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「まぢピンチ」京都市交通局の実情をイラストで 職員の古田武士さん

産経ニュース / 2024年9月24日 11時3分

まぢピンチシリーズを描く京都市交通局の古田武士さん=京都市右京区

京都市バスの車内や市営地下鉄の駅構内などで独特のゆるさが乗客らの目を引く「まぢピンチキャラクター」。京都市交通局の課題を流行を交えたイラストで表現し、若年層にも分かりやすいように発信している。

新型コロナウイルス禍に見舞われていた令和2年に現在勤務している総務課に配属された。当時は新型コロナ禍の影響で経営が悪化。市バス運賃の値上げも懸念されたことから、世間からの風当たりは強かった。

経営状況や課題などをまとめて公表する役割を任されていたが、文章やグラフなどで説明するリポートに疑問を感じていた。「分かりづらいし、読む人の関心も引かないのでは」。そこで思いついたのが、イラストで伝える手法だった。

「経営が厳しい状況だったので、イラストをプロの方に外注することにも抵抗があった」と振り返る。本格的に絵を描いた経験はなかったものの、動画サイトでイラストのメイキング映像を見たり、かわいいと思った絵を模写してみたりなどして独学で腕を鍛えた。

市バス・地下鉄の利用状況が激減しているグラフをみて「まぢピンチ」「それな」と話すキャラクター。若者言葉を交え、交通局の危機をゆるく伝えるイラストを公式ホームぺージなどで掲載したところ、交流サイト(SNS)で注目を集めた。発案当初は「(表現が)くだけすぎなのでは」との懸念もあったが、一目で情報が伝わることから採用が決まった。「まぢピンチ」シリーズとして続編を制作。LINE(ライン)スタンプも第2弾まで販売し、約3800個(今年7月末時点)を売り上げた。

これまでに最も反響が大きかったのは市バス運転手の給料を巡る問題を紹介したイラスト。「市バス運転手の給料は高いのか」という市民の疑問に答えようと描いた作品で、真剣な表情のキャラクターが「年収1千万円の市バス運転手は存在しません」と訴えかけている。全国からさまざまな意見が寄せられ、「給料が安いことをアピールするのはおかしい」といった批判的な意見も多かった。それでも、「イラストを通じ、普段は交通局の課題に関心がない人にもアプローチすることができた」と手応えを感じている。

人の心をひき付けるようなイラストを描くために普段から、SNSで流行している言葉や画像に注目しているという。キャラクターのポーズの種類を増やそうと、資料などを参考にしながら試行錯誤を重ねる。

外国人観光客らの増加による市バス・地下鉄の混雑や燃料費の高騰など、交通局が抱える問題は少なくない。だからこそ「親しみやすく、分かりやすく発信していきたい」という。イラストに込める思いは強まる一方だ。(堀口明里)

ふるた・たけし 昭和59年、北海道千歳市生まれ。立命館大卒業後、平成19年に京都市交通局に入庁。経理や事務などを担当し、令和2年に総務課に配属された。バーチャルシンガーの初音ミクの長年のファン。ギターが得意で、弾き語りをしたりしている。

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