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Reiが赤裸々に語る、長岡亮介との再会劇「泣きながらギターを録りました」

Rolling Stone Japan / 2022年1月7日 18時0分

Rei

Reiが始動したコラボレーションプロジェクト、QUILT。第一弾の藤原さくらに続き迎えられたのは、長岡亮介。かつて長岡がプロデュースしたReiの1stミニアルバム『BLU』以来の共同制作によって、ここに「Dont Mind Baby(with 長岡亮介)」という楽曲が生まれた。この楽曲に込めたメッセージについて、Reiが真摯に語ってくれた。

【画像を見る】Rei(記事未掲載カットあり・全5点)

─個人的な体感として、2021年はどんな1年でしたか?

Rei:今年は自分を見つめ直した1年だったと思います。それは技術的にも精神的にも。ギターを始めてもう24、5年経つなかで、ただプレイするだけでは突破できない壁というものがあって。さらに次のレベルのギタリストになるための訓練を体当たりでやりました。作家としての曲作りにおいてもそう。そのために人間関係や自分の感情のコントロールを見つめ直してさらに理想に近づけるために何ができるか、一生懸命考えた1年でした。

─技術的な面の鍛錬について具体的に言うとどんなことがありましたか?

Rei:ギターでいうと新しい奏法の訓練もしたし、あとは渡辺香津美さんと共演したり、昔から友だちだったけど今年になって石若駿くんと一緒に演奏する機会があるなかで、自分のジャズに対する興味もすごく深まってきて。興味はそれ以前からあったのですが、より深めたいと思うようになりました。あとは、歌もそう。



─発声?

Rei:そうです。自分らしく、人にとっても心地いいスイートスポットを見つける歌い方をすごく考えながらライブをやっていました。今はそうやって自分を客観視することを常に意識していて。それこそQUILTという今回のコラボレーションプロジェクトも外部から受ける刺激をどれだけ自分のプレイに取り込んで反映させられるか、人の技術をどのように盗めるかとか、そういう部分がどんどん重要になってきていると思います。

今、コラボレーションを重ねる意味

─QUILTというプロジェクトの立ち上がりは自分と向き合う時間の中で思いついたアイデアだったんですか?

Rei:去年の11月にリリースした2ndアルバム『HONEY』は個にフォーカスした作品でした。そこからの反動もあって賑やかな作品を作りたいという想いがどんどん出てきて。自分自身と向き合ったことによって見つけられた発見があったから、今度はより強固になったアイデンティティーを人とのコラボレーションによって壊してみたいという気持ちと、いろんなものをぶつけられても揺るがないという自信のその両方があって。それで人とコラボレーションしてみようという流れになっていきました。



─強固になったアイデンティティーについて具体的に言えますか?

Rei:自分が弱い人間だということを認めたんですよね。私は強がりで、カッコつけたがりなところがあって。自分の音楽に対するプライド、それがずっと私のモチベーションであり、それに翻弄されていたところもあったし、それによって狭められてきた人生でもあったと思います。でも、そうやって人間的に弱い部分があるからこそ私は音楽にすがっていた。それはわかっていたけれど、作品にする中で深く自分の中で認めていった感じです。

─リリックにも表れていったし。

Rei:やっぱりリリックに出ますね。そういう自分の弱さや自分が傷ついてる様子をなるべく生々しい言葉で表現することによってリーチできたリスナーがいると実感できたのが『HONEY』でした。それまではどこかでマスに届けるために大人数の平均値を取ろうとしていたところがあったけれど、そうじゃなくて、もっと自分しかわからない歌を書こうと思えたというか。今回の「Dont Mind Baby with 長岡亮介」という曲には”いつもはおしゃべりな / きみが静かにうつむくと”というリリックがあるのですが、以前だったらそこで「おしゃべりじゃない人(リスナー)もいるじゃん!」って自分の中でツッコミを入れてたわけですよ。いろんな人に共感してもらうことを意識しすぎて。

─聴く人を限定しないように。

Rei:そう。意識しすぎた結果、曲をどんどん捨ててしまっていた。だけど、一回勇気を出してパーソナルで内省的な作品を作ってみたら、自分が思っていた以上に深く共感してくれる人がいたからこれでいいんだって思えた。強がることが大事なときもあるけど、強がらなくてもいい部分を少しずつ作っていければいいのかなと。



─ソングライティングにおいて、ミクロに目を凝らすほどにマクロな広がり方をするという考え方があるじゃないですか。

Rei:それってセオリーだし、よく聞く話ですけど、いざ自分がやるとなるとやっぱり難しいんですよ。なぜかというと、定期的にメディアで自分の作品についてお話したり、ライブでたくさんの人の目の前に立ったり、チャートの中に入っていく自分の作品もそうだし、そういう活動の中でやっぱりお客さんを意識せざるを得ないわけです。そのお客さんのことをちゃんと愛していたいという気持ちがあると、届ける人のことを意識しないで作品を作るのはすごく難しい。パーソナルな曲のほうが深く届くことも最初からわかっているんだけど、一人でも多くのオーディエンスを増やしていくという過程の中では簡単にできることではなくて。

─でも、そこから振り切ることができた。

Rei:そうかもしれないと思うし、それは今の私の答えでしかなくて。この変化が絶対的なことだとは思わないけど、今はそう思って曲を書いています。

QUILTの根底にある「本物の人間関係」

─今回、QUILTプロジェクトを始動するにあたって、第一弾でコラボレーションした藤原さくらさんと今回の長岡氏の顔はすぐに思い浮かんだという感じですか?

Rei:そうです。着飾らなくてもいい相手であり……なんていうのかな? 私がクラシックギター出身ということもあると思いますが、同業者のことをライバル視してしまうところがあって。すぐに悔しいって思っちゃうんですよ。でも、それは本当に相手のことを認めているからで。

─それはジェラシーと呼べる感情でもある?

Rei:ジェラシー……妬いてるというのともちょっと違うのですが、私は負けず嫌いだから。さくらちゃんも亮介さんも私にとってはライバルですが、その中でも心を許せて正直に話せる相手だと思います。そして、このQUILTというプロジェクトはデビュー当初だったら実現できなかったと思います。人間関係を築いて、その積み重ねのもとに実現できることだから。

─Reiさん自身がホストであることが重要で。

Rei:そう思います。だから、今はすごく私にとってご褒美タイムでもあるんですよね(笑)。ここまでがんばってきてよかったなと思える時間だし、自己肯定感の低さみたいなところが自分のモチベーションにもなったりするけれど、それがちょっと和らぐというか。自分が大好きな人たちとコラボレーションできるって、認めてもらえてるということでもあるので。



─間違いないですね。

Rei:さらに、今回の「Dont Mind Baby with 長岡亮介」は赤坂カントリーハウスという亮介さんが学生のころから通ってライブをしている場所のハウスバンドのみなさんに参加していただいたことも大きなポイントです。亮介さんにプロデュースしてもらった『BLU』(1st Mini Album)に収録されている「my mama」という曲もそのハウスバンドのみなさんと録音したんですよ。今回もまた同じメンツで演奏したいなということで、それも込みでオファーさせていただいて。アレンジリハーサルもカントリーハウスでやらせていただいたんです。私にしてみたら、亮介さんが自分がお世話になった人たちを紹介してくれるということは、私のことも信頼してくれて愛情を持ってくれていることの表れでもあると思うから、それはすごくうれしかったです。私は『BLU』を経て2作目以降はセルフプロデュースで作品を作ってきました。『BLU』のジャケットは私が書いたイラストのポートレートですが、いつもそれを見ながら自分に問いかけるんです。「あのジャケットの女の子だったらこれをやるかな?」って。いつもそれが自分の判断基準になってる。仕事を一つ選ぶときに悩んだりしたら「この子だったらどうするかな?」って考える。

─あのジャケットの子が喜ぶかどうか。

Rei:そう。あの子がだったらダサくてやらないだろうなと思うことはやらないし。今回、亮介さんが寄せてくれたコメントを読んでも思いましたが、『BLU』を経てセルフプロデュースでやってきた時間の中で私が培ったものを、今回の曲の制作を通してすごく感じてくれたみたいで。亮介さんに「前進してるね」と言ってもらえたことが本当にうれしかった。私はバイリンガルとして育って言葉に対するコンプレックスがあるなかで自分の音楽が生まれているので、人の態度から本心を汲み取るのが得意なほうだと思うんです。亮介さんが本心でそう言ってくれたと感じられたのがよかった。

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─『BLU』から6年、濃密な時間を過ごしてきた。

Rei:そうですね。これは冗談じゃなく、よく生きてきたなって自分でも思います。そう思うし、「Dont Mind Baby with 長岡亮介」という曲は別れをテーマに書いたんですね。

─別れの前日譚としてのドライブですよね。

Rei:そう。恋人たちが離れ離れになる前のドライブというカジュアルな気持ちでも聴いてもらえる曲でもあるし。私自身は、自分の大切な人が別れに心を痛めていて、その人に元気を出してほしいという気持ちで書いた曲なんです。出会うということは必然的にいつか別れが訪れることを意味してるから。それがドライブのようだなと思って。車に乗り込んで目的地に着いたら、いつかその車から降りるということだし、人生のようだな、と。そういう自分の死生観についても描いた曲になりましたね。あとは亡くなった人はどこかで生きてる私たちを見てると思うし、助手席に座ってるんじゃないかなと思うんです。でも、それはあくまで私のイメージだし、曲としてはカントリーハウスのバンドを迎えたこともあいまってすごく広くてゆとりのある曲になった。遠距離恋愛の曲としてカジュアルに聴けるし、シリアスな曲としても聴ける。そういういろんな想像の余地がある曲になったなって。そういう曲はこれまでの自分にはなかったなとも思うし。ルーツミュージックの焼き直しではなく、J-POPとしても成立している曲になったと思います。

─本当に忘れがたいレコーディングだったんだろうなと思います。

Rei:そうですね。何日かに分けて録ったんですけど、バンドでレコーディングした日にギターソロを録ったのが深夜の2時くらいで。泣きながらギターを録りました。

─それはどういう涙だったんですか?

Rei:亮介さんとひさしぶりに一緒に音楽を作れたことに感動したし、こうやって再会するまでの音楽と人生を続けられてよかったという感動もありました。



─QUILTプロジェクトは2022年以降も続いていくと考えていいんですよね?

Rei:はい。続いていきます。ご期待ください。来年はさらにアクションの年になると思います。かつては自分が書く曲やギターをもっと認められたいという気持ちが強かったけど、今はそれより……生き方。こういう生き方があるんだよって誰かに伝わったらいいな、と思う。QUILTプロジェクトのテーマは共生なんですね。私のルーツはクラシックギターにあって、たった一人でギター持ってステージに立つことから始まった。そして、ブルーズという、アメリカで黒人が自分の感情をギター弾き語りで吐露することで始まった音楽に共鳴して。私の音楽ってずっとひとりぼっちだったんですよ。学校に行っても音楽ばっかりやってるから友だちとも繋がりが希薄だったし、人間関係に対して何も経験してないのに早くからあきらめていたんです。あきらめてたんだけど、ずっと音楽を一生懸命やってきて、その道すがらで出会った人たちがいて、その人たちとはすごく深く繋がれた。初めて本物の人間関係を築けたという気持ちになって、ああ、こういうことってあるんだって驚きを覚えました。その感動をQUILTプロジェクトで示したいと思う。まだ28年しか生きてない人生だけど、作品を作っていく中で証明できるはずだから。



Rei
「Dont Mind Baby with 長岡亮介」
配信リンク:https://lnk.to/Rei_Dont_Mind_Baby


Reiny Friday -Rei & Friend- Vol.13
2022年2月18日(金)東京・鶯谷 東京キネマ倶楽部
Act:Rei
Friends:奇妙礼太郎
Reiny Records先行受付
2021年12月23日18:00〜2022年1月5日(水)23:59
https://eplus.jp/rei22-rr/

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