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虚言の果てに両親殺害、死体をバラバラにした23歳息子の謎 米

Rolling Stone Japan / 2022年1月7日 6時45分

2022年1月4日、ウィスコンシン州マディソンのデーン郡巡回裁判所で行われた公判初日のチャンドラー・ハルダーソン被告(Photo by John Hart/Wisconsin State Journal via AP)

昨年7月、両親殺害と死体損壊・死体遺棄、さらに虚偽の失踪届を出した罪で逮捕されたチャンドラー・ハルダーソン被告の第一回公判が、現地時間1月4日、米ウィスコンシン州マディソンのデーン郡巡回裁判所で行われた。

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アメリカの同年代の人々がそうであるように、23歳のチャンドラー・ハルダーソンもこの1年あまり両親と暮らしていた。当局によれば、父親のバート・ハルダーソンさんと母親のクリスタ・ハルダーソンさんは、息子が地元のマディソン工科大学の専門課程を修了し、ウィスコンシン州の保険会社のもとでリモート勤務をしていると思い込んでいた。彼の人生は前途洋々のように見えた。しかも2021年6月には、イーロン・マスク氏のSpaceXに就職が決まり、月末までにはフロリダ州に引っ越すと宣言した。恋人も一緒にフロリダへついていくことになった。彼は恋人に、すでにアパートの賃貸契約を結んで、車も購入したと告げた。

だが当局いわく、問題はそれらがどれもでたらめだったことだ。検察によれば、ハルダーソン被告は会計士の父親(父親もパンデミック中は在宅勤務をしていた)が嘘に気づかないよう、ありもしない会議のために朝早く起床しては自室で1日中TVゲームで遊んでいた。ところが検察いわく、まやかしの生活の真相をバートさんに気付かれると、ハルダーソン被告は父親を射殺し、数時間後に帰宅した母親も殺害した。その後被告は両親の遺体を切断し、ウィスコンシン州南部のあちこちに捨て、約1週間後に失踪届を出した。

【写真】逮捕当時のチャンドラー・ハルダーソン被告(Photo by Dane County Sheriffs Office via AP)

ハルダーソン被告は全ての罪状で無罪を主張。冒頭陳述で弁護側は被告の仕業ではないと述べ、被告はTVゲームに興じ、犬と戯れ、恋人とともに時間を過ごす「ごく普通の青年」だと述べた。公選弁護人のキャサリン・ドール氏は、ハルダーソン被告が仕事や学業について嘘をついていたことは認めたようだが、嘘が殺人の動機にはならないとほのめかした。「バートさんとクリスタさんがこれらの嘘にどういった対応を示したのか、皆さんにはわかりません」と、州の裁判について弁護士はこう述べた。「嘘が殺人にどう発展したのか、説明することは決してできないでしょう」。さらに弁護士は、ハルダーソン被告が求刑されている軽罪で有罪となる可能性はある、とも述べた。「ですが、どんな殺人の証拠があるのですか?」


大学事務局とのメールのやりとりを捏造

デーン郡のウィリアム・ブラウン地方検事補は4日に行われた検察側の冒頭陳述で、ハルダーソン被告が実際は1学期前後で退学になったにも関わらず、再生エネルギー工学を勉強しながら就職も内定したという話をもっともらしく見せるために「見事な嘘の網を張り巡らせた」と述べた。彼は大学事務局との数十件におよぶメールのやりとりを捏造し、進学アドバイザーのふりをして使い捨て携帯で父親と会話までした。会計士の父親が、なぜ1年近くも給料が支払われないのかと尋ねると、被告は給与振り込みの情報に手違いがあったという言い訳をでっちあげ、しまいには人事部との嘘のメールのやり取りを捏造して父親に見せた。

ブラウン検事補によれば、父親から次第に家に金を入れるよう迫られたハルダーソン被告は、さらに嘘の上塗りをした。「架空の仕事から言い逃れる最善の方法は、さらに架空の仕事をでっちあげることです」とブラウン検事補。「被告は宇宙飛行士になろうとしたのです」。被告は家族と恋人にSpaceXへの就職内定を伝えた。被告は恋人と一緒にフロリダ州に移住する計画を立てた。

現職はおろか将来の仕事もなく、学位を取れる見込みもなく、フロリダに引っ越す金もない状態で、ハルダーソン被告はすっかり行き詰まった、とブラウン検事補は主張した。検察いわく、被告は頭部をケガしたと嘘をつき、階段から落ちてひどい脳震盪を起こした上(ブラウン検事補は、のちに医師が証言台でこの主張に反論すると述べた)、脊椎や神経の損傷で首にギブスを装着し、引っ越しできなくなったと語ったとみられる。

同じころ、ハルダーソン被告の父親バートさんはついにマディソン工科大学に電話をかけ、息子の成績証明書について尋ねたが、ハルダーソン被告がメールをやり取りしていたと思しき事務局の職員は1人も存在しないことが判明した。録音されたカスタマーサービスの通話記録には「なるほど、そうなんですね」というバートさんの声が残っている。ブラウン検事補によれば、バートさんのスケジュール帳には2021年7月1日にハルダーソン被告と工科大学に打ち合わせに行く予定が書かれていたが、検察はこの打ち合わせもでっち上げられたに違いないとみている。その日の午後、バートさんはハルダーソン被告に「お前の都合のいいタイミングでいつでも行けるよ」という携帯メールを送信した。これが最後に記録されたバートさんとの通信だった。


恋人の家族が所有する農場に死体の一部を遺棄

ブラウン検事補は、ハルダーソン被告がありもしない打ち合わせのために大学に行く代わりに、ライフルで父親を射殺し、ほどなく帰宅した母親も殺害したと主張した。被告は死体を切断して自宅の焼却炉で焼こうとしたが、その後死体の一部を公共保有地や農地、川沿い、用水路、ゴミ箱などに捨てた。

ブラウン検事補は公判に先駆けて、ハルダーソン被告の関与を証明するという証拠の一部を披露した。捜査官はハルダーソン家の暖炉から人間の頭蓋骨の一部を発見した。被告の恋人の家族が所有する農場のオーナーの話では、被告は7月1日の犯行後、奇妙な行動を取っていたそうだ。恋人の家のプールで泳いでいいかと尋ねたが、ほどなく車のトランクを開けたまま農場を歩いている姿を家族に目撃されている。警察はのちにその場所でバートさんの胸部とのこぎり、はさみ、高枝切りばさみ、さらにバートさんとクリスタさんの血がついた防水シートを発見した。さらにブラウン検事補によれば、警察は凶器に使われたSKSライフル(ネット上の友人からハルダーソン被告に贈られたもの)を農地の納屋で発見した。両親を殺害したとみられる日の翌朝、被告は恋人に野暮用があると告げたが、彼の位置情報がウィスコンシン川沿いの林だったのを不審に思った恋人は、位置情報のスクリーンショットを撮影した。警察が現場に向かうと、切断されたクリスタさんの両脚が見つかった。両親を殺害した直後とみられる7月1日の夕刻には、ハルダーソン被告は携帯のNotesアプリを使ってリストを作成していた。その中には過酸化水素、レモンの他、「床をきれいにする」「仕事を見つける」といった指示が書かれていた。

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from Rolling Stone US

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