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列島「大動脈」寸断リスクを露呈  緊急時の輸送力どう確保 JR東、保守用車事故続発

産経ニュース / 2024年9月25日 21時8分

JR東日本管内で保守用車が絡む事故が続発していることが25日、明らかになった。今年7月に起きた東海道新幹線の保守用車脱線事故では、運行が終日ストップし、列島の「大動脈」が寸断されるリスクも露呈した。専門家は「緊急時の輸送力を確保する代替手段が重要」と指摘する。

技能、知識が必要な作業

新幹線や在来線の保守作業は、最終列車が通過してから始発運行までの夜間から早朝にかけて行われる。レールの維持や架線の交換、トンネル内の通信ケーブルの敷設、駅ホームドアの設置など作業は多岐にわたり、電気や土木といった専門知識とともに高度な技能が求められる。

ある鉄道技術者は「保守用車を基地から出庫し、現場に到着してからも始業前には車両に異常がないか点検やブレーキ試験を行う。実質的な作業時間はせいぜい4時間程度」と話す。

今年8月、横浜市のJR東海道貨物線で起きた保守用車同士の追突事故では、事故当日の午前0時に現地集合した後、作業員の点呼や線路の封鎖、車両載線などの準備を終え、実際の工事が始まったのは約1時間半後だった。

保守用車の事故を巡っては、平成22年7月に神戸市の山陽新幹線トンネル内で2台が絡む追突、脱線事故があり、このときは速度超過と衝突防止装置の作動遅れが原因と指摘された。

東海道新幹線でも5年と27年に保守用車同士の追突事故が発生している。JR東海は保守用車の接近警報装置を改良するなど安全性向上を図ってきたが、今年7月に愛知県内で再び事故が起き、浜松-名古屋間が不通となるなど、約25万人が足止めされるトラブルとなった。

今月23日には、山口県内の山陽新幹線トンネル内で架線を交換する保守用車が線路上で動かなくなり、広島-小倉間で始発から約5時間半、運転を見合わせた。

保守用車の安全「脆弱」

JR東日本で昨年10月以降に発生した計5件の保守用車事故は、いずれも在来線で営業運転への影響はなかったが、一歩間違えれば大規模な輸送障害につながるリスクもあった。JR東は取材に対し「重く受け止めている」とした上で、「再発防止を図ることが重要と認識しており、個別案件の原因に応じた対策を講じる」とコメントした。

鉄道アナリストの川島令三氏は、保守用車の事故が続発する背景について「保守用車は近接して作業する場面が多い割に営業列車に比べ安全システムは脆弱(ぜいじゃく)」と指摘する。その上で「最も重要なのは緊急時の輸送力をどう確保するか。逆線走行などを頻繁に行う欧州の対策は日本の鉄道網でも生かせるのでは」と話す。(白岩賢太)

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