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スマホ時代に「手帳」がなぜ売れる? 生活記録や思いを刻む〝人生の相棒〟 近ごろ都に流行るもの

産経ニュース / 2024年8月31日 13時0分

日々の行動や思いを記録するライフログ手帳(重松明子撮影)

スマートフォンが普及した現代でも、手書きの手帳の人気が根強い。素早く記入できる便利さはそのままに、使い方が多様化。スケジュール管理だけでなく、例えば「あと3キロ痩せる!」などToDo(やるべきこと)を書き出して目標達成の励みにしたり、生活記録「ライフログ」を残す〝人生の相棒〟として、カスタマイズできる手帳が売れている。商戦も早期化し、来年の手帳を8月から販売している生活雑貨店「ロフト」ではすでに完売商品が出ており、前年同月比3割増の売れ行きという。

日付なしダイアリーも

メーカー38社のブースが広がり、使い方を尋ねる女性たちの姿が目立つ。8月24日に都内で開かれた「2025ダイアリー展示会」だ。全国168店を展開するロフトの主催で、抽選で選ばれたユーザーや招待客ら380人が来場した。

「お気に入りの手帳を早く手に入れたいとの意欲が前倒しで強まっている」と、ロフト文具雑貨部の阪田智思バイヤー(38)。「ちいかわ、スヌーピー、ムーミンなどキャラクターものの人気は不動だが、手帳の使い方自体が変わってきた」と指摘する。「自分の思いや行動を記録できるライフログ手帳が大きく伸長。箇条書きにしたToDoにチェックを入れることで成果を記録し、達成感を得たいという前向きな思いを感じます」

旗艦店の渋谷では2千種のダイアリーを扱い、価格帯は1千円台が中心だ。

今年の手帳が人気女性誌「リンネル」(宝島社)の「心と暮らしを整える手帳&ノート術」特集で紹介されるなど、働く女性をターゲットにした、いろは出版のサニー手帳は発売8年目。

「スマホなどのデジタル記録と併用できる使いやすさを追求。一日一日を丁寧に暮らしたい方は、手書きの価値を感じていらっしゃる」と営業部の広庭ゆきマネジャー(33)。1日の枠の上半分に仕事の予定、下にプライベートの予定、ToDoの書き込みスペースも設けた。「仕事とともに育児記録を付ける方も。デジタルだと上書きで消えてしまう記録が、自分の筆跡で残る魅力を伝えたい」

また、誰でもきれいなイラストを描けるテンプレートも商品化。ひらめいたアイデアに電球マークを入れるなどして楽しめる。

会場を回れば、現代の手帳の体裁と役割を知ることができる。かつて手帳は未来の予定を書くものだったが、日付のないダイアリーも多数。書きたい日だけ書いたり、年始や年度にとらわれず思い立ったときに新たな手帳をつけ始める人もいる。「自分の現在と過去に向き合うツールという使い方が手帳のトレンドになっている。体調やマインドの変化も把握しやすくなります」とは、ライフログ手帳に力を入れるマークスの菅絢子チーフ(35)だ。

ロルバーンはロフト限定の11デザインの来年用手帳を商品化。スイーツ柄などオリジナルのグラフィカルなデザインが目を引き、8月の発売から半月で完売の品も出ている。自由記述欄を広く取っていて、「推し活の記録用にという30~40代女性が多い」という。

昭和24年に日本初の時間目盛り入り手帳として誕生し、ビジネス用の定番となった「能率手帳」は、11年前にブランドが「ノルティ」に刷新された。「ビジネスパーソンだけでない全ての人の成長を支援し、一人ひとりに寄り添うパートナーとなる手帳です」と日本能率協会マネジメントセンター。

ロフトによると、新型コロナウイルス禍が発生した令和2年に手帳の売り上げが激減した。リモート勤務とともに、仕事のタスク管理のデジタル化が一気に進んだ影響という。「今は持ち直しているが、将来的にデジタルツールのスピード感が手書きに勝るようになれば、手帳はより趣味的なものへと変化していくと思う」と前出の阪田さん。

充電が切れたら使えないスマホやパソコンより、私は手帳に永遠の安心を感じる…無くさなければだが。(重松明子)

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