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劇団四季の再演リクエスト1位「ウィキッド」 魔女たちの青春物語に込められたメッセージ

産経ニュース / 2024年9月21日 12時0分

オズの魔法使いの前で猿に呪文をかけると羽が生え、驚くエルファバ=大阪市北区の大阪四季劇場(鳥越瑞絵撮影)

劇団四季のミュージカル「ウィキッド-誰も知らない、もう一つのオズの物語-」が大阪市北区の大阪四季劇場で上演されている(令和7来年7月6日まで)。大阪では15年ぶりとなる同作だが、再演のリクエストが最も多かったのだという。少女、ドロシーの冒険物語「オズの魔法使い」の前日譚である同作は、何が心を引きつけるのか。

「オズの魔法使い」への疑問

劇場に入ると、そこはもう「オズの国」が広がっていた。舞台の緞帳(どんちょう)は中央でキラキラと輝くエメラルドシティーへの地図になっている。羽の生えた猿がその緞帳を上げると、いよいよ物語が始まる。

生まれつき肌の色が緑で偏見の中で育ったエルファバと、人気者になりたいといちずに思うちょっと能天気なグリンダ。性格の違う2人の女の子が寮の同部屋になり、反発しながらも徐々に友情を築いていく。そこにエルファバの秘めた魔力を使い、オズの動物たちから言葉を奪おうともくろむ国家の影が差し―。

物語は「オズの魔法使い」に登場する「善い魔女」のグリンダと、「西の悪い魔女」のエルファバが、魔法使いを目指している大学生だった頃を描く。原作はグレゴリー・マグワイアが1995年に発表した同名の小説だ。

マグワイアは子供の頃に読んだ「オズの魔法使い」に疑問を感じていたという。なぜ、魔法使いはドロシーに西の魔女を倒すように命じたのか。なぜ善い魔女はもっと早く、簡単に故郷に帰れる方法を教えてあげなかったのか。

「ウィキッド」はそうした疑問に答えるとともに、脳を欲しがるかかし、勇気を求めるライオン、心をなくしたブリキの木こりといったキャラクターたちが登場する謎をも、魔法のように氷解させてくれる。

湧き上がるさまざまな感情

抵抗するエルファバを「悪い魔女」に仕立てようとする国家に立ち向かうエルファバが歌う「自由を求めて」の力強さに心を揺さぶられ、女性同士の友情に、複雑に絡み合う恋愛に…。物語を見終わるといろんな感情が湧き上がってくる。

「そこがこのウィキッドの素晴らしさ」と話すのは劇団四季の吉田智誉樹社長。「見終わったときに考えさせられる要素が多く、それが再演リクエストの多い、一番の理由だと思います。物語のどこを切り取っても楽しめ、お客さまの心を捉えるんです」

魔女の青春物語でありながら、さまざまなメッセージが読み取れる。差別、人間の傲慢さといった普遍的なテーマに加え、自然破壊のむなしさ、フェイクニュースの恐ろしさなど、私たちが直面する社会の病理にも向き合わされる。

プロデューサーのマーク・プラットは、ウィキッドを「8 to 80(8歳から80歳まで)だ」と評したという。吉田社長は「それだけ幅広い年齢層の方々に楽しんでもらえる作品であると私も思います」と締めくくった。(田所龍一)

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