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がん治療で髪が抜けてしまった子供たちに無償でウィッグを提供「安心感で人に会える」

RKB毎日放送 / 2024年9月24日 18時41分

9月は世界小児がん啓発月間です。

全国で年間に2000人以上が小児がんと診断され、現在も約6000人の子供たちが、闘病生活を送っています。

がん治療で髪の毛が抜け、容姿が気になる子供たちの力になろうと、無償でウィッグをプレゼントする福岡市の団体を取材しました。

乳幼児用品メーカーの元経営者「子供に恩返し」医療用ウィッグを無償で提供

パルサポートキッズの会 木下道太理事「この度はウィッグを申し込みいただいてありがとうございました」

福岡市中央区にあるNPO法人「パルサポートキッズの会」の事務所。

事務所内に並んでいるのは、子供用のウィッグです。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「一般の髪に近い分け目になっている。なるべく子供たちが使いやすいように軽くしているということが一つ、もう一つが解きやすくなっている、自分でも解けるというような」

法人の理事を務める木下道太さん。

小児がんの治療で髪の毛が抜けてしまった子供たちに、ウィッグやニット帽を無償で提供する活動をしています。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「髪が抜けるというのも大変なことで気持ちが落ち込んじゃって、治療にも当然影響が出てくる。持ってる安心感それで人に会えるとか学校に行けるとか、そういったことで医療ウィッグっていうのは重要なものだと」

かつて乳幼児用品のメーカーで経営に携わっていた木下さん。

経営から退いた後、子供たちのために何かしたいという思いから7年前に小児がんの治療に取り組む医師とともにパルサポートキッズの会を立ち上げました。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「子供たちと一緒にいろんな企業もやってきたし、子供たちとのつながりもずっと持ってきた。ぶっちゃけ言いますと子供で飯食って来たんだから子供に恩返しという思いもある」

子供でも使いやすいものを作ろうと、1年を費やして素材などについて研究。

ヘアドネーションで集めた本物の髪に、独自の割合で人工ファイバーを組み合わせることで、軽くてかぶりやすいウィッグを開発しました。依頼を受けて海外の工場でウィッグを生産し、退院までに子供のもとに届けます。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「すごい喜ばれましたね。表情が一変してびっくりしました。急激に笑顔が出た」

貯金取り崩すことも・・・家族からの手紙が原動力に

木下さんたちは、これまでにウィッグを全国で680人の子供たちに無料でプレゼントしてきました。

ウィッグの製作費は、ふるさと納税の寄付金や福祉機構からの助成金などで捻出していますが、足りない時には自分の貯金を取り崩すことも。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「無料でプレゼントしているので実際のところはすごい資金が必要で、四苦八苦しながらやっているのが実態」

それでも活動を続ける原動力の一つになっているのが、子供たちから届く感謝の手紙です。

ウィッグが届いた子供からの手紙「毛が抜けてきた時はどうしようと思っていたけど、ウィッグのおかげで毛が抜ける時の不安がなくなりました」

母親からの手紙「『外には行きたくない』と言っていた娘でしたが、ウィッグが届いて『外にご飯食べに行こうかな』と言ってくれました」

パルサポートキッズの会 木下道太理事「一つ一つ読んで、感動するというか、我々がやっている活動というのを継続しなくちゃとすごい感じますね」

ウィッグをプレゼントされた親子「すごく支えられた」

3年前、木下さんたちからウィッグをプレゼントされた青木結楓さん(10)。

絵を描くのが大好きな結楓さんですが、脳にできた腫瘍の影響で、今は右目がぼやけて見えず、左目の一部だけが見えている状態です。

青木結楓さん Qクラスで一番上手でしょう?「うん。(学校で)ぬり絵係でリクエストをもらったりして、かけるときもあるけどごめん描けなかったってときもある。上手って言ってくれる」

入院して間もなく始まった抗がん剤治療で、髪の毛が抜け始めた結楓さんを見て、母親の由緒さんも不安に苛まれたといいます。

結楓さんの母・由緒さん「怖かったですね、どこまで進む、抜けていくのだろうと。それを本人が気づいたときにどんなショック受けるんだろうと」

治療後に再び学校に通えるようになりましたが、結楓ちゃんは見た目を気にして外出を嫌がるように。

そんな時に病院の掲示板でウィッグのプレゼントを知った由緒さんは、娘を守りたい一心で電話をかけたといいます。

結楓さんの母・由緒さん「普通に家で生活するのとは比べ物にならない位お金がかかるので、ウィッグを無償でいただけるっていうのは本当に助かることで、もし出かけるときに不安だったらぱっと被ればいいっていう。気持ちの余裕としてすごく支えられたなと思います」

結楓さん「早くどっか行って、おでかけして写真とか撮ってもらいたかった。桜を見に行ったりして、疲れたけど楽しかった」

全国で年間2000人以上が小児がんを発症するのに対し、パルサポートキッズの会が準備できるウィッグは、予算の都合などから年間300個ほど。

年々増える依頼に何とか応えている状況で、木下さんは、もっと多くの人に活動について知り、協力してほしいと話します。

パルサポートキッズの会 木下道太理事「私たちが想像するよりも大変で、その中でウィッグっていうのは必ず必要なんだと。皆さんに協力いただいて、それで今後も継続して無償のプレゼントというのをやっていけたらなと思いますし、やっていかなければいけないなと思いました」

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