世界の一妻多夫制にはこんな理由があった! 「複数男性の精子が胎児を成長させる説」「妻を守るため」など

ロケットニュース24 / 2013年2月12日 11時0分

日本や欧米で生活している限り、結婚というものは一夫一妻制が普通であるが、一夫多妻制や一妻多夫制が取り入れられてきた社会も存在する。特に一妻多夫制は、これまで「奇異で珍しい文化」として語られることが多かった。

が、米ミズーリ大学とネブラスカ大学の研究者による最新の研究によると、一妻多夫制を持つ地域としてよく知られているチベットを含めて、53ものコミュニティで「一妻多夫制」が社会に取り入れられており、またその理由も多様であることが判明した。例えば、以下のような背景が紹介されている。

1.「土地の権利」を分散させないため
チベットなど一妻多夫制エリアとして有名なアジアの一部地域でそうした婚姻制度が必要とされた理由は、限られた農業用の土地権利をひとつの家系で受け継いでいくためだ。具体的に言うとその家の兄弟全員と結婚するのだ。こうしておけば生まれる子どもはどの夫の子であってもその家系の子どもだ。こうやってひとつの家系で土地を継承していくのである。

2.夫不在時に妻を守るため
イヌイット文化においては、一人目の夫が妻のために二人目の夫を用意することがあるという。その理由は「自分が不在のときに、妻を守ってもらうため」。なお、第一夫が不在中に妻が妊娠するケースもあるというが、それは第一夫が事前に認めた男性との性交渉に基づくものだそうだ。

3.15歳までの生存確率を高める「父親効果」
ベネズエラに住むバリ族の文化では、一人の子どもに対して二人の父親を認めている。というのもバリ族においては、父親が一人の子どもよりも二人の父親を持つ子どもの方が15歳まで生存する確率が高くなるという「父親効果」が信じられているためである。

4.「複数の男性による精子の提供が胎児の成長をうながす」説
「激しい競争を勝ち抜いた一つの精子が卵子に出逢って妊娠する」ストーリーを聞かされてきた我々日本人にとっては想像しがたい考え方ではあるが、ある文化圏では「複数の男性による精子の提供が胎児の成長をうながす」と考えられている文化も存在する。そうした文化コミュニティにおいては、二人の男性が「正規の夫」として認められるのだそうだ。

このように様々な文化的・社会的な理由で「一妻多夫制」が取り入れられたきた社会に共通するのは、決して「自由恋愛」による結婚ではなく、必然的な理由によって、堂々と複数の夫と結婚しているということだ。また、多くの場合において、女性自身よりも第一夫が第二夫を選ぶ決定権を握っている。

もう一つ見られた一妻多夫制社会の共通条件は、男女の人数比のバランスが取れていないということだ。研究対象となった53の地域社会のうち実に4分の3の社会で男女数の均衡がとれておらず、それが「一妻多夫制」が機能する理由になっているとのこと。

日本にいると一夫一妻制が「当然の常識」のように思えてしまう。しかし、この一妻多夫制が取り入れられた多様な背景を知れば知るほど、婚姻制度も結局一つの文化なのだと気付かせてはくれないだろうか。

(文=佐藤 ゆき
参照元:The Atlantic(英文)


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