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セントラルパーク・ジョガー事件の知られざる共同被告、有罪撤回へ 米

Rolling Stone Japan / 2022年7月28日 6時45分

2002年7月25日、法廷でのスティーヴン・ロペス氏(Photo by Steven Hirsch/AP Photo)

1989年、米ニューヨークのセントラルパークをジョギング中だった銀行勤務の白人女性がレイプされ意識不明で発見された事件、通称「セントラルパーク・ジョガー事件」の共同被告、スティーヴ・ロペスさんが同事件に関連した強盗罪での有罪判決を撤回された。現地時間25日、ニューヨーク・タイムズ紙が報じた。

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「セントラルパーク・ジョガー事件」では、14歳から16歳の黒人やヒスパニックの少年たち5人が逮捕され、7年から11年の実刑判決を受けた。彼らが逮捕・起訴された時、ロペスさんは15歳だった。5人組(セントラルパーク・ファイブ)と同様ロペスさんも1989年4月に逮捕され、20時間近くも留置所に監禁された。その間、公園で発生した様々な事件について尋問を受けた。当時警察の尋問を受けた10代の若者たちは、これらの事件の責任を仲間になすりつけるよう警察から強要されたと非難している。中には、ジョギングしていた男女を襲ったのはロペスさんだと供述した者もいた。

ロペスさんは検事との司法取引に応じ、レイプでの起訴を免れる代わりに、ジョギングしていた別の男性の強盗事件で有罪を認めた。ロペスさんは3年以上服役したが、有罪判決に対して控訴することはなかった。一方、5人組は1990年に個別に裁判を受けて有罪判決を受け、その後12年間服役した。最終的には証拠のDNAから、それまで起訴されていなかった容疑者マティアス・レイズが被害者トリーシャ・メイリさんを襲った犯人として浮かび上がった。別の強姦殺人事件で服役していたレイズも犯行を認め、5人組の有罪判決は覆された(のちに5人はニューヨーク市と4100万ドルで和解した)。

以来5人の物語は広く知られるところとなり、警察の不正とアメリカ刑事司法制度の人種差別の最悪な例となったが、事件全体におけるロペスさんの立ち位置が表沙汰にされることはなかった。例をあげれば、彼は先の和解訴訟に加わっていないし、先ごろ公開されたエヴァ・デュヴァネイ監督のミニシリーズ『ボクらを見る目』にもロペスさんの役は出てこない。ロペスさんがマンハッタン地方検事局に有罪判決の撤回を申し立てたのも、つい2月のことだ。





不当な有罪答弁

マンハッタン地方検事局冤罪班に勤務するテリ・S・ローゼンブラット氏はロペスさんの事件について、無実の罪で起訴された被告が有罪答弁を強要された一例だと述べた。「裁判での不当判決はよく話題になりますが、不当な有罪答弁もあるのです」とローゼンブラット氏。「虚偽の自供をする人についてはいろいろなことが分かっていますが、裁判で犯してもいない罪を認めてしまう人にも同じことが当てはまります」

ロペスさんと男性被害者を結びつける科学的証拠はなく、被害者の男性もロペスさんを犯人グループとは断定しなかった。科学捜査官はロペスさんの衣服からメイリさんの毛髪を発見したと主張したが、のちに最初の毛髪検査は信頼性に欠けていたと判断された。

残念ながら、刑事が記録したロペスさんの調書には、男性被害者が襲われた現場にいたという自供が記載されている。ロペスさんと彼の父親(英語が話せなかった)は調書に署名したが、ロペスさんはメイリさんのレイプ事件には関与していないと主張し続けた。レイプ裁判が始まる直前、ロペスさんは司法取引に応じ、第1級強盗罪で罪を認めた。

25日、法廷内のロペスさんは口を閉ざし、審理中ねぎらいの言葉をかけた判事に謝意を述べるにとどまったそうだ。ロペスさんの弁護人を務めたエリック・レンフロ氏は、依頼人はプライバシーの尊重を求めていると述べた。審理でレンフロ氏は「あなたの身に起きたことは深刻な不正行為であり、アメリカの悲劇だと思います……この国の司法制度がどれほどあなたを悲しませたかを見ると、本当に胸が痛みます」と発言した。

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from Rolling Stone US


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