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ネクストでつぶやく「俺が打つ」 覚醒の巨人19歳、浅野翔吾を支える強心臓と宮崎打法

産経ニュース / 2024年8月31日 9時0分

プロ初の4安打でチームの勝利に貢献し、ファンとタッチをかわす巨人・浅野翔吾=24日、東京ドーム(今野顕撮影)

期待せずにはいられない。巨人の高卒2年目、浅野翔吾がブレークの兆しを見せている。故障したヘルナンデスに代わって12日に1軍昇格後、12試合で打率3割5分7厘、本塁打3本、11打点(成績は29日現在)。香川・高松商高時代に68本塁打を放ったスラッガーが、4年ぶりのリーグ制覇を狙うチームに勢いを与えている。

好調の19歳を支えるのは、強靭(きょうじん)なメンタリティーだ。ネクストバッターズサークルでは自らに言い聞かせるように、ぶつぶつとつぶやくという。「チャンスで来い。俺が打つ」と。

14日の阪神戦もそうだった。0-0の四回2死二、三塁、前を打つ門脇誠が打席に入ると、「満塁で来い、満塁で来い。絶対俺が打ったる」と独り言をつぶやいた。門脇は四球を選び、願い通りに満塁で回ってきた打席。及川雅貴のスライダーを打ち返すと、打球は左翼席で弾んだ。10代での満塁弾は、巨人では坂本勇人以来となる史上2人目の快挙だった。

「実際にチャンスで回ってきたら、『うわ、来た』とは思うんですけど(笑い)。打てる打てないは別として、もう絶対に気持ちだけでは負けないようにって。名前負けしたら、その時点で負けなので」

20~22日の広島との首位攻防3連戦では、全試合で打点を挙げた。阿部慎之助監督も「勝負勘を一番買っている。打席に入ったときの表情、勝負する顔が素晴らしい」と戦う姿勢を評価する。

ただ、その勝負強さが影を潜めていた時期もあった。開幕直後は3試合出場で無安打。「打席が回ってくるのが怖かった」と振り返る。

約4カ月にわたるファームでの日々が自信を取り戻させた。「変化球を打てるようになってこい」と指揮官から送り出され、参考にしたのは、昨季の首位打者でミート力にたける宮崎敏郎(DeNA)のバッティングだった。同じ右打ちの宮崎が、なぜ右中間に強い打球を飛ばせるのか。繰り返し、繰り返し動画を見続け、気づいたことがあった。「やっぱりボールの内側にバットを当てているんです。逆方向、逆方向って感じで」。

くいくいっとバットを投手側に傾けてから振り出す宮崎の打ち方をそのまま打撃練習に取り入れ、ボールを内側からこするイメージでバットを振った。「感覚的にはセカンドの頭の上にバックスピンの効いた強いライナーを打つ感じ」。簡単にはマネできなかったが、ファームで続けるうちにつかんだものがあったという。

バットが体の近くを通るようになると、ヘッドが最後まで残り、手元で落ちる変化球にも対応しやすくなる。24日の中日戦では、すべて変化球を打ち返して先制弾を含むプロ初の4安打で成長を示した。

「今までは練習で(距離を)飛ばして『調子いいわ!』って思ってたんですけど、いまは逆方向にいい打球が行くか行かないかで調子を判断できている。1軍の練習を見てたら、長野(久義)さんも坂本さんも岡本(和真)さんも、逆方向に打っている。あえて難しいことをするというか、そこを意識してやっています」。思い切りの良さに、技術と分析力が合わさり、終盤戦での飛躍につながった。

期待の大きさは、日に日に熱量が増すスタンドからの声援からもうかがえる。「応援歌、やっぱりうれしいです。みんな、『浅野』のところだけ大きな声になるんですよね」と笑う表情にはあどけなさも残るが、並々ならぬ覚悟で1軍の舞台に立っている。

「優勝争いをしている中で使ってもらっている。できないじゃなくてやらないといけないと思う。そこは自覚をもってやっている」。勝負の9月を前に現れた若武者が、覇権奪回のカギを握るかもしれない。(運動部 川峯千尋)

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