【輪るピングドラム】放送時間になると「楽しみに取っておいた絶品スイーツを食べるかのような感覚」に陥る

ロケットニュース24 / 2012年1月5日 10時0分

【輪るピングドラム】放送時間になると「楽しみに取っておいた絶品スイーツを食べるかのような感覚」に陥る

毎日放送やTBS系列で放送されていた、人気テレビアニメーション『輪るピングドラム』(監督:幾原邦彦)。すでに作品は2011年12月で終了しており、全24話が放送された。関東地方では午前2時過ぎに放送されていたので、視聴したことがない人もいるかもしれない。

今回は、その『輪るピングドラム』について語りたいと思う。ネタバレ防止はもちろんだが、これからブルーレイやプレイステーションストアのダウンロード等で観る人のためにも、ストーリーに関してはいっさい書かないで説明をしていく。

決してアニメ好きとはいえない記者(私)が『輪るピングドラム』にハマってしまった理由は、正直なところわからない。ただ、『輪るピングドラム』の放送時間になると、どんなに眠くても目がギンギンになり、「楽しみに取っておいた絶品スイーツを目の前にして今から食べるかのような感覚」に陥ったのは事実だ。

この作品の特徴をいくつか羅列していこう。それでも観たいと思った人は、きっとこの世界観とストーリー展開、そして演出に魅了されるはずである。
 
・アニメーション『輪るピングドラム』の特徴
「最初から最後まで意味不明」
「出来事が抽象化されて表現されている」
「最後まで明かされない謎もある」
「作品の中盤にようやく主人公たちが住む世界の謎が少しだけわかる」
「明確に描写されない謎を色々と考えて紐解く面白さがある」
 
上で「明確に描写されない謎を色々と考えて紐解く面白さがある」と書いたが、誤解しないでほしい点がある。これは、最近の作品によくありがちな「謎や秘密は視聴者の皆さんのご想像にお任せします」という無責任な作品というわけではない。

監督の幾原邦彦氏の頭の中には、しっかりと世界観や謎や秘密の答えがあり、それを視聴者が紐解いていくことが難解なだけなのだ。物語を難解にしているのは「出来事が抽象化されて表現されている」という点があるからだが、この作品からソレをなくしてしまったら、とたんに駄作となってしまうだろう。それに、その抽象的な部分を色々と考えているとき「甘美な気持ち」に陥るのだ。

また、最後まで語られない謎(描写されない謎)も多数あるが、それも幾原監督の頭の中には完璧な答えがあると思われる。それを視聴者が自分なりの推理と推測で納得していくという流れが非常に快感で、そして魅惑的である。

作品を見続けた視聴者の声として「あの回は間延びして無駄だった」や「もっとスマートにストーリー展開ができたはず」などの声が出ている。しかし、よくよく放送を振り返ってみると「間延び」や「無駄」と感じていた部分が「必要不可欠なシーン」である事に気がつく。

視聴者の脳にキャラクターの思考回路を理解してもらうための「すりこむ作業」。その作業に時間を要している部分が、物語の前半に多くあったと感じた。どうしてこのキャラクターがそこまでの行動に出るのか? どうしてこのキャラクターが最後にこういうことをしたのか? その「すりこむ作業」のおかげで、そのキャラクターの行動に対する説得力が増しているのだ。だからこの作品に、本当の意味で「間延びした展開」はないといえる。

もうひとつ、この作品で非常におもしろい点を話したいと思う。本来、アニメでも映画でも小説でも漫画でも、謎や秘密が出てきて、あとになってその答えがわかるという展開が基本だ。この『輪るピングドラム』にもそういう展開が多くある。

だが、答えが先に出てきて、あとから謎や秘密が出てくるという展開もあるのだ。つまり、答えがあって、あとから問題が出てくるという展開だ。普通とは逆なのである。意味がわからない? いろいろと小難しいことを言うよりも、まずは観てもらった方がいいだろう。

アニメ好きじゃない人が見ると「この年齢になってこんなアニメを観ている自分が恥ずかしい」と感じるシーンもあるかもしれないが、それも3~4話まで観ていくと抜け出せなくなり、最終的にはドップリとハマっているはずなので心配はない。何度見ても飽きないスイーツ。それが、『輪るピングドラム』なのである。きっとシビレるはずだ。
 
画像: Amazon.co.jp / 輪るピングドラム

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