【谷山雄二朗のばかモン英語塾】(31) ヴェトナム人に学ぶ大きさ 映画「DOWNSIZING」

産経ニュース / 2018年4月16日 21時57分

谷山雄二朗氏

 新作映画「DOWNSIZING」を観た。主役マット・デイモン演じるポールは、作業療法士として、地元の町で働いている。幼馴染みの妻と暮らしているが、変化のない平凡な日々に将来の希望を見出せない毎日を送る。

 そんな中、ノルウエーの科学者たちが“DOWNSIZING”という人類史上前例なき、かつ画期的ともいえる新技術の開発に成功する。分かりやすく言うなら、ドラえもんのスーパー道具「スモールライト」を使って人間を手のひらに載るぐらい小さくできるテクノロジーと同じだ。

 要は体を小さくする事によって、消費する食料もエネルギーもお金も従来の100分の1程度で済ませる「地球に優しい人生設計を!」というコメディだ。

 これ以上書くとネタバレになるので、なぜこの技術がマット・デイモンと関係あるのかは、興味のある読者に実際に観ていただくとして、本稿で取り上げた最大の理由は、映画に出てくる1人のヴェトナム人女性(ここでは“フォー”と呼ぶ)にある。

 “You doctor she sick”といった意味不明、滅茶苦茶かつ支離滅裂な英語でフォーは喋り倒す。態度もとにかく大きい。ある意味で典型的な“ヴェトナム英語”なのだが、それでも妙に説得力があり「英語は文法じゃない」という事を強烈に痛感させてくれる。ある程度ヒアリングに自信のある日本人でも、フォーの英語は到底理解出来できないだろう。逆にまたその「ばか丸出し英語」こそが、今の日本人の英語コミュニケーション能力を飛躍的に開花させる着火剤になり得ると私は考える者だ。

 間違えたら恥ずかしい、と押し黙り、外国人に文句ひとつ言えない日本人がいかに愚かかを彼女は、全身全霊で実証してくれる。その雄姿に触れるだけでも、この映画を観る価値はある。ちなみに私はこの作品をアラブ首長国連邦のドバイを本拠とする航空会社「エミレーツ航空」機内で観たのだが、驚いたのは「英語・中国語対応・日本語非対応」の映画本数が、極めて多かったことである。つまり今や、余暇を日常的に楽しむ上でも、日本語だけでは不十分になりつつあるという事であり、その傾向は中国の台頭によって今後ますます加速するであろうということだ。

 最後に一つ。日本人観光客の海外での評判は、確かにいい。大人しくて、部屋を綺麗に使ってくれるからだ。ただ、その反面「あいさつがないので不気味」との声も聞く。ホテルのエレヴェーターで向こうから“Good morning”と言われても恥ずかしくて“Hello”一つ言えず無言で立ち去る。確かに異様だ。

 フランスのように、コーヒーのミルク一つとっても「言わなきゃでてこない国」が世界には極めて多い。

 だからこそ、沈黙は美徳などという古い固定観念は捨てるが勝ち! “フォー”を見習うこと、ただ一つ!ええ、スモールライトなどなくても我々の態度は哀しいかな、すでに小ちゃすぎるようです。

Be Dumb, Be Stupid!

公式サイト http://JapanBroadcasting.net/Stupid-English-School

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