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中央官庁情報 法務省 法秩序の維持・確保、国民の権利保全の旗手として 受験ジャーナル

産経ニュース / 2024年12月13日 14時59分

法務省

国家公務員総合職試験,一般職試験に合格すると,その主な職場は「国の行政機関」である1府12省庁,つまり,内閣府および11省+国家公安委員会(警察庁)となる。さらに各省の下には外局である庁や委員会が置かれており,地方に出先機関を設けている省庁も多い。国家公務員の職場は実に幅が広いといえるだろう。それぞれの官庁が取り組んでいる仕事内容や課題などを紹介する。

法務省は,民主主義・法治主義の基盤である法秩序を維持・確保し,国民の権利を保全するという極めて重要な役割を担っている。

法務行政は,司法・法務に関する法令の立案,検察,犯罪者の矯正や更生保護,人権の擁護,国籍,戸籍,各種の登記,供託および出入国在留管理等々,広範囲に及ぶ。

こうした役割を果たしていくため,法務省は常に時代に応じた法務行政の実現を追求してきた。現在は,①司法制度改革の成果の定着,②再犯防止施策,③犯罪被害者等の支援,④刑事収容施設法の円滑な実施等,⑤所有者不明土地対策の推進,⑥人権擁護施策の推進,⑦基本法制の維持および整備,⑧司法外交の推進,⑨適正な出入国在留管理の実施,⑩破壊的団体等の規制に関する調査などを重要課題と位置づけて仕事に取り組んでいる。

多岐にわたる国民生活に密着した法務行政を遂行

法務省は多岐にわたる任務を遂行するため,大臣官房と6局からなる内部部局のほか,公安調査庁などの外局,検察庁や法務局などの諸機関を置き,約5万5,000人の職員を擁する組織を構成している。

なお,裁判所関係の事務は,昭和22年,裁判所法の施行に伴って設置された最高裁判所に移されている。

〈大臣官房〉人事,会計,福利厚生,各部局間の総合調整事務などを担当しているのは他府省と同じだが,法務省の特徴的な仕事として次のものが挙げられる。

司法試験の管理,検察官適格の審査,司法制度に関する企画・立案,法令・判例や法務に関する資料の収集・整備・編さん・刊行,法制審議会の運営,法務図書館,法務史料展示室・メッセージギャラリーの運営,法務省の所掌事務に係る統計に関する事務,総合法律支援,法教育に関する事務,弁護士資格認定に関する事務,外国法事務弁護士に関する事務,債権管理回収業の許可・監督,民間紛争解決手続の業務の認証・監督に関する事務など。

〈民事局〉市民生活・経済生活における権利義務関係の基本となる事務全般を担当している。戸籍,国籍,不動産・商業・法人・動産譲渡・債権譲渡・後見等の登記,商業登記に基づく電子認証,供託,遺言書保管,公証などの民事行政事務,民事基本法制に関する企画・立案に関する事務を行う。

〈刑事局〉検察庁の組織整備,各種事務規程の制定,検察事務の能率化などを行う。また,刑事裁判の執行指揮,犯罪人の引渡しと国際捜査共助,犯罪の予防に関する事務のほか,刑事法制に関する企画・立案に関する事務等に携わっている。

〈矯正局〉矯正施設(刑務所,少年刑務所,拘置所,少年院,少年鑑別所および婦人補導院)の保安警備,分類保護,作業,教育,鑑別,医療,衛生など被収容者に対する処遇が適正に行われるように指導・監督するとともに,最近の矯正思潮に添った新しい処遇方法について調査研究を行っている。

〈保護局〉犯罪をした人や非行のある少年たちを実社会の中で指導・援助し,その改善更生を図る更生保護に関する事務を所掌している。具体的には,矯正施設からの仮釈放・仮退院者,保護観察処分少年,保護観察付執行猶予者などに対する保護観察,恩赦,更生保護事業の助長および監督,民間における犯罪予防活動の促進などの事務を行っており,刑事政策の最終段階として,近年,特にその重要性が強調されている。また,心神喪失者等医療観察法に基づく事務も行っている。

〈人権擁護局〉国民の基本的人権を守るために,人権侵犯事件の調査救済,人権相談,人権啓発などに関する事務を行う。

〈訟務局〉国を当事者とする訴訟等を統一的・一元的に処理することによって,国民全体の利益と個人の権利・利益との間に正しい調和を図るとともに,法律による行政の原理を確保することに寄与している。

また,行政庁からの求めに応じて,政策実行前の段階から,法的リスクに関する助言を行うことで,紛争を未然に防止するための活動(予防司法支援)も行っている。

外局

●出入国在留管理庁 出入国在留管理庁は,日本の空港・海港における外国人の出入国審査,日本人の出帰国確認をはじめ,日本に居住する外国人の在留審査,出入国管理法令等に違反した外国人の退去強制および難民の認定に関する事務に加え,外国人の受入れ環境整備に関する企画および立案ならびに総合調整に関する事務などを行う。また,出入国在留管理庁の地方支分部局として,地方出入国在留管理局が置かれているほか,施設等機関として,わが国からの退去を強制される者の収容および送還を行う入国者収容所が置かれている。

●公安調査庁 公安調査庁は,破壊活動防止法および無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき,破壊的団体等の規制に関する調査および処分の請求等に関する事務を行う。また,わが国の情報コミュニティのコアメンバーとして,調査において収集したわが国の公共の安全にかかわる国内外の情報を,適宜関係機関に提供している。

●公安審査委員会 公安審査委員会は,公安調査庁長官の規制処分請求を審査し,処分の要否・規制内容等を決定する役割を担っている。

地方支分部局・施設等機関

地方機関で採用された職員の勤務場所は,採用局および局が所管する機関となるが,本人の希望などに応じて他局や他府省で活躍する道も開かれている(一般職試験合格者は原則として本省以外で採用)。

●地方支分部局 法務局と地方法務局では,登記・戸籍・国籍・供託等の民事行政事務,人権擁護および訟務事務を行う。また,矯正施設被収容者の仮釈放等の審理を行う地方更生保護委員会や,保護観察等の社会内処遇の実施機関である保護観察所のほか,矯正管区が置かれている。

●施設等機関 刑事施設(刑務所,少年刑務所,拘置所)では,受刑者等を収容し,矯正処遇等を行う。少年院では,非行のある少年を収容し,矯正教育等を行う。少年鑑別所では,主として家庭裁判所から送致された少年を収容し,鑑別を行う。

特別の機関

●検察庁 検察庁の主な業務は,犯罪の捜査,刑事事件の公訴提起,裁判所に対する法の正当な適用の請求,裁判執行の監督などである。

人事データ

配属・移動

総合職試験のうち事務系区分の採用者は,基本的には最初に本省の各部局に配属され,その後は1〜2年のサイクルで,大臣官房,当初配属以外の部局や地方機関等に異動しながら,昇任していく。

総合職試験のうち人間科学区分の採用者は,それぞれの専門知識を活かした仕事となるので,矯正官署,更生保護官署等の地方機関に配属されることが多い。ただし,人間科学区分の矯正局採用者のうち,教育・福祉・社会系の受験者は事務系区分と同様のキャリアパスとなる。

一般職試験の採用者については,原則として地方各機関に配属される。昇任については,努力次第で地方機関の上級幹部等への昇任も可能である。

採用動向・採用予定

令和6年度の採用は,総合職試験からは,行政(院卒者),政治・国際・人文(大卒程度),法律(大卒程度)および経済(大卒程度)区分から18 人,人間科学(院卒者および大卒程度)区分から19人,デジタル(院卒者および大卒程度)区分から2人,工学(院卒者および大卒程度)区分から1人の合計40 人程度,一般職試験(大卒程度)からは,全国で430人程度を予定している(出入国在留管理庁および公安調査庁は別途採用)。

このほか,法務省専門職員(人間科学)採用試験からは,矯正心理専門職が50人程度,法務教官が190 人程度,保護観察官が20 人程度の採用を予定している。

(公務員の仕事入門ブック・6年度試験対応・記事内容を一部編集しています)

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