皇室もかつて利用の畝傍駅 奈良・中和経済圏の中心的役割担う 中山嘉彦教授が指摘
産経ニュース / 2024年9月24日 19時48分
皇室がかつて利用された貴賓室が残る奈良県橿原市のJR桜井線・畝傍(うねび)駅などをテーマにした講演会が、同市内で開かれた。鉄道史に詳しい大阪学院大経済学部の中山嘉彦教授が「畝傍駅は物流面で(奈良の)中和地区の中心的役割も果たした」と述べ、皇室とのゆかりとともに経済的な重要性も指摘した。
同駅は明治26(1893)年に高田-桜井間の開通とともに設置され、昨年に130周年を迎えた。現在の駅舎は、昭和15年の皇紀2600年祭に合わせて建設された。
中山さんは、同駅で大正時代末~昭和初めの木材取扱量が多い点から、吉野地方との関連に言及。当時の駅一帯の土地台帳などを調査した結果、大正末に吉野鉄道が駅拡張のため大規模に土地を購入したことを確認した。
吉野鉄道は吉野から橿原神宮前まで延伸しており、「吉野杉などを大量に運ぶためにも畝傍駅は重要だった。駅で木材を降ろして各地へ運んだり、桜井方面に行くため貨車の方向転換が行われたりしたのではないか」と指摘。背景には、同駅一帯の八木地区が江戸時代から交通の要衝だったことがあると説いた。
同駅は、昭和30年代まで皇室が神武天皇陵や橿原神宮参拝の際にご利用になり、橿原市は「建国の地を象徴する重要な建物」として民間活力を生かした保存活用を進めている。
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