10日にノーベル平和賞授賞式 被団協の田中代表委員「核理解してない」とプーチン氏批判
産経ニュース / 2024年12月9日 22時34分
【オスロ=黒瀬悦成】世界に被爆の実相と核廃絶を訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーのオスロで開かれる。代表委員の田中熙巳(てるみ)さん(92)は式典前日の9日午後(日本時間同夜)、オスロで記者会見し、「思いがけない受賞だった。光栄に思っています」と述べた上で「私たちは核兵器も戦争もない世界を作りたい」と強調した。
田中さんは、当時13歳だった1945年8月9日、長崎市の爆心地から3・2キロの自宅で被爆し、これまで被爆者を代表して核兵器の廃絶を訴えてきた。
田中さんは「われわれの成果がノルウェー・ノーベル委員会を通じて世界に認められた」と指摘した上で、ウクライナを侵略したロシアのプーチン大統領が核兵器使用の威嚇を繰り返しているのを念頭に「核を使うことが軽く語られることになったのは悲しい思いがする」と語った。
プーチン氏に対しては「被団協として抗議の言葉を送った。核兵器が人間にとってどういう兵器なのか理解したことがないのでは」と強く批判した。
また、「何十人、何百人という仲間が亡くなった。亡くなった仲間たちの受賞でもある」と述べ、被爆者が減少していく現状に危機感を示す一方、若い世代には「核兵器が使われるかどうかは若者の未来に関わる問題だ。核戦争が起こらないよう最大限の努力をしてください」と呼びかけた。
授賞式は10日午後1時(日本時間同9時)に始まり、国内外の被爆者や被爆2世ら約30人が出席する予定。田中さんに加え、被団協代表委員で長崎原爆被災者協議会会長の田中重光さん(84)、広島県原爆被害者団体協議会理事長の箕牧智之さん(82)の3人が登壇し、メダルと賞状を受け取る。
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