【おはよう短編小説】生きていくのがとてもとても辛いのです「平和すぎるから」

ロケットニュース24 / 2012年3月7日 7時0分

【おはよう短編小説】私は東京都内に住む、33歳のサラリーマンの男です。家は家賃7万円で、独身男性としては平均的な家賃と間取りのマンションです。給料は手取りで25万円以上もらっておりますし、恋人はいませんが友人には恵まれています。

私の会社は10時出社ですので、午前8時に起きて9時に家を出て会社に向かいます。仕事は残業があっても夜10時くらいで、いつもは夜8時くらいには帰っています。週に2回くらいは同僚や友人と飲んでから帰っている感じです。ですが、毎日がつらいのです。もう生きたくありません。

平和すぎるのが怖いのです。毎日、平凡ではありながら何にも困ることなく生きております。同僚との関係も良好です。親ともたまに電話で話しますし、少なくとも年に1回は実家に帰っています(できれば2回は帰りたいのですが)。

ですが、平凡で起伏のない毎日が怖いのです。平和で、平凡で、平坦な毎日が恐ろしいのです。このまま、ロードローラーで舗装されたかのようなキレイな道を歩いて生きていくのかと思うと、自分が何のために生まれてきたのか分からなくなり、単に空気を吸って二酸化炭素を生産しているマシーンなんじゃないかと思うのです。

好きな音楽を聴いて、好きな料理を食べて、好きな映画を見て、好きな漫画を読んで、好きなゲームをして、好きな趣味をして、好きな時間を過ごす。私は、消費ばかりして自分勝手に生きている二酸化炭素製造マシーンなんです。困った存在なのです。

この話を友人の女性に話しました。すると「あなたにはもっとやりたいことはないの?」と質問されました。あります。もっとやりたい仕事があります。もっと挑みたいエキサイティングな趣味があります。もっとアプローチしたい女性がいます。

でも、それらに目を向けたり着手することができないのです。その理由は、いまの「平和で平凡で平坦な毎日」が崩れてしまうのが怖いからです。舗装されていない道を歩くのが怖いからです。「平和で平凡で平坦な毎日」が嫌なのに、「平和で平凡で平坦な毎日」から別の道に入ることが怖いのです。

ですから、私はこういう結論になりました。故郷のアフリカに戻り、両親と小さな商店を開こうと思います。そこで手作りのレモネードを売って死ぬまで暮らすのです。さようなら。

■関連記事

ロケットニュース24

トピックスRSS

ランキング