東京都が荷さばきスペース無償提供 物流2024年問題で業者支援、消費者の意識啓発も
産経ニュース / 2024年9月25日 20時5分
4月から運転手の残業が月80時間に制限され、人手不足が深刻になっている「2024年問題」をふまえ、東京都は物流効率化に向けたプロジェクト「東京物流ビズ」を進めている。配送トラックが荷さばきをするための駐車スペースを無償提供する事業を始めたほか、物流業界だけではなく消費者も含めた意識向上を目指す取り組みを行っている。
国土交通省が公表した「宅配便・メール便取扱実績」によると、インターネットを利用した通信販売の増加により、全国の宅配便取扱個数は9年連続で増加しており、令和5年度は約50億個。運転手の労働環境改善が期待される一方、需要が高まる中での残業規制で物流の停滞が懸念されるのが2024年問題だ。モノを滞らせないためには、荷待ち時間短縮や再配達の削減が不可欠となる。
現在7カ所が稼働
都では7月から、配送用トラックなどに荷さばき用の駐車スペースを無償提供する事業を始めた。都内は駐車スペースが少なく、業者が届け先から離れた地点に駐車することを余儀なくされるケースが多い。都が駐車場を用意することでトラックから届け先までの時間短縮や荷さばきの効率化を見込んでいる。都内5カ所の駐車場の無償提供から始まり、現在は7カ所が稼働しているが、提携駐車場は順次増える予定。使用は1回あたり30分で、事前にアプリで予約するため業者同士での重複はない。
宅配ボックス普及
また、国土交通省が公表した「宅配便再配達実態調査」によれば、今年4月の再配達率は10・4%、都市部に限れば11・4%と1割以上が再配達の対象になっているのが現状。このため、各宅配業者が提供する「置き配」サービスを見据えた行政の対応も出てきた。
都は宅配業者が置き配周知のために行うキャンペーン費用の一部を援助。また、多くのマンションが集まる江東区では、一部の新築マンションに宅配ボックス設置を義務化した。複数の区では宅配ボックス新設の助成制度を設けている。
消費者の努力によってまだまだ物流効率を上げられる余地はある。都は「東京物流ビズ」のホームページなどで、事業者だけでなく消費者に再配達削減を見据えた各種サービスを紹介するなど啓発にも力を入れている。
例えば、駅や商業施設に設置されている「オープン型宅配ボックス」を活用することや、受取場所を自宅付近のコンビニエンスストアに設定しておくことも、再配達削減につながる。また、通販サイトを利用する際にはなるべくまとめて注文して配達の回数を減らすことや、確実に受け取れる時間を指定して注文することも有効だ。
都の担当者は「都民の皆さまにそれぞれの状況や事情に応じた受け取り方法を選んでいただくことで、再配達削減にご協力をお願いしたい」と呼びかけている。(當銘梨夏)
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