「常任理事国の拡大」には言及せず 国連未来サミットの成果文書 今後も論点に
産経ニュース / 2024年9月23日 16時10分
【ニューヨーク=平田雄介】国連の「未来サミット」で22日に採択された成果文書「未来のための協定」は、安保理改革に向けて定数15の拡大など「具体的な合意事項」を記した初めての首脳レベルの文書だ。他方、日本やアフリカ諸国が目指す「常任理事国の拡大」には言及せず、任期2年の非常任理事国と合わせて拡大するかは今後も主要な論点であり続ける。
協定は、定数拡大に関して、アフリカに対する「歴史的不正義を正す」と記した。これは、現在の安保理の構成(常任5枠、非常任10枠)が定まった1965年以降、アフリカ大陸で植民地支配からの独立した国が相次いだ一方、「アフリカの声」を安保理に反映させる改革が一度も実現していないことへの対応だ。
各国が平等に「一票」を持つ国連の意思決定の場で、加盟193カ国中54カ国を占めるアフリカ諸国の存在は大きい。ロシアのウクライナ侵略に伴う経済的打撃が特に大きかったアフリカ諸国の不満は、ウクライナ支援を主導する米国にも向かい、米露の双方がアフリカ諸国の支持を得ようと競う構図が生まれた。
アフリカ諸国がかねて常任・非常任枠の拡大を求めていたことから、安保理改革を扱う国連の政府間交渉(IGN)の議論は活発化。この場で今年8月までに合意された内容が、今月22日に採択された協定に盛り込まれた。
協定は、アフリカに加え、アジア太平洋や中南米の国々、途上国や中小国の安保理での代表性を向上させる▽拒否権行使の抑制を促す▽複数の提案がある改革モデルの将来的な統合を視野に一層のモデルの提出と修正を奨励する-などと記す。
ただ、改革には常任5カ国を含む加盟国の3分の2の批准が必要で、実現のハードルは高い。特に常任枠の拡大には常任理事国のロシアと中国が慎重で、安全保障面で対立を抱える日本の常任入りを阻む最大の壁となりそうだ。
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