シリアのアサド大統領が首都から脱出、「政権崩壊」と軍司令部 ロイター報道
産経ニュース / 2024年12月8日 12時44分
【カイロ=佐藤貴生】ロイター通信は8日、反体制派の攻勢が激化したシリアで、アサド大統領が首都ダマスカスから脱出したと伝えた。軍司令部はアサド政権は崩壊したとの認識を示した。2000年に発足した政権は最大の危機に直面した。
昨年10月、パレスチナ自治区ガザの戦闘で始まった中東の情勢流動化はシリアを直撃し、新たな局面をもたらした。シリア国内の反体制派の団結は見通せず、米露や周辺諸国の思惑も交錯しており、混迷が収束するかは見通せない。
反体制派は8日早朝、ダマスカスに入った。政権側の抵抗には遭わなかったという。ダマスカス中心部の広場には数千人の市民が集まり、「自由が来た」などと祝福し合う姿がみられた。市民は各地でアサド一族の銅像などを破壊していると伝えられる。
シリアのジャラリ首相は8日、「人々に選ばれた指導部と協調する準備ができている」と述べ、政権移譲に協力する意向を表明した。
アサド氏の行き先は不明。航空機の航路追跡サイトによると、反体制派の首都入りと前後してダマスカスの空港を出た航空機があり、地中海に面するシリア北西部に向かうところで航跡が途絶えた。
シリア人権監視団(英国)によると、イスラム過激派「シリア解放機構」(HTS)などの反体制派は11月27日、北部アレッポなどで政権側への本格攻撃を開始。12月に入りハマや要衝ホムスなど中部の都市を制圧しながら南下し、電光石火の速さで首都に迫った。
アサド政権を支えたロシアは侵略するウクライナへの対応に忙殺され、イランやレバノンのヒズボラなど親イラン民兵組織もイスラエルとの戦闘に追われている。アサド政権への援護が手薄になった隙を突いた反体制派の攻撃が奏功した。
アサド氏は父、ハフェズ・アサド大統領の死去に伴い、00年に大統領に就任して独裁体制を引き継いだ。しかし、11年に始まった内戦で支配地域は7割前後まで縮小していた。
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