米司法当局がアダムズNY市長を起訴、トルコ政府が違法献金か 無罪主張し辞任否定

【ニューヨーク＝平田雄介】米司法当局は東部ニューヨーク市のアダムズ市長（64）＝民主党＝を起訴し、収賄、外国人の献金勧誘、詐欺など5つの罪状を26日公表した。アダムズ氏はトルコ政府から賄賂や違法献金を受け取った見返りに、在ニューヨークのトルコ領事館に便宜を図った疑いが持たれている。

アダムズ氏は警察官出身。無罪を主張し、職務を続ける意向だ。米メディアによると、ニューヨーク市長の在任中の起訴は初めて。司法当局は26日朝、アダムズ氏の自宅を捜索し、携帯電話などを押収した。

アダムズ氏は2014年からニューヨーク市ブルックリン区長を務め、21年11月に市長に当選した。この選挙で、トルコ政府からの寄付であることを隠して違法に献金を受け取ったとされる。16～21年には外国人実業家らから海外旅行の航空券を無償提供されたり、高級ホテルの宿泊費を払ってもらったりしていた。

これらの見返りとしてアダムズ氏は21年、トルコ領事館が市の安全検査に合格する前の高層ビルに入居できるよう便宜を図ったとされる。トルコ領事館は当時、9月のエルドアン大統領の訪問に間に合うよう入居を急いでいたという。

アダムズ氏は22年の市長就任後、トルコ側の意向を受けて第一次大戦中のオスマン帝国で起きたアルメニア人迫害への発言を控えたとされる。バイデン米大統領は21年、迫害は「ジェノサイド（集団殺害）」にあたると声明を出していた。