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18歳ラップアーティストさなりが語る、SKY-HIからの励ましと己のための創作活動

Rolling Stone Japan / 2021年2月15日 12時0分

さなり

さなりが、2021年1月6日に2ndシングル『2FACE feat.SKY-HI』をリリースした。

今回の楽曲では、さなりがラップを始めたきっかけでもあるSKY-HIと共演。コロナ禍の影響と自ら作曲へのハードルを高くした結果、スランプに陥ってしまったさなりへ、SKY-HIからの励ましのメッセージも込められた楽曲となっている。さなり自身の内面がリリックに表れており、悩める彼とそれを優しく包み込むSKY-HIがMV で描かれている。

「2FACE feat.SKY-HI」を制作した背景やSKY-HIとの交流、そして自分自身のために曲を作りたいというさなりの意志について話を訊いた。

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ーまず、さなりさんのコロナ禍での近況をお伺いしたいのですが、いかがお過ごしですか?

特に何もしてないですね(笑)。家でゲームをして、たまに曲を作って。ツアーも始まるので、それに向けたリハの準備もしているという感じです。去年の9月、11月に有観客のワンマンライブをしたんですけど、コール&レスポンスができなかったり、お客さんが声を出してはいけないのが不思議な感じでしたね。生のリアクションが伝わりにくいという部分で、決してやりやすいわけではないですし、歓声とかあった方が気持ちも高まるんです。でもこういう状況だから、お客さんに生で見てもらえるだけでも嬉しいですね。

ーコロナ禍で、色々なミュージシャンが苦境を痛感していらっしゃるのかなと思いますが、さなりさんも感じていらっしゃいますか。

こういう状況だからエンタメやライブに対する制限も仕方ないと思います。コロナも早く終息してほしいなと思うし、ライブもいっぱい観客を入れて声も出してみたいと思いますけど、もともと家で曲を作ってるのが好きで。今は家でも一人で曲を作ることはできるし、ずっとインターネットをメインに活動してきたので、そこまで痛感していることは思ってるより多くないのかな。

ー2021年1月6日に2ndシングル『2FACE feat.SKY-HI』をリリースされました。コロナ禍という状況での内面の辛さなどが歌われているリリックが多いと思いましたが、今回のリリックはどういった心境で書かれたのでしょう?

コロナ自粛で、家に引きこもって考えることが増えて。1人でいる時間が多くなったので、考えなくていいことまで考えてしまったりしました。それがきっかけで、この曲自体も生まれたのかなと思います。


さなり2ndシングル『2FACE feat.SKY-HI』初回限定版ジャケット写真

ー曲の中にSKY-HIさんからの励ましのメッセージも盛り込まれています。さなりさんがラップを始めたきっかけでもあるSKY-HIさんに助けを求めた部分もあるんですか?

今回は完全に自分のためだけの音楽を作ろうと思っていたんです。音楽自体に対しての悩みみたいなものがずっとあって。曲ってどうやって書けばいいんだろう? 何を書いたらいいか分からない、みたいに思ってしまう状況になっていて。曲を作り始めた時のような初期衝動では作れなくなっていた。それで、自分だけを癒す音楽を作ろうと思って、自分への応援歌というテーマで作り始めたんです。SKY-HIさんにも、自分を応援してもらおう、励ましてくださいというオファーをして。SKY-HIさんが僕だけのために書いてくれたリリックというか。僕しか得しない、僕だけのための音楽ですね(笑)。

ー曲を作るのが難しくなってしまったのは、何かきっかけがあったんですか?

曲を作ることに慣れてしまったんだと思います。慣れてしまった上に、曲作りに飽きてしまったというわけではないんですけど、自分の成長を感じられなくなって。

ー作曲やモチベーションについて、SKY-HIさんと普段からお話されたりするんですか?

いや、あまりしないですね。たまに音楽の話もするけど、普段会ってる時は全然関係のないプライベートの話が多いですね。今回SKY-HIさんに音楽のテーマとリリックを送ったときに、初めて音楽に対する気持ちも話せたんです。それに対して、SKY-HIさんは直接的な言葉ではないですけど、リリックでしっかり返してくれたなと思います。

ーある意味スランプの時期だったわけですよね。小学生の頃から動画制作などされてきていますが、これまでも何度かスランプの時期はあったんですか?

いや、全然なかったんですよ。だからとても戸惑って。昔は何でもアイデアが出てきて、ガンガン作っていたんですけど、今考えると作曲に対して心のどこかで適当にやり過ごしていた感じはしますね。とりあえず自分の慣れてるやり方で作っていたのが、今になって悩んでしまったきっかけになっていたのかなと思います。

ー元々作曲に対するモチベーションがあったわけではないんですか?

作曲を始めた頃はめちゃくちゃこだわりがあって。やっていくうちに自分の慣れてるやり方で曲を作っていたので、気づいたらそんなに拘ってなかったんじゃないかと思うことが増えてきて。作り始めた頃は一つの言葉だけでも、何か考えがあって言葉を選んでいたんですけど。それも特になくなってしまったのかなと感じて。

ー今回はトラックを購入されて、それをベースにアレンジしていったということだったんですけど、周りのラッパーでもそうした制作方法はよくあるものなんですか?

同世代の若いラッパーは、トラックやビートを購入する人が多いと思います。YouTubeでタイプビートとか探してやってる人は多いですね。

ートラック作りに力を注ぐ以上に、リリックやメロディーラインの方に集中したかった?

そっちのほうが作業が早いんです。インターネットでとりあえずダウンロードして、録音してリリックとかメロディーを乗せて、その出来がよかったら音源を買ってすぐ出せますし。効率がいいというのもあると思います。

ー「2FACE feat.SKY-HI」のリリックでは、「聴かせたいゴミ 聴かないでほしい」など、さなりさん自身の中で苦労していた感情が吐露されています。

言ってみればそうかな。SKY-HIさんと曲を作るということで、自分の中でハードルを高くしていて、どういう曲を作ろうかなという悩みもありました。いっぱい考えたんですけど、結局は今の自分の気持ちをありのまま書こうと思って。そういう作り方が自分は一番好きだし。でも曲を作っていた当時は本当にリリックの通り悩んでいて、全然楽しくなくて。



ーSKY-HIさんのパートでは、そんな当時のさなりさんに向けられた励ましのリリックがあります。これを受け取ったときは、どう感じました?

元気付けられましたし、ちょっと恥ずかしくなるくらいアツいリリックで。SKY-HIさんも「これくらいアツくなってもいいかな? ちょっと照れるよね?」って訊いてくれてたんですけど、これぐらいがいい感じですよと伝えて。SKY-HIさんのパートには僕の曲のタイトルも散りばめられていて、さなりのためだけに書いてくれたんだなと思いました。オファーにしっかり応えてくれたのが、とても嬉しかったです。SKY-HIさんとは、ずっとフィーチャリングしたいねという話はしてきていたので、待ちに待った機会でした。

ーさなりさんのパート「誰かの正しさに 日毎夜毎踊らされているんだ」という言葉は、社会にも目を向けているのかなと思いました。例えばSNSでは、自分が正しい前提で何かに意見をしたりするようなことも増えて、そういう部分にも目を向けているのかなと。

そういうこと自体は、この曲を作るときに考えたというより前から思っていたことで。SNSやインターネットを見て思ったり、きっと生きていれば誰でも思うことなんですよね。

ーさなりさんは小学校の頃からYouTubeに動画投稿もされていました。自分に向けられた高評価や低評価ボタンもあり、色々なコメントも飛び交っている場所だと思います。だからこそ、ずっと感じていたことなんですか?

ずっと感じてましたね。特にYouTubeのコメント欄を見ながら動画を見る人が多いので、ちゃんと動画を見ていないのに、コメント欄で動画の内容を判断されることもあるし。そういうコメントを書いてるのがどういう人物かもわからずに。見えない何かに踊らされてる感覚は、昔から感じてましたね。僕自身も何に対しても影響を受けやすい方で、ネガティブなことにはあまり影響を受けないようにしてますけど、良くも悪くも受けやすいと思いますね。

ー収録曲の「Sublimate」でも「枯れた脳で爆裂のArt」、「朝になりゃ躁鬱の洞窟」というリリックが過激で印象的ですが、どういう状況で作られたんでしょうか?

この曲のリリックについては、自分でもよく分からなくて。作り始めたきっかけとしては、自分がどんなに不幸でも、その状況を曲として完成させて昇華することによって、誰かが聴いてくれて、自分が知らない間に誰かの癒しになったりするのが素晴らしいな、理想だなと。ファンの人からそういうメッセージをもらったり、友達にこのリリックがとても好きと言ってもらって感じたりはしますね。そういう形で届けられていたら僕も嬉しいですし。

ー人前に出る仕事をする方は、良くも悪くも評価やコメントに対しての大なり小なり承認欲求があるんじゃないかと思っていて。そこで活躍されてきたさなりさんが、音楽を通して、皆に癒しを感じてもらえたら嬉しいと仰られるのは興味深いですね。

たぶん、昔から根本にあるのは、自分が作りたいものを自分で作るということだけ。今は完全に自分のために曲を作っているのかもしれません。自分が楽しいから、自分がこうしたいからやってるというのが大きくて。YouTubeに動画を投稿していた時も、自分の作品を見れる場所に投稿して。そこまで相手側に理解や反応を求めはしないけど、好きな人は見てくれたらいいなと思います。あくまで、俺は俺のために活動をして、それがもし誰かのためになればそれはそれで嬉しいな、というスタンスは昔から続いていると思います。

ーさらに収録曲には「Future(redoing)」も収録されています。バンド編成のアレンジになっていますが、バンドサウンドにしようと思ったきっかけはありますか?

元々「Future」はYouTube上でしか公開していない曲で、それを今回そのままリリースするのも勿体ない気がしていたんです。ちょうど昨年のワンマンライブでバンド編成でやってたし、生音で録音をし直して、トラックも結構アレンジしてみました。



ーさなりさんは、創作活動を始めた当初から主に1人で創作活動をされてきたと思うんですけど、バンドのように仲間と音楽をやることを考えたことはあったんですか?

ライブを観に行って、バンドメンバーがいるのが羨ましくなることは何度かありました。でも結局1人でいるのが好きだし、ずっと1人で曲を作ってきたので、バンドをやっていたとしても、すぐ辞めてたんじゃないかな(笑)。

ー自分自身のために、自分が作りたい作品を1人で作り続けてきたんですね。

そうですね。社会や誰かに何かを伝えたいというよりは、自分が書きたいことを書いて、それが誰かに伝わってたらそれはそれで嬉しい。誰かに分かってほしい、伝えたいみたいなことは、そこまで意識して考えていないかもしれないですね。伝えたいことというのは、相手に理解を求めていることな気がしていて、あまり言いたくないんですよね。人のためとか言うと、嘘をついてる気がしちゃって。

ーあくまで自分自身に正直でいたいんですね。

なるべく自分に嘘をつきたくないというか。今は自分が感じたり、思ってることに忠実、素直でありたいと思っています。

ーそれこそ「2FACE feat. SKY-HI」は、さなりさんの辛い時期があったからこそのリリックだと思うんです。ファンにどう理解されるのかは、そこまで強く意識してはいないですか?

むしろ「2FACE feat. SKY-HI」の歌詞に関しては、僕はあまり書きたくなかったことなんですよ。自分の気持ちをありのまま話してる感じがちょっと恥ずかしいと思っていて。むしろ伝わって欲しくないという気持ちすらあるくらいなんです(笑)。



ーあくまで自分自身のために創作するというのが、小学生の頃から続いてきた創作活動の根本なんですね。

たぶん、伝えたいことというよりは書きたいことがあるんですよね。その書きたいことが、誰かに伝わってたら嬉しいな、ぐらいの感じかな。それが皆に伝わっていたらそれはそれでいいし、伝わらなくても自分のやりたいことや書きたいことは書けているからそれだけでもいいです。

ーコロナ禍で色々と活動しにくい時期ではあるかもしれませんが、これから挑戦していきたいことなどあれば教えてください。

最近は、楽器を弾けるようになりたいと思ってます。ピアノを弾けるようになったら、弾き語りとかもしてみたいです。今はお仕事が来たら、面白そうであればとりあえずやってみたいので、挑戦できるものは何でも挑戦していこうかなと思っています。楽器、演技とか芝居の仕事だろうが、面白そうであれば縛らずになんでもやってみたいですね。


<リリース情報>

さなり
「2FACE feat.SKY-HI」

発売日:2021年1月6日(水)
収録曲:
1. 2FACE feat.SKY-HI
2. Sublimate
3. Future(redoing)

Official Site:https://sanaridayo.com



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