行政“お墨付き”講演で前川喜平氏放言、「ファシズムの音聞こえる」 北九州市教委「中立性」に疑問 

産経ニュース / 2018年4月16日 21時57分

政治的な発言が相次いだ前川喜平氏らの講演会。ステージ上やホールの通路上にも人が座り込み、定員を大きく超過していた=14日午後、北九州市戸畑区(中村雅和撮影)

 文部科学省の前川喜平前事務次官が14日夜、北九州市教委が名義後援した講演会において、「ファシズムの音が聞こえてくる」などと、政権批判を繰り返した。こうした講演会を名義後援したことで、同市教委が「行政の中立性」「公教育の中立性」を損なったともいえ、識者からは批判の声が上がった。(中村雅和)

 「後援があるから、言っちゃいかんと思っていたけれど、愛媛県庁から出てきたメモが、決定的証拠ですよ。安倍総理の明確な意思表示がなければ、あんな文章作れない」

 前川氏は「ウェルとばた」(北九州市戸畑区)で開かれた講演の終盤、学校法人「加計(かけ)学園」の獣医学部新設計画に、安倍晋三首相の直接的な関与があったと主張した。

 講演会は、弁護士らでつくる実行委員会が主催し、同市教委に名義後援を申請した。タイトルは「みんなで未来の話をしよう~これからの教育と子どもたち~」だった。

 市教委は「市民の生涯学習を広く奨励し、さまざまな問題の判断材料を提供する目的がある」として、名義後援を決めた。費用などは出していない。市教委の基準では、特定の政党や宗教、選挙候補者の支持を訴える事業は後援しないとする。

 だが、名義後援を得た講演では、政治的な発言が相次いだ。

 例えば、第1次安倍政権の平成18年にあった教育基本法改正について、前川氏は「戦前回帰的な部分から議論されてきた。憲法改正の予備段階として改正した」と断じた。歴史をはじめ教科書検定にも触れ「文科省は政治に忖度(そんたく)したかのような検定をした」と批判した。

 司会を務めた村上聡子・北九州市議は「教育に、戦前回帰やナショナリズムといった概念が入り込んできた」と訴えた。

 北九州市教委は「今回の講演内容は基準には触れない」(市教委担当者)とする。だが、国士舘大学の百地章特任教授(憲法学)は「講演会の政治的意図は明らかだ。一方に偏る講演を行政が後援することは不適切だ」と批判した。

 事実、前川氏らが同日に講演した山口県下関市の市教委は、主催者からの後援申請を拒否した。

 前川氏が天下り斡旋の責任を取って文部科学省を辞めたほか、退職後のテレビなどでの発言を踏まえ、判断したという。同市教委の担当者は「後援は、行政がお墨付きを与えることになるが、全ての内容を確認するのは無理だ。後援にふさわしいか慎重な判断が求められると考えている」と述べた。

 前川氏らが、どこでどのような発言をしようが、言論の自由がある。しかし、行政に後援を申請するのであれば、一定のルールに従うべきだ。行政側も「お墨付き」を与えないよう、慎重に対応しなければならない。

 前川喜平氏らの北九州市での講演会では、名義後援とは別の問題も生じた。定員を超えた来場者が客席間の通路をふさぐなど、市の火災予防条例に違反する状態となっていた。

 北九州市によると、会場となった「ウェルとばた」大ホールの定員(816人)に対し、1千人以上が入場した。来場者が客席間の通路をふさぎ、火災など万一の際に、避難が難しくなる状態だった。

 同市の火災予防条例では劇場の定員などについて「客席内の避難通路には客を収容しない」などと規定する。

 市消防局は16日、ウェルとばたや、ホールを所管する市文化企画課から状況を聞き取って「違反状態にあった」と認定し、ウェルとばたなどに、再発防止を口頭指導した。

 ウェルとばたの松尾良隆館長は、産経新聞の取材に「定員を守るように、主催者側に何度も申し上げた。守りますという約束を破られ、大変遺憾だ」と語った。市教育委の小杉繁樹総務課長は「関係者の調整が不十分だった結果で、主催者側も反省していると聞いている」と語った。

 一方、実行委員会事務局の村上聡子市議の事務所担当者は16日、「違反だったとの認識はない。実行委を開く24日以降なら取材に応じる」と述べた。

産経ニュース

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