【編集者のおすすめ】人間の底力感じられる一冊 『宇宙飛行の父 ツィオルコフスキー 人類が宇宙へ行くまで』的川泰宣著

産経ニュース / 2018年1月13日 11時22分

『宇宙飛行の父 ツィオルコフスキー 人類が宇宙へ行くまで』

 現在6人の飛行士が宇宙に滞在している。昨年12月には金井宣茂さんも国際宇宙ステーションに到着、ツイッターで日々の様子を伝える。まだまだ個人で気軽には行けないが、人類にとって宇宙とはもはや非日常の場所ではない。

 多くの人間が「宇宙の有人飛行」という概念をまだ考えもしないころ、ひとりその夢を温めていたロシア人科学者がいた。ツィオルコフスキー(1857〜1935年)という。10歳のころ病気で聴力を失うも、「伝説の司書」フョードロフとの出会いで独学により数学と物理を修め、今日の宇宙開発に繋(つな)がるロケット推進のもととなる理論を打ち立てた、と一文でまとめるのはためらわれるような壮絶な一生である。

 本書は、いまなお宇宙関係者に多大な影響を与えるこの人物の日本初の伝記だ。100点以上の貴重な図版とともに、科学者としての偉業と個人の人柄を「宇宙教育の父」的川泰宣氏が紹介する。

 装画は『銀河鉄道999』の松本零士氏の描き下ろし。「あなたの見た夢が私たちを宇宙へ連れて行ってくれた」という松本氏とメーテルの帯文通り、その情熱が人類の宇宙行きを先導した。

 驚異的なのはその未来予想の的中率だ。ツィオルコフスキーは人類の進化を16段階のプログラムであらわしているが、ここまでほぼその筋書きをたどり、現在8段階目まで進んでいる。知性によって思いこみから解き放たれ、よりよい未来を開くことができる。そんな人間の底力を感じられる一冊だ。(勉誠出版・1800円+税)

 勉誠出版 豊岡愛美

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