「日本一暑いまち」の隣で育つ1000のコメ

RKB 下濱美有記者「9月も下旬にさしかかろうというのに立っているだけで汗が噴き出る暑さです。こうした気象状況に耐えられるお米の開発が進んでいます」

猛暑日の全国記録を更新し「日本一暑いまち」となった福岡県太宰府市。

そのお隣、筑紫野市にあるのが福岡県の農林業総合試験場です。

風に揺れる稲穂の多くは、品種改良中のコメ。その数は、およそ1000に上ります。

福岡県農林業総合試験場 水稲育種チーム 高田元気 チーム長「ここに植わっているのは、今育成中のコメで、1個1個全部違う系統になります。1000系統くらい植わっています。これを収穫して品質や収量を見てよりよいものを選んで最後に選ばれたものが品種になります」

暑さや台風に強いコメを作ろうと、福岡県が研究・開発しているもので、試験に合格したものは、新たな品種として登録されます。

気温35℃の水田で開発された「元気つくし」

福岡県が地球温暖化への対応策として2008年に誕生した品種が「元気つくし」です。水田を35℃に設定して開発されました。

地元福岡では「冷めてもうまい」のフレーズでおなじみの「元気つくし」ですが、実は「高温に強いコメ」で品質の良さも売りです。

コメは、高温障害をおこすと白く濁り品質が落ちます。

暑さに弱いコメが、高温障害で白く濁る環境下でも「元気つくし」はコメの粒が透明だといいます。

福岡県農林業総合試験場 農産部 佐藤大和部長「高温に弱い品種は穂が出たあとの平均気温が26℃になると、白く濁る症状が出てきます。元気つくしは26℃を超えても透明感がある品種に育つのです」

1等米の比率品種で違い

農林水産省によりますと、平均気温が上昇した近年、品質の良い1等米の比率は減少傾向で、去年は60・9%(速報値)と過去最低になりました。

ただ、品種別にみると、その割合には、顕著な違いがみられます。

高温に弱いコメは、全体の収穫量のうち1等米が20%に満たないのに対し、「元気つくし」は80%前後と高い水準で推移しています。

今年の猛暑「肥料分が抜けてしまう」

今年の8月下旬の平均気温は「29・2℃」で去年より0・5℃高く、9月上旬の平均気温は、「28・4℃」と1・7℃高くなっています。

数字で見ると1℃ほどの差ですが、コメにとってはこの違いは大きいといいます。

記録的な猛暑となった今年、「元気つくし」は順調に育っているのでしょうか。

「元気つくし」を育てる長野久さん「まあまあのできかなとは思っています」

暑さに負けず元気に育っていました。

生産者は暑さに耐えられるよう、例年より多く肥料をやり手間をかけたため、品質に影響はないとみられるということです。

「元気つくし」を育てる長野久さん「あんまりこんなに暑いとですね、早く肥料分が抜けるんですね。あとで肥料を足してあげないとだめですね」

「10年後にも美味しいお米」

福岡県は今「元気つくし」よりもさらに「高温に強いコメ」の開発に取り組んでいます。

福岡県農林業総合試験場 水稲育種チーム 高田元気 チーム長「今よりもっと暑くなることを想定して10年後の気象条件にも耐えられる品種、10年後も安定して品質の良くて美味しいお米を作れるように育種に取り組んでいく」

新しい品種を生み出すのに10年はかかると言われているコメの品種改良。

「日本一の暑さ」にも負けないコメの開発が進んでいます。

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