1人暮らしのシニアとペット ともに老いへの備えを

産経ニュース / 2017年10月13日 12時7分

2匹の愛犬に定期的に健康診断を受けさせている飼い主の歌川知子さん(中央)。自分がもしもの場合を考え、愛犬の引受先も決めている=横浜市中区(産経新聞)

 1人暮らしのシニアにとって自宅で飼うペットたちは癒やしであり、喜びを分かちあえる存在だ。ペットから寄せられる信頼と愛情は、前向きに生きる気力を呼び起こす。しかし、人間と同様に、ペットも年を取り、病気や介護など高齢動物ならではの問題も生じてくる。自らの老いへの準備とともに、ペットの老いにも備えたい。(村島有紀)

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 月に1度の検診

 「はい、オッケー、おしまいだよ」

 横浜市中区の関内どうぶつクリニック。獣医師の牛草貴博さん(43)が、2歳のロングヘアチワワ、レオ君に優しく語りかけた。

 飼い主は、同市西区で1人暮らしをする会社役員、歌川知子さん(74)。レオ君の他、10歳のロングヘアチワワ、ポロ君も飼う。「1人暮らしだと、食事のときにも話し相手がいないけど、犬がいれば“会話”もでき、精神衛生上とてもよい」と笑顔で話す。

 以前飼っていた愛犬を10年前、悪性リンパ腫で失った経験から、ペットの健康管理のために月に1度は同クリニックで健康診断を受けている。費用は1回千円。「私にとっては家族同様。言葉が通じないからこそ、少しでも体調がおかしいと感じたら診てもっています」と歌川さん。獣医師の牛草さんは「元気なときの状態をよく分かっているので、異常があったときに気づきやすい。病気になってから来院するのではなく、検診をきっかけに日頃から何でも相談できる関係性を築くことで、高齢者も安心してペットを飼うことができる」と語る。

 手術に30万円かかる場合も

 東京都福祉保健局の資料によると、シニア世代に起こるペットに関する悩みは、自分の体力が落ちて、毎日の世話が大変▽自分の入院が必要だと医師から言われているが、ペットがいるから難しい▽ペットの介護が必要となったが、どう対応したらいいか分からない-などが多い。

 こうした悩みに対応しながら、幸福にペットを飼い続けるためには、飼う側に体力も経済力も必要だ。特に動物の医療費は公的保険がないため、手術や入院になると全額が自費負担。一般社団法人ペットフード協会によると、平成28年の1カ月当たりの支出総額(医療費含む)の平均は、犬が8136円、猫が5435円に上る。

 ペット保険大手のアニコム損保によると、入院費用は1日当たり1万〜2万円、腫瘍の手術などでは20万〜30万円かかるケースが多いという。治療費を保障するペット保険に加入するのもよいが、ペットが高齢だと加入できないこともあるため注意が必要だ。

 万一に備え引き受け手を探す

 飼い主が病気やけが、要介護状態になる可能性もある。ペットとともに生活できなくなった場合にも備えたい。ペットと一緒に入居できる介護付き有料老人ホームなどもあるが、内容や契約条件はさまざま。場合によっては、新しい飼い主を見つける必要にも迫られる。

 歌川さんによると、10歳のポロ君は持病やかみ癖のある少し難しい性格。また、2歳のレオ君はおとなしいが、皮膚が弱く湿疹ができやすい。歌川さんは自身の年齢を考え、どちらの愛犬も将来自分で飼えなくなった場合に備えて、知り合いの中から引き受け手を確保しているという。

 「人と犬にも相性がある。相性のよい人を見つけて事前に頼んでおくことで、私が飼えなくなったときに安心してお願いできる」と歌川さんは話していた。

飼育不可能な場合の受け入れ施設求める

 一般社団法人ペットフード協会の「平成28年全国犬猫飼育実態調査」によると、犬と猫の推計飼育頭数は1972万5000匹で、15歳未満の子供(1571万人)よりも多い。犬の平均寿命は14.36歳で猫は15.04歳と、近年延びているとされる。70代で犬を飼っていない人の理由を聞いたところ、「最後まで世話をする自信がないから」が42.1%と最も多く、次いで「別れがつらいから」(32.4%)。あったらいいと思う飼育サービスは「高齢で飼育不可能な場合の受入施設提供サービス」(48.8%)がトップで、「旅行中や外出中の世話代行サービス」(40.7%)が続いた。

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