環境省、洋上風力発電を推進 「脱石炭」へ再生エネ方針 経産省は早期転換に反発

産経ニュース / 2018年1月14日 13時12分

平成28年度の日本の年間発電量の構成

 環境省は地球温暖化をもたらす二酸化炭素(CO2)の排出削減に向け、「脱石炭火力」を実現するため、洋上風力発電など再生可能エネルギーを強力に推し進める方針を固めた。石炭火力が液化天然ガス(LNG)の2倍のCO2を排出していることを踏まえ、LNGの設備更新など高効率化も目指す。ただ、石炭火力の燃料費が安いことから、石炭火力の新増設計画を進めている経済産業省は反発している。 (坂井広志)

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 中川雅治環境相は12日、平成34年の運転開始を目指す石炭を燃料とする中国電力三隅発電所2号機(島根県浜田市)の建設計画について、「容認されるべきものではない」とする環境相意見を世耕弘成経済産業相に提出した。

 中川氏は同日の記者会見で「事業の撤回を含めて考えてほしい。石炭火力から卒業してもらわなければならない」と述べた。

 石炭火力は国内で約40基の新増設計画があるが、環境省は本音では石炭火力に否定的だ。

 一方、経産省は石炭火力軽減を早急に進めるのは困難と考えており、両者には隔たりがある。

 世界的潮流

 ただ、「脱石炭火力」は世界的な潮流だ。昨年11月にドイツ・ボンで開催された「気候変動枠組み条約第23回締約国会議」(COP23)では、石炭火力発電所の廃止を目指す「脱石炭発電連合」が設立された。英国、カナダ、フランスなど昨年12月現在で58の国、自治体、企業が加盟し、フランスは2022(平成34)年までに、英国は25(同37)年までに、カナダは30(同42)年までに石炭火力発電を廃止する方針だ。

 こうした世界情勢を受け、環境省は(1)洋上に浮かぶ浮体式構造物を利用する「浮体式洋上風力発電」(2)再エネが余ったときにためて、足りないときに取り出して使える「ハイブリッド蓄電池」(3)農業をしながら農地の上で太陽光発電をする「営農型太陽光発電」-などを最大限に活用し、国際社会に日本の優れた技術を問いたい考えだ。

 不安定懸念

 これに対し、経産省の担当者は「フランスは原発を多く使っているため石炭はいらない。カナダは水力が多いが、ダムを造る時代ではない。再エネは高価だし、エネルギーの安定供給に向け、効率の良い石炭火力が必要だ」と反論する。

 再エネは季節や天候によって発電量が大幅に変動し、不安定なものが多いことも懸念材料だ。

 現在、日本はエネルギーの約30%を石炭火力に頼っている。政府が閣議決定した平成42年度の電源構成目標によると、石炭火力比率を26%、原発を20〜22%、太陽光などの再生可能エネルギーを22〜24%とするなどとしており、相対的に石炭火力の比率は高い。

 環境省幹部は「再エネ産業を活発化させることこそアベノミクスであり、環境技術は日本の成長産業になり得る」と強調する。再エネか石炭か-。東京電力福島第1原発事故以降、原発再稼働が簡単には進まない中で、エネルギーミックスの差配が問われている。

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