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携帯電話が流され…「笑う元気も残っていない」 濁流に迫られた輪島の人たち

産経ニュース / 2024年9月22日 13時48分

自宅を掃除する中大治さん=22日午前、石川県輪島市(渡辺大樹撮影)

「もう笑う元気も残っていない」。石川県能登地方で河川の氾濫や土砂崩れが多数発生した記録的豪雨から一夜明けた22日、輪島市久手川町の中大治さん(66)は、そう言って嘆息した。

21日午前、中さんが仕事から帰宅すると、自宅は近くの川の水とともに押し寄せてきた流木で半壊状態に。自宅前にはペシャンコに押しつぶれた車が横転し、周囲にはかすかにガソリンの匂いが漂っていた。

家の中は泥まみれで、棚に飾っている孫の写真も汚れていた。「地震の次はこれか。やっと落ち着いたと思ったらこのありさまだ」。中さんは肩を落としながらスコップで泥をかき出し続けた。

大阪に住む息子も心配しているだろうと思うが、「家に置いていた携帯電話が流され、連絡も取れない。早く連絡したい」と肩を落とした。

輪島市塚田町の田中宏二さん(76)宅近くの川は、大雨で濁流とともに流れてきた流木が水をせき止め、行き場を失った水が道路や田んぼにあふれた。

今は少し落ち着いているが、「こんなのは初めてだった。自分も巻き込まれるんじゃないかと恐ろしかった」と振り返った。(鈴木文也)

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