【フード 食】名店 ロシア料理レストラン「ロゴスキー」 重厚寛大 身も心も温まる

産経ニュース / 2019年1月13日 13時27分

ロシア料理レストラン「ロゴスキー」のボルシチとピロシキ=東京都中央区銀座(酒巻俊介撮影)

 近くて遠い国-そんな印象があるロシア。だが最近は平昌五輪フィギュアスケート金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手の人気に加え、今年はラグビーワールドカップの開幕試合で対戦したり、日露関係に進展の兆しが見られるなど、何かとご縁が深まりそうだ。ロシアの話題に関心が高まる今、食文化にも触れ、この隣国をもっと身近に感じてみよう。(津川綾子)

 探究心で再現

 フレンチやイタリアンに比べ、ロシア料理はなじみが薄い。それもそのはず、ロシア料理の専門店が日本で初めてできたのは戦後になってから。昭和26年、東京・渋谷に誕生した8人も入れば満席になる小さな店、「ロゴスキー」だった。

 創業者は長屋緑さん、美代さん夫妻。戦時中、旧満州ハルビンで過ごした緑さんがロシア人街で食べた料理の味を舌で覚えて持ち帰り、それを旧満州でも旧ソ連でも暮らしたことのない妻の美代さんが、持ち前の料理の腕と、50歳でロシア語を学ぶほどの探求心で料理の形にしていった。

 ボルシチで堪能

 〈フランス料理のようなデリケートな技巧をほどこさない、どこか荒けずりで野暮(やぼ)で重厚な感じのものが多く、およそスマートさに欠ける。それだけに素朴で実質的で栄養的である。油っこいものの多いことも寒い国として当然であるが、その油っこさをカバーするためか、料理に酸味のあるものがほとんど〉

 美代さんは3冊目の著書「ロシア料理」(昭和45年刊、柴田書店)で、ロシア料理についてこう書いている。その酸味のひとつは「スメタナ」と呼ばれるサワークリーム。

 「スメタナは、香草のディル、赤い根菜のビーツとともにロシア料理には欠かせないものです」と緑・美代夫妻の孫で、副社長を務める横地美香さんは話す。

 その3つの食材を堪能できるのが、定番にして名物のスープ料理「ボルシチ」だ。創業当時から供する「ロゴスキーオリジナルボルシチ-いなか風-」は、ニンジン、キャベツ、ジャガイモ、タマネギ、豚肩ロース肉がごろんと大きな塊で、ビーツとトマトをベースにした赤いスープの中央に、どんと盛りつけられている。

 実は本場のボルシチは、具は細かく刻まれているという。それにもかかわらず、大きな具で供するのは、「戦中にひもじい思いをした人たちに、大きな肉や野菜でおなかを満たしてほしいとの、創業者の思いから」だった。

 日本育ちのピロシキ

 「実は料理を一品ずつ出すサービスの仕方はロシアが発祥。温かいものは温かいうちに味わっていただくためです」(横地さん)と聞き、冷めないうちにボルシチをいただく。野菜のうまみが詰まった赤いスープはほんのり甘い。白いスメタナを溶かすと、ひと味の変化が。スメタナの酸味で、野菜の滋味がいっそう引き立った。

 添えられた肉ピロシキは、低温でじっくり10分以上揚げられている。生地はふわふわ、熱々の具には春雨が使われ、肉や野菜から出たうまみを吸い、つるつるした食感も加える。「ピロシキは日本で言うおにぎりみたいなもので、ロシアでは包めるものなら何でも具になります。春雨入りの考案者は祖母ですが、この日本育ちのピロシキも、具の大きなボルシチも、ロシアからのお客さまにもとても好評です」(横地さん)

 日本流にアレンジされた祖国の味を楽しむロシアの人々を、横地さんは「あの広大な大地が育んだ寛大さがあるのかもしれませんね」と話す。ロシアの味は、心も体も温まるものだった。

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 ■ロシア料理レストラン ロゴスキー 東京・渋谷で創業し、平成27年に銀座に移転。東京都中央区銀座5の7の10 イグジットメルサ7階。ロゴスキーオリジナルボルシチ-いなか風-1100円、肉ピロシキ300円(1個)。いずれも税別。ほか前菜から楽しめるコース料理もある。営業は午前11時~午後10時半(日祝は午後9時45分)。電話は03・6274・6670

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