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乳がん手術後に腫瘍マーカーが高値に 再発したのでしょうか? がん電話相談から

産経ニュース / 2024年9月24日 9時0分

高野利実医師

がん患者や家族の悩みに答える「がん電話相談」。今回は乳がん術後の腫瘍マーカー値が基準値を超え、再発を心配する43歳女性に、がん研有明病院の院長補佐で乳腺内科部長の高野利実医師が助言します。

――令和4年8月、右乳がんと診断され、9月に右乳房部分切除術と腋窩(えきか)リンパ節郭清術を受けました。がんの大きさは1.5センチで、リンパ節転移が1個あり、ステージはⅡでした。ホルモン受容体陽性、HER2陰性、(がん細胞増殖の活発さを示す)Ki67値は42%(高値)でした。

「術後の治療は?」

右乳房への放射線治療と、同年12月からAC療法(ドキソルビシンとシクロフォスファミドの2剤併用化学療法)を4サイクル、ドセタキセルを4サイクル実施しました。昨年6月からは経口抗がん剤のティーエスワン(TS1)とホルモン療法のタモキシフェンの服用を始めました。TS1は間もなく1年間の服用を終える予定で、その後はタモキシフェンをあと9年間継続すると言われています。

「標準的な術後薬物療法が選択され、きちんと受けているということですね。今後はホルモン療法のみとなりますが、副作用が問題なければ、これをきちんと続けることが重要です」

――手術を受けた病院では、腫瘍マーカー検査はしていなかったのですが、今年5月に近くのクリニックで検査を受けたところ、CA15ー3が37と高値で、再発の疑いがあると言われました。PETーCT検査ではがんの所見はなく、その後、CA15ー3は37から33、31と下がり、再発ではなかったと説明されましたが、不安が拭えません。

「腫瘍マーカーが上昇したのは、再発していないのに検査値が上がってしまった『偽陽性』と考えられます。症状もなく、腫瘍マーカー以外に何も異常は見つかっていないので、心配ありません。腫瘍マーカーの変化で不安になってしまう患者さんは多く、この検査の大きなデメリットです。腫瘍マーカーで再発を早期発見することによって予後が改善するという根拠はありませんので、今後は腫瘍マーカーを測らないのがよいと私は思います」

――測らないのも不安です。再発が分からなくなってしまいませんか。

「再発があって腫瘍マーカーが上がるのは、ほとんどの場合、体全体にがん細胞の種がまかれて遠隔転移が生じている状況なので、根治を目指せるわけではありません。遠隔転移が起きたのを早く確認して早く治療しようと考えるよりも、遠隔転移が生じる前に、がん細胞の種を根絶させようと考える方が妥当で、そのために今受けているのが、術後薬物療法です。やるべきことはやっているので、基本的に治ったものと考え、再発のことは考えすぎずに過ごしていくのがよいと思います」

「CT検査などの遠隔転移を見つける検査は、無症状なら受ける必要はありません。症状がどうしても気になる場合に限って受けるというのでよいでしょう」

「ただ、右乳房や周囲のリンパ節への『局所再発』や、左乳房にできるかもしれない新たな早期がんについては、早期発見によって根治を目指せますので、症状がなくても、マンモグラフィーや超音波(エコー)、視触診検査を定期的に受けることが推奨されています」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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