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ローリングストーン誌が選ぶ、2020年の年間ベスト・コラボレーション・ソング

Rolling Stone Japan / 2020年12月31日 17時30分

Photographs used in illustration by Victoria Will/Invision/AP; Kevin Winter/MTV VMAs 2020/Getty Images; Atlantic Records; Epic Records

コロナ禍にもかかわらず、今年もたくさんのコラボレーションが生まれた。ローリングストーン誌が選んだ、今年の18曲を紹介する。

孤立状態、自主隔離、孤独感といった言葉によってもっとも特徴づけられた2020年に才能あふれるアーティストたちがコラボレーションという方法を見出し、そのいくつかが最高の気分や楽しいムードで私たちを一年中楽しませてくれたことを称えるのはとても大切だ。今回紹介するコラボレーション・ソングは、ラップ、レゲトン、カントリー、K-POPなど、さまざまなジャンルを網羅している。それと同時に、ありとあらゆるバックグラウンドの人たち、場所、障害と思われているものがクロスオーバーして独創的なコラボレーションを生み出せることを証明したいという期待も込められているのだ。

1. BLACKPINK & セレーナ・ゴメス「Ice Cream」

Photo : Youtube

今年の3月、レディー・ガガーのニューアルバム『Chromatica』にBLACKPINKが参加したというニュースは、双方のファンを驚かせたかもしれない。だが、レディー・ガガとBLACKPINKのコラボ曲「Sour Candy」はもっと大きなサプライズの前哨戦に過ぎなかった。8月、BLACKPINKは他ならぬ、あのセレーナ・ゴメスを迎えてコラボ曲「Ice Cream」をリリースした。K-POPガールズグループのデビューLP『THE ALBUM』に収録されたキャッチーで夏らしいこの楽曲は瞬く間にヒットし、グループは新たなファン層を獲得した。挑発的な歌詞とアグレッシブでヘビーなビートでBLACKPINKが音楽チャートを席巻する一方、「Ice Cream」はグループの優しく控えめな側面とともに、音楽に合わせて頭を縦に振りたくなるようなリラックスしたグルーヴに乗せて遊び心あふれる言葉遊びを披露した。メンバーたちの声は、それに負けないくらいキュートで魅惑的なゴメスの声に取って変わるが、ポップ・ミュージックの女王としての風格を保ち続けている。成功するためのお墨付きなんて、そもそもBLACKPINKには不要だった。だが、同じ年にガガとゴメスとのコラボレーションを実現させたことは、グループの存在をお茶の間に広める上で大いに役立った(さらに特筆すべきなのは『THE ALBUM』にカーディ・Bをフィーチャーした楽曲が収録されていること)。世界最大のガールズグループのひとつであるBLACKPINKとゴメスのコラボレーションにより、爽やかなヒップホップとバブルガムのように甘いフックだけでも十分魅力的な「Ice Cream」は、さらにスイートな楽曲に仕上がった。T.C.

>>関連記事:BLACKPINK、初の東京ドーム公演で見せた圧巻のスペクタクル



2. J・バルヴィン、デュア・リパ、バッド・バニー、タイニー「Un Dia(英題:One Day)」

Photo : Youtube

痛々しくもロマンチックな想いを歌う、愛に飢えたアンセム「Un Día(英語:One Day)」はまさに孤独そのものを描いた楽曲であり、コロンビア、UK、プエルトリコと世界各地のスーパースター4人が参加している。彼らは力を合わせて言語の壁を壊し、ひとつの願いを2か国語で表現する。デュア・リパは、後悔をにじませた温もりあるボーカルでポップなピアノのリフとともにロマンチックな絶望を歌う。そこにJ・バルヴィンとバッド・バニーが加わり、優しさのこもった男性側の立場から歌う。美しいながらもノスタルジックなトロピカル・ポップを通じて、スターたちはひとつになって愛の苦しみという世界共通の気持ちを率直に伝えようとしているのだ。プエルトリコ出身の有名プロデューサーのタイニー——昨今の多くのレゲトンヒットの立役者——による感動的なコラボレーションは、タイニー自身のレーベルNEON16(スポンジ・ボブの映画の主題歌となったタイニーとバルヴィンの「Agua」とバッド・バニーとバルヴィンの2019年のアルバム『Oasis』を支えたチームが担当)を通じて実現した。「Un Día」が生き生きとしたミドルテンポのレゲトンへと発展するにつれて、自分を信じることの大切さという意義あるメッセージの存在が明らかになる。I.R.




3. ミーガン・ジー・スタリオン & ビヨンセ「Savage Remix」

Photo : YouTube

音楽チャートのトップに輝いたミーガン・ジー・スタリオンにとって2020年は革新的かつ歴史的な年であり、そんな彼女の勢いに火を付けたのは「Savage」の爆発的ヒットだった。TikTokを席巻した後、ミーガン・ジー・スタリオンは同楽曲のリミックスに加わった同じく米南部テキサス州ヒューストン出身のスーパースター、ビヨンセとの夢のコラボレーションを実現させた。ビヨンセのすることはとにかくスケールが大きいので、ちょっとしたバースを一緒に歌うくらいでは終わらなかった。めくるめく表現とソーシャルメディアにぴったりの決め台詞を繰り出すビヨンセにより、「Savage Remix」は正真正銘のスタイルの融合となった。リミックスバージョンは「Savage」を音楽チャートの1位へと押し上げ、2020年初のミーガンの大ヒットとなった——彼女の勢いは、今後も続くに違いない。B.S.



4. ジャスティン・ビーバー & チャンス・ザ・ラッパー「Holy」

Photo : Youtube

バッドボーイとしての過去を後に残し、歌詞にあるように「アスリートのように祭壇に向かって駆けて行く」ジャスティン・ビーバーは、高揚感あふれる「Holy」でスピリチュアルなフェーズに突入した(ビーバーのお詫び行脚には、同じように甘やかされたスーパースターである自分自身を問い詰めた、ショーン・メンデスのニューアルバム『Wonder』に収録されているコラボ曲「Monster」への参加も含まれる)。チャンス・ザ・ラッパーに支えられながら、深い愛に照らされた道を歩むべく、新たな人生に踏み出そうとするビーバーは(「まずは父なる神を喜ばせよう/なかなか難しいかもしれないが」)、「Holy」によって当初はシンガーの魅力の源でもあった若々しく無邪気な熱意をもって宗教による救済を描いた。アコースティックバージョンもまた魅力的で、ビーバーは英国民保健サービス(NHS)のコーラス隊とのコラボバージョンのレコーディングでこの一年を締めくくった。待ちに待ったこのバージョンは、ナンバー1・クリスマス・ソングとしてヒットするかもしれない。実に崇高なプレゼントだ。J.D.



5. マイリー・サイラス & ビリー・アイドル「Nightcrawling」

Photo : Vijat Mohindra*; Sthanlee B. Mirador/Sipa USA/AP

マイリー・サイラスがニューアルバム『プラスティック・ハーツ』をリリースした頃、まさにファンたちは80年代ロックにインスパイアされたアルバムを切望していた。嬉しいことに、サイラスはビリー・アイドルやジョーン・ジェットといったスターを新作に迎え、双方はそれぞれの楽曲に80年代にふさわしいノスタルジックな要素をもたらした。とりわけ、サイラスとアイドルのデュエット曲「Nightcrawling」は、華やかなシンセサイザーとパワードラム満載の魅力的な楽曲だ。というのも、ドラムを叩いているのは他でもない、フー・ファイターズのテイラー・ホーキンスなのだから。B.S.

>>関連記事:マイリー・サイラス激白「生死を分ける27歳」で気づいた本当の自分 



6. マシュメロ & ジュース・ワールド「Come & Go」

Photo : Youtube

大ヒット曲がオーディエンスに作り笑いと喉を締めつけるような悲しみを同時に強いるのは、なんだか不思議な気分だ。マシュメロとラッパーのジュース・ワールドのコラボ曲「Come & Go」は、ジャラド・ヒギンズとしてこの世に生を受けたラッパーが悲劇的な最期を遂げた7カ月後にリリースされた。驚くほどクリエイティブでモチベーションに満ちあふれていたジュース・ワールドは、2018年に音楽シーンに突如として姿を現す前から3枚のアルバムをすでに発表しており、2019年に急死したときは21歳になったばかりで、スターダムの頂点にいた。こうした背景と歌詞をよく読まない人にとって「Come & Go」はダンスフロアを沸かせるのにうってつけの曲だ。その多くは、売れっ子EDMプロデューサーおよび正真正銘のヒットメイカーであるマシュメロのおかげでもある。始まりは優美でスローだが、やがてアンセムへと発展していく。40秒が過ぎたあたりで歌のスピードが上昇すると同時にヒップホップのビートが加わる。13秒後にはオルタナティブ/ポップなギターフレーズと手拍子がリスナーをジャキジャキしたギターサウンドとレイブ向けのベースのドロップ、さらにはハイパーなパーカッションへと導いていく。サウンド的には、寝ているところを叩き起こされた、夢見心地気分のようだ。「Come & Go」は、突然堂々とした雰囲気とともに大音量になり、それがとにかく楽しい。でも「神様に祈るんだ/ましな人間にしてくださいって/たぶんそのうち/俺も何かに立ち向かうんだろうね」という歌詞に耳を傾けると、涙をこらえるのはとても無理だ。「Come & Go」は最高の楽曲であると同時に、偉大な生涯がその半ばで終わってしまったことを悲しくも思い出させてくれる。S.H.

>>関連記事:ジュース・ワールド、21歳で他界 生前に残した「Legends」のリリックが意味するもの




7. ヘイリー・ウィリアムス & ボーイジーニアス「Roses/Lotus/Violet/Iris」

Photo : Lindsey Byrnes*; Lera Pentelute*

ヘイリー・ウィリアムスのソロアルバム『Petals for Armor』のハイライト曲「Roses/Lotus/Violet/Iris」では、スーパーグループ、ボーイジーニアス(ジュリアン・ベイカー、フィービー・ブリジャーズ、ルーシー・ダカスの心揺さぶる音楽性が発揮されている)のコーラスがフィーチャーされている。この4人は、インディー界のサッドガール的な幻想をすべて叶えてくれる。ロックバンド・パラモアを有名にした、最高にポップでパンクなメロディーから脱皮したウィリアムスは、もっと繊細なインディー/オルタナ的表現の世界に飛び込む。だが、ボーカリストとしての強さと鋭い歌詞は健在だ。花の名前を使った言葉遊びが繰り広げられるフックに支えられた「私は庭にいる/自分自身の世話をしているの/私は気にしない/だから私が育ったとしてあなたは何を気にするの?」のように共感を誘う歌詞は、関係が終わった後の成長と進化について語っている。ボーイジーニアスのコーラスも全編にわたって響き、聴いていると心が落ち着く。それはまるで、困難な一日あるいは一年の終わりにほっとする差し入れを持ってきてくれる女友達のよう。私たちにぴったりの曲だ。R.C.



8. オーヴィル・ペック & シャナイア・トゥエイン「Legends Never Die」

Photo : Youtube

ヒョウ柄プリントとポップなフックが好きなカナダ人女性が大人の女性の絆のパワーと官能性を称える楽曲で90年代のカントリーミュージック・シーンを席巻したらどうなる? もちろん、注目を浴びる。カントリーミュージック・ラジオには過激すぎるというレーベルの重役たちの警告にもかかわらず、シャナイア・トゥエインは爆発的な人気を博し、やがてはこのジャンル屈指のベストセラー女性アーティスト、さらにはストレート女性、ストレート男性、そしてLGBTQコミュニティのアイコンとしての地位を確立した。多くの意味で、オーヴィル・ペックの「Legends Never Die」はトゥエインの物語へのオマージュである。レジェンドおよび生存者でもあるトゥエインのキャリアは、貧しく、ときには暴力をふるう家族を支えるために8歳で始めたバーでの演奏から始まった。その後、メディアを大いに賑わせた離婚と長年診断されなかったライム病によってトゥエインは二度と歌えないかもしれないと覚悟を決めたほどだった。15年間の活動休止から3年前に復帰したばかりのトゥエインが現代のカントリーミュージック界屈指のアウトロー的な新人、オーヴィル・ペックをコラボレーション相手に選んだのは誰が見ても正解で、その判断には元気づけられる。同性愛者であることを公言し、「ラインストーンをあしらったカウボーイとパンクロックの反逆者の融合」を自称するペックは、クラシックなカントリーミュージックの構造とエモーショナルな鼻声なまりの歌声とローファイなサウンドをいとも簡単に融合させている。「Legends Never Die」は現時点でペックの最大のヒット曲であり、彼が本物のアーティストであることを裏付けたが、トゥエインが加わったことでより奥深い内容の歌詞になった。偉大なるふたりの”負け犬たち”はクールな自信とともに輝きを放ち、いまも進化している音楽シーンを見事に反映している。S.H.



9. バッド・バニー & ロザリア「Noche de Anoche」

Photo : Vevo

多くの人にとって2020年はまるでアルマゲドンのようだった。バッド・バニーが感謝祭の日にリリースしたアルバム『El Último Tour del Mundo(英訳:The Last Tour of the World)』は、世界の終わりに意気揚々と出かけていくエキセントリックなスピリットを奮い起こすような作品だ。プエルトリコ/ドミニコ共和国系の人気プロデューサーMAGが手がけた全編スペイン語歌詞の同アルバムは、音楽チャートBillboard 200で初登場1位を獲得し、64年にわたるオールジャンルの音楽チャート史初の快挙を成し遂げた。ラテンのトラップ、ポストパンク、レゲトン、ロックの実験的作品でありながらも、コラボ曲「Noche de Anoche」には、吐息まじりに愛と欲望について歌うロザリアのロマンチックなやわらかさが加わっている。「こんなことは二度と起きないってわかってる/でももし起きたら/次はあなたの弱点を知っている」とロザリアはスペイン語で歌う。それに対し、バッド・バニーは同等の欲望とうねるようなグルーヴに乗りながらロックダウン下のロザリアの夢想に応える。ふたりは、世界の終わりの極上のロマンスを描き出した。I.R.



10. フォー・テット & エリー・ゴールディング「Baby」

Photo : Burak Cingi/Redferns/Getty Images; Joel C Ryan/Invision/AP

シンガーソングライターのエリー・ゴールディングとフォー・テットの「Baby」にいったいどんな関係があるのか? とあなたが思ったとしても、それは仕方ない。フォー・テットのソロ10作目となるスタジオ・アルバム『Sixteen Oceans』に収録されているいくつかのアンビエントなハウスチューンのひとつである「Baby」で「だって私にはあなたしかいないの/私を連れて行って」と歌うゴールディングの声は細かく刻まれていて、実際、彼女だと聴き分けることはほぼ不可能なのだから。断片となったゴール・:「』|〜¥ディングの声は静かなシンセサイザーの調べと重なり、不安定ながらも快活なグルーヴを生み出している。最初は意外な組み合わせだと思うかもしれないが、一度聴けば、完璧な嵐のような作品に仕上がっていることがわかる。E.B.




11. マシン・ガン・ケリー & ホールジー「Forget Me Too」

Photo : Youtube

怒りと悲しみに満ちたラップガイから2020年の名作アルバム『Tickets To My Downfall』によってレトロ/ポップ/パンクガイへと転身を遂げたマシン・ガン・ケリー。この転身は、2020年に起きたパーソナルな変化の中でももっとも実りのあるものだった。同アルバムのハイライトは、どう考えてもホールジーとのコラボ曲「Forget Me Too」だ。とげとげしさをキャンディで覆ったような同楽曲は、『Tickets To My Downfall』のプロデューサーであるトラヴィス・バーカーがBlink 182のドラマー時代に生み出した珠玉のパンクロック作品に匹敵する。「Forget Me Too」ケリーとホールジーは必要性と自己批判の負のスパイラルに陥ったカップルを演じており、その様子はまるでスクリーモ版ジョージ・ジョーンズ & タミー・ワイネットによる危険な化学反応のようだ。ケリーとホールジーには、ぜひともデュエットアルバムを制作してほしい。J.D.



12. レディー・ガガ & アリアナ・グランデ「Rain on Me」

Photo : Youtube

レディー・ガガーとアリアナ・グランデは、ドラマチックなポップ天国が繰り出す完璧なコンビで、2020年までふたりのコラボレーションがなかったと考えるだけで気が遠くなる。コラボ曲「Rain on Me」でガガとグランデは、きらびやかなハウスビートに乗ってバトルを繰り広げる。この楽曲は2020年以前に作曲・レコーディングされたものだが、「できれば濡れたくないけれど、生きてはいるから」とスタジアム級の巨大なコーラスとともに歌われるメッセージは、タイムリーであると同時に高揚感に満ちている。コラボ曲「Rain on Me」の宇宙で繰り広げられるレイブパーティのようなMVは、隔離下で経験するポップ史上屈指の事件のような印象を与え、観る人は安全な世界での夜の外出を恋しく感じた。B.S.



13. ダベイビー & ロディ・リッチ「Rockstar」

Photo : Youtube

ダベイビーとロディ・リッチのコラボ曲「Rockstar」が2020年屈指のトラックであることはほぼ間違いなく、同楽曲はヒップホップ界の2大スターとして頂点を極めたダベイビーとロディ・リッチを象徴する作品でもある。特徴的なギターが原動力となっているビートは、独自のフローを断ち切って均一とも言えるようなサウンドを拡大しようとしたダベイビーにとっては新たなスタイルだ。それに対し、楽曲の後半のリッチの滑るようにメロディアスなボーカルによって限界を越える。今年の数多くのヒット曲がそうであるように、「Rockstar」の爆発的人気はTikTokのおかげでもあり、そこから独自のバイラルダンスへと発展した。これによって今年のヒットは約束されたも同然で、数週間後に「Rockstar」がラジオやストリーミングチャートでブレイクするのも時間の問題だった。7週間にわたって本誌のトップ100チャートの首位に君臨しつづけた「Rockstar」は、ダベイビー最大のヒットであり、2019年にシングル「The Box」が同年唯一のベストセラー・ラップソングとなったリッチにとっては2度目の首位獲得だ。ダベイビーは、このヒットを予測していたようだ。9月の本誌のインタビューで彼は「この曲を作った瞬間に(ヒットするって)わかったんだ。これは当たるって言った瞬間の映像はきっとカメラに残っているはずさ」と話していた。E.M.



14.ケルシー・バレリーニ & ホールジー「The Other Girl」

Photo : CMT

カントリー・シンガーソングライターのケルシー・バレリーニは、ホールジーとの美しいパフォーマンスでポップ・スターの領域に一歩足を踏み入れた。バレリーニとホールジーはカントリー・ミュージックテレビジョン(CMT)で数回共演したことがあるものの、今回取り上げるのは、バレリーニのアルバム収録曲「The Other Girl」の映像で、このオリジナルバージョンでは、皮肉にもふたりのボーカリストの化学反応がもっとも見事に表現されている。ドライマティーニのグラスを傾けたり、ゆきずりの男と寝たり、タイトルになっている”別の娘”がしているあらゆることを投影したムーディーな同作には、幽玄な響きがある。J.F.




15.ギャビー・バレット feat. チャーリー・プース「I Hope」

Photo : Terry Wyatt/Getty Images

新進気鋭のカントリー界のスター、ギャビー・バレットのヒット作「I Hope」は、実際にはデュエット向けの楽曲ではない。というのも、同楽曲は浮気した元カレを罵倒する女性が主人公なのだから。だが、このリミックスでポップシンガーのチャーリー・プースは、男性の視点を見事に表現し、悪気はなかったんだと言いながら、ひたすら赦しを乞い、忘れさせようとする。J.F.



16.フューチャー & リル・ウージー・ヴァート「Real Baby Pluto」

Photo : Atlantic Records; Epic Records

ラッパーのフューチャーとリル・ウージー・ヴァートがコラボレーションプロジェクトの可能性をほのめかした数カ月後、ふたりはようやく宇宙空間的な傑作コラボ曲「Real Baby Pluto」をリリースした。タイトルの”Baby Pluto”はリル・ウージー・ヴァートのニックネームであり、彼の別のペルソナを表現しているだけでなく、フューチャー(別名”Pluto”)と5年半近くにわたって彼が取り組んできたサウンドへのオマージュでもある。2016年の「Seven Million」や今年の「All Bad」といったトラックでタッグを組んで以来、ふたりの化学反応は必然だった。だから、16曲+8曲が収録されたデラックスエディションが発売されたのは意外なことではなかった。Wheezy、Zaytoven、DJ Escoといったプロデューサー陣が手がけた不気味で未来的なビートに乗ってジョージア州アトランタが生んだスーパースター、フューチャーとペンシルベニア州フィラデルフィアが誇るMCがバースチェンジを繰り広げる。2020年は別の惑星でふたりのラッパーの仲間に加わり、落ち着いたところで地球に戻るのはどうだろう? D.G.



17.テイラー・スウィフト & アーロン・デスナー「Willow」

Photo : Beth Garrabrant*; James Goodwin*

カントリーミュージックの革新者、売れっ子ソングライター、スタジアムを総立ちにさせられるポップスターなど、2020年以前のテイラー・スウィフトにはたくさんの肩書きがあった。だが、そこにはインディー/フォークの魔術師は含まれていなかった。いつも忙しいスウィフトには——かれこれ13年間アルバム制作/プロモーション活動/ツアーというサイクルで生きてきた——しばしの休息が与えられてしかるべきだった。とはいっても、大人になってからずっとアーティストとしての存在感を維持し、世間の人たちを喜ばせるために常に新しい自分を発掘しつづけてきた人が完全に電源をオフにするのは簡単ではない。そんなとき、パンデミックがスウィフトを静けさへと押しやった。後ろめたさや忘れられることへの恐怖にとらわれず、彼女はたくさんの想いと向き合い、デビュー以来ファンのために酷使してきた作曲筋肉をゆったりとストレッチすることができた。ツアーが中止になったことで、もはや”スタジアム・ソング”を作る必要もなかった。人々は自宅に閉じ込められていたため、通勤・通学用の”ラジオ・ソング”も不要だった。メインストリームにふさわしいものを作らなければいけないという呪縛はすべて、突如として消え去ったのだ。その代わりに生まれた『フォークロア』と『エヴァーモア』は——いずれもザ・ナショナルのアーロン・デスナーとの共作で、ほぼ全曲のプロデューサーをデスナーが務めた——山小屋の暖炉の前にワイングラス片手にスウィフトがひょっこり現れ、頭のてっぺんをパカっと開いて中身を注ぎ出したかのようなサウンドである。複雑なリリシズムをめぐる空間作りの名人としてすでに知られていたデスナーは、理想的なコラボレーターだった。デスナーは、20年間のザ・ナショナルズの経験を通じて最小主義に陥ることなく軽快な独自のプロダクションスタイルを確立していた。複数の層で構成されていることに変わりはないが、ストーリーテリングは決して損なわれていない。デスナーと一緒のスウィフトはかつてないほど実験的で、オルタナティブで、そして詩情に富んでいた——いままでにないほど高い評価を得たことは言うまでもない。S.H.

>>関連記事:テイラー・スウィフト『フォークロア』を考察「殻を破り、悲痛さを露わにした最高傑作」



18. カーディ・B & ミーガン・ジー・スタリオン「WAP」

Photo : Youtube

カーディ・Bとミーガン・ジー・スタリオンによる初のコラボ曲「WAP(Wet-Ass Pussy)」は、まさに私たちが大胆不敵なふたりのラッパーに期待していたとおりのものだった。「WAP」のあっぱれな点は、1990年代のクラブの定番曲「Whores in This House」のサンプルにひねりを加えてセックスに肯定的な表現満載のアンセムへと変えたことだ。「WAP」が持つ影響力は、数多くのTikTokチャレンジからも一目瞭然であると同時に、保守的右派の人たちからの不人気は、同楽曲がポップカルチャーに与えるインパクトを増大させた。「WAP」がリリースされてからの7日間のストリーミング回数は、ほとんどのストリーミングプラットフォームで首位だ。その一方、カーディ・BはInstagram Liveで日常的にトランプを激しく批判してはフォロワーに(大統領選の)投票を促し、ミーガンはソーシャルメディアと10月に出演した米・深夜番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』で黒人女性の保護を訴えるなど、社会正義問題に取り組んだ。セックスもいいけれど、2020年は行動主義こそが女性の新たな悦びなのだ。R.C.



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