資生堂ギャラリーで蓮沼執太の個展 聴覚と視覚の接点探る

産経ニュース / 2018年5月17日 13時12分

展覧会の開幕日、作品の中でパフォーマンスを行った蓮沼執太(手前)=4月6日、東京・銀座の資生堂ギャラリー

 床一面に金属片が広がり、鏡面シートの壁に映って幻想空間をつくり出している。近づくと、トランペットのベルなど見覚えのある形状も。すべて、楽器の製造過程で出た金属材という。

 国内外で活躍する音楽家、蓮沼執太(34)の作品「Thing(シング)~Being(ビーイング)」。東京・銀座の資生堂ギャラリーで個展が開かれている。

 視覚的インパクトが強い作品だが、「音」を否応(いやおう)なく意識させられる。来場者は楽器のカケラの上を歩いていい。自ら音を出す存在として、作品に“参加”することになる。

 金属が擦れる音は不快かと思いきや、意外にも「美しい」と感じられる音色。やはりカケラであっても楽器は楽器なのか。無数のきらめく金属片は、人間を取り巻く事物(例えば自然や科学技術)の隠喩かもしれない。共鳴もあれば不協和音もある。人間とそれ以外のものを、視覚と聴覚、そして触覚でつなぐ作品といえそうだ。

 蓮沼の活動は多岐にわたる。音楽作品のリリース、映画や舞台音楽の制作、主宰する「蓮沼執太フィル」の公演などに加え、近年は展覧会形式での発表も国内外で増えている。蓮沼にとって展覧会は、「空間の中で聴覚と視覚の接点を見つけていく行為」という。

 いつもは静かな展示室が路上のようにざわめいている。それもそのはず、同ギャラリーが入る資生堂銀座ビルの屋上に、蓮沼はマイクを設置。行き交う車、工事のような振動音、鳥の鳴き声…。マイクが拾う雑音がリアルタイムで会場に流れる。銀座の景色が地下のギャラリー内まで押し寄せてくるように感じられる。

 6月3日まで、月曜休。入場無料。問い合わせは(電)03・3572・3901。(黒沢綾子)

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