桜井信一の攻める中学受験 中学受験 自称「できない子」こそ親子で難関校を狙え
産経ニュース / 2023年11月18日 10時0分
中学受験塾は毎週新しいことを習ってくる。それに理解が追い付かない子がいる。そんなお話しを前回させていただきました。今回はその続きです。
できない子は、カリキュラムのスピードでは理解できていないのです。つまり、立体図形を習ったあと1週間で復習して演習して週テストに備えても、高得点にはならないのです。
私たちがこの「立体図形」を勉強した時のことよく覚えています。まず直方体か何かがテキストに載っていて、「たて×よこ×高さ=体積」と覚えて何問か練習問題を解きます。
次に円柱になると「半径×半径×……」と習って、表面積は?となると、「直径×3・14」が出てきて、あれ?じゃあ長さの話は?となって、ごちゃごちゃになっているのにとりあえず間違えた問題はやり直して、次のページは円すいになっていて3で割ることを覚えるのですが、表面積は円すいなのに3で割らない。あれ? 直方体はどうだったっけ?
できる子には簡単なことだと思うのですが、この「手を替え、品を替え」についていけないのです。それを「できない子」というのです。私が経験しました。
ここで個別指導でもつけてわかりやすい先生に習ったところで同じことだと思います。できない原因は「わからない」のではないのです。子どもは「わからない」という表現しか持ってないので、今の自分の状態はすべて「わからない」という言葉で表します。
これを真に受けて「わかりやすく説明しよう」とするともう悪循環。そこはわかっているのです。何がどうわからないのかというと、どの時にどれを使うかはっきりしないというムズムズ感。要するに、子どもも「何とかならねーのか! このやろう!」という状態なのです。
自動選択ボタンがあって、「この問題はこれ!」みたいにスッキリさせることはできないのかよ! ややこし過ぎるよ〜と思っている状態を、なんと子どもは「わからない」という言葉で表現するものだから、「よしわかりやすく教えよう!」となるのです。
まったくのお門違い。
恋愛ドラマでいうと「わたしの気持ちなんてわかってくれないのね」みたいな感じです。つまり、頑張ってわかりやすい説明をしている方は「乙女心のわからないやつ」という状態。この2人、当然うまくいきません。これでは、「できない子」を「できる子」にすることは難しいのです。
まず、「できない子」の悩みは、ごちゃごちゃして使いこなせそうにないという可能性が高い。ここを解決してあげたいのですが、そこで説明しても余計にごちゃごちゃします。
しかし、「できない子」は不思議な現象を起こすのです。ごちゃごちゃして混乱しながら勉強します。その結果は週テストでは出ません。その次の週はまた別の単元を頑張ったけれど、週テストでまたもやよくわかってない。あれほどやったのに。
塾のシステムはできる子に合わせた流れで当然ですが、できない子も少し前にあれほど悩んだ立体図形を、次の単元を習ったあたりではできるようになっているのです。週テストをもう一度やってくれないから成果を感じることができていないだけなのです。
カリキュラムが進むと、もう立体が転がったり回転したりして難しくなっています。今そこにまた苦しんでいるだけで、以前にあれほど悩んだことは実はもうできるようになっています。
立体が転がった頃、あれほど悩んだ体積は解けるようになっているのです。その証拠に、いつまでも直方体の体積と円すいの表面積の公式がごちゃごちゃになったりしていません。今習っているところからは低いレベルの学習になっているはずの数週間前の単元はできているのです。
今一緒に学んでいる子と歩調は合わないけれど、その差は実は数週間遅れなのです。常に遅れた状態が続くので追い付かないだけです。学力はわずか数週間遅れなのです。
「できる子」は、その週に習ったことをその次の週テストまでに理解します。「できない子」は、そこまでには無理なのです。じゃあ理解がゆっくりだから2週間かけて理解するかというとそうはいかないのです。日数の問題ではないのです。
「できない子」は、やや高いレベルに苦労した後で低いレベルを眺めた時にできるようになるのです。この手順さえうまく運べば、数週間遅れでできるようになります。
追い付かなくていいのです。受験勉強の全期間から考えると、数週間なんてわずかなことですから。
ここで勘違いしてはいけません。1つの単元を理解するために、できる子より1週間遅れるからといって、その遅れが蓄積する仕組みではありません。ずっと遅れた状態が続くだけです。ここに気付かない場合が多いと思うのです。
さらに、「できる子」と「できない子」の大きな差。これは、同じように見本問題を解いた後に類題を解いても、「できる子」はその類題を見真似で解いたりしていないと思います。それに対して「できない子」は、類題を考えずに見真似で解こうとするのです。
見本問題を解く。次に類題を解く。これは、学校はもちろん多くのテキストの一般的な学習方法です。これが「できない子」を余計できないようにしていると私は思います。なぜなら、「できない子」の悩みは「手を替え、品を替え」についていけないという点なのですから。
類題を解いてばかりいて、手を替え、品を替え出題してくる模試などの実践問題が解けるようになるはずがない。それどころか余計に難しく見えるはずです。
自称「できない子」を持つ皆様。
理解を急がないでください。やや高めのレベルを学んだ後にじんわりきます。前から知っていたような顔をしていつの間にか理解しているのです。
そして、類題を解く勉強ばかりにならないようにしてあげてください。公開模試などで右往左往するだけで終わってしまいます。だって、日頃の学習が抜き打ちに慣れていないわけですから。「なるほど〜、こういう感じで理解していくのかあ〜」と傍で見ていて感じる時がきます。できないから基礎に戻ろうと簡単に諦めて戻ってはいけません。どんどん進みましょう。難易度が上がっても喰らいついて頑張るのです。その後に手前の学習を解くと見下ろすことができます。
身の丈に合わないほどの難関校を密かに狙っている皆様。
恥ずかしくて口には出せないけれど、実は難関校に行かせたいとお考えの皆様。
「できない子」は、このようにちょっとコツがいるのです。「できる子」と同じ勉強方法は不利なのです。ここさえ掴めばしめたもの。劇的にできるようになります。ちょっとではありません。
「劇的に」です。
筆者紹介
桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。
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