イスラエル首相「歴史的転換点」とヒズボラ指導者殺害称賛 レバノン地上侵攻が焦点に
産経ニュース / 2024年9月29日 17時17分
【テルアビブ=佐藤貴生】イスラエルのネタニヤフ首相は28日、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラのナスララ師の殺害について、「歴史的な転換点」だと称賛した。バイデン米大統領はイスラエルとヒズボラの停戦を求める一方、殺害は「正当な措置」だったとする声明を発表した。
イスラエル軍はヒズボラの複数の幹部司令官も殺害し、組織内の指揮系統は混乱している可能性が高い。米CNNテレビは29日、イスラエル軍の地上部隊がレバノンに限定的に侵攻する可能性があると報じた。ニュースサイト「タイムズ・オブ・イスラエル」は、ナスララ師の殺害で最大の危機は除去されたとし、大規模な地上侵攻は避けるとの考えが軍内部で出ていると伝えた。
イスラエルは昨年始まったレバノンのヒズボラとの交戦を受け、避難させた北部の住民6万人の帰還を目指している。
ヒズボラがどう報復するかは不透明だ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はナスララ師という組織の要が殺害され、「より攻撃的な行動」に傾く可能性があるとの見方を示した。
また、イスラエル治安当局者の話として、ヒズボラが数百発のロケット弾を同時に発射すれば、防空システムでは迎撃しきれず、西部テルアビブなど大都市に着弾する恐れがあるとした。
ヒズボラの後見役であるイランの対応も情勢を左右する。英BBC放送(電子版)は、イランが連携するイエメンやイラク、シリアなどの民兵組織にイスラエルへの攻撃を強化するよう求める可能性があると報じた。
半面、どのような攻撃を行うにしても、抑制が効いたものになる公算が大きいと分析した。イランはパレスチナ自治区ガザで戦闘が始まった昨年10月以降、イスラム原理主義組織ハマスを支援しつつも自らが本格衝突に巻き込まれる事態は避け続けている。
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