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テキサス州、中絶禁止法が一時差し止めへ

Rolling Stone Japan / 2021年10月8日 17時45分

Sergio Flores For The Washington Post/Getty Images)

2021年10月6日夜、連邦地裁の判断でテキサス州の中絶禁止法が一時差し止めとなった。同州の中絶禁止法は、妊娠6週間以降の人工妊娠中絶に関わったあらゆる者が訴訟の対象となる一方、どこに住む誰であろうと訴訟を起こすことが可能かつ、訴訟を起こしたものには10000ドルの法定報奨金が支払われるものになっており、全米で最も厳格な中絶禁止法であると言われている。

今回の差し止めに至るまでの経緯として9月1日、連邦最高裁がこの法律に対する権利擁護団体等の差し止め請求を退けた直後、司法省が同法を違憲としてテキサス州を提訴していた。同州はこれを不服として控訴しており、最高裁に差し戻されるものと見られていた。

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今回差し止めの判断を行なった連邦地裁のピットマン判事は、113ページに及ぶ意見書で「中絶を選択するという個人の権利は決して剥奪されるべきものではなく、憲法により保証されている」「州による直接の決定で市民からこの権利を剥奪することは著しく違憲であることを認識した上、同州はそのために前例のない法律を企てた」と述べている。

ピットマン判事は、この法律が今に至るまで差し止められなかった唯一の理由を、本来なら違憲であると判断すべき法的精査を「意図的に回避」するように設計された法定報奨金制度にある、とした司法省の見解に賛同している。ジョージア州、アイオワ州、ケンタッキー州、ミシシッピ州、ノースダコタ州、オハイオ州、サウスカロライナ州、テネシー州の8州においても、過去にテキサス州と同様の法律が施行されようとしたが、中絶に6週間の猶予しか認めないとする制度は違憲であると結論づけられ、すぐに差し止められていた。



女性の性と出産に関わる医療サービスを提供、調査する非営利組織のプランド・ペアレントフッドは、差し止めの決断を賞賛する声明を発表した。組織の代表でCEOのマクギル・ジョンソン氏は「この1ヶ月間テキサス州では、憲法に反する法律により、中絶を選ぶ権利が迫害されていました。私たちは同法律を差し止める決断を待ち望んでおり、これを実現した司法省の迅速な対応に感謝しています。私たちの戦いはいまだ終わりからは程遠いと言わざるを得ませんが、その一方で、テキサス州において中絶という選択肢を提供する医療関係者らが可能な限り速やかにその業務を再開できることに期待しています」と述べた。

ある年、テキサス州では年間約53000人の住民が中絶を希望したという資料がある。この統計によれば、同州で中絶禁止法が施行されていたわずか1ヶ月間で、数千人もの住民が大きなコストを支払って州外へ行ったり、望まぬ出産を余儀なくされた可能性がある。

また、この1ヶ月間で少なくとも3人が10000ドル目当ての訴訟を起こしている。この3人のうち2人は脱税やハラスメントで資格を剥奪された元弁護士、1人は中絶禁止の活動家で、過去に中絶を行なった診療所を爆破しようと試み収監されていた。

中絶禁止法が一時差し止めされたとはいえ、どれだけの病院や診療所が再び中絶に関わる医療行為を抵抗なく再開するかはまだ定かではない。同法のもと初めて訴訟を起こされたアラン・ブレイド医師や、テキサス州の中絶を提供する医療機関を代表し、センター・フォー・リプロダクティブライツ(リプロダクティブライツを推進する営利団体)は、「中絶禁止法が完全に撤廃されるまで、遡及的な訴訟を起こされる脅威がなくなったわけではありませんが、可能な限り速やかに、中絶の提供を再開できるよう願っています」「この法律の残酷さはとどまることを知りません」と述べている。

From:Texas Abortion Ban Halted — For Now

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