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<独自>政府・与党、厚労省の基礎年金の底上げ改革案を再検討へ

産経ニュース / 2024年12月10日 5時0分

厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館外観=東京都千代田区(納冨康撮影)

全国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする年金制度改革案として浮上している厚生年金の積立金活用について、政府・与党が見送りも視野に再検討に入ったことが、わかった。デフレ経済が今後も続くことを前提に巨額の財源確保を必要とする厚生労働省の案に慎重論が強く、来年の通常国会に提出予定の年金制度改革案の取りまとめに向けて詰めの協議を急ぐ。

毎年度改定される年金額は、将来にわたり財源を確保するため物価や賃金の上昇より低く抑える「マクロ経済スライド」により抑制されてきた。厚労省によると、過去30年間の経済状況が今後も続いた場合、会社員らが加入する厚生年金は積立金が潤沢なため、令和8年度に抑制が終わる一方、基礎年金は39年度まで続き、この間は受給額が大幅に下がる見通し。

こうした状況を踏まえ、厚労省は11月25日の社会保障審議会の部会で、基礎年金、厚生年金ともに抑制終了を18年度にそろえ、厚生年金の抑制期間が伸びることで生じる財源を基礎年金に振り向ける案を提示。これによって基礎年金の給付水準が3割程度底上げされるとした。

厚労省案では現役世代の平均手取り収入と比べた年金受給額の水準(所得代替率)も、現行制度のままでは6年度の61・2%から39年度に50・4%まで落ち込むのに対し、56・2%(18年度)に改善できるとした。

ただ、基礎年金の半分は国庫負担で賄うため、給付水準の改善に伴い将来追加的に必要になる最大で年2・6兆円の財源確保については、具体策のめどは立っていない。

一方、厚労省の試算では、今後経済成長が続いた場合、基礎年金のマクロ経済スライドは19年度に終了する予定で、所得代替率は57・6%と大幅には落ち込まない見通し。経済が回復基調にある中、厚生年金の適用拡大やいわゆる「年収の壁」の見直しを進めれば所得代替率は59・3%となることが見込まれており、給付水準の改善のための国庫負担の追加や、そのための財源確保の必要性は小さくなる。

政府・与党内では、厚労省案は現行の年金制度やその持続可能性に対する誤解を与えかねないとの懸念や、成長型経済への移行を目指す石破茂政権の経済政策との整合性を重視すべきだとの意見が出ていた。

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