【平成の証言】「秋葉原で人を殺します」(19年8月~20年7月)

産経ニュース / 2019年1月12日 9時6分

秋葉原連続殺傷事件で、送検のため警視庁万世橋署を出る加藤智大容疑者=平成20年6月10日、東京都千代田区(緑川真実撮影)

 31年4月30日の終わりに向けてカウントダウンが始まった平成時代。私たちが受け止め、発した言葉は時代の証言となって「あのとき」をよみがえらせます。「平成の証言」を、元年からひと月刻みで振り返ります。

平成19年8月

 「金を奪うなら、女性の方が力がなくて狙いやすい」「顔を見られたので殺した」(闇サイト殺人事件容疑者らの供述)

 24日夜、名古屋市の路上で派遣会社社員、磯谷利恵さん(31)が、朝日新聞拡張員、神田司容疑者(36)ら3人に拉致されて翌日殺害、岐阜県内の山林に遺棄された。3人は携帯電話サイト「闇の職業安定所」で知り合い、強盗を計画し実行。1人が自首したため事件が発覚したが、悪質きわまる犯行に社会の怒りは沸騰した。神田容疑者は後に死刑が確定し、27年6月、執行された。

19年9月

 「今の状況で力強く政策を前に進めていくことは困難だ。自らがけじめをつけることで局面を打開しなければいけない」(安倍晋三首相)

 12日午後、安倍氏は首相官邸で緊急会見を開き、辞任表明した。10日に衆参両院で所信表明演説を行ったばかりで、あまりに突然の辞意。24日に病院で行った会見では「最大の要因は健康状態」と明らかにした。前年9月に就任後、「美しい国」を掲げて教育基本法改正、防衛庁の省昇格などを実現する一方、事務所費問題や失言で閣僚辞任が相次ぎ、松岡利勝農水相は自殺。7月の参院選では惨敗していた。

19年10月

 「時津風親方は師匠として部屋の安全確保を怠り、協会の信用と名誉を著しく傷つけた」(日本相撲協会の北の湖理事長)

 5日、日本相撲協会は緊急理事会を開き、時津風部屋に在籍していた斉藤俊(たかし)さん(17)=しこ名・時太山(ときたいざん)=が6月に急死した問題で、師匠の時津風親方を解雇することを満場一致で決めた。元親方は、斉藤さんを自分がビール瓶で殴ったり、兄弟子が金属バットで殴ったりしたことを認め、愛知県警は翌年2月、元親方らを傷害致死容疑などで逮捕した。相撲部屋の暴力は根深く、問題は今も続いている。

19年11月

 「防衛官僚への接待は各社どこでもやっている。宮崎(元伸容疑者)はボーダーラインを越えただけだ」(防衛商社幹部)

 28日、防衛装備品の調達で便宜を図った見返りに、防衛専門商社「山田洋行」元専務の宮崎容疑者(69)からゴルフ接待などの賄賂を受け取ったとして、東京地検は収賄容疑で前防衛事務次官の守屋武昌容疑者(63)と妻(56)=起訴猶予=を逮捕した。守屋容疑者は事務次官を4年の長きにわたって務め、小池百合子防衛相との対立でも注目された人物。22年8月、懲役2年6月の実刑が確定した。

19年12月

 「このまま死んでも父から『何ということをしたんや』としかられると思います」(高級料亭・船場吉兆創業者の娘、湯木佐知子氏)

 この年、不二家、ミートホープ、船場吉兆などで食品偽装が相次ぎ発覚。船場吉兆では九州産牛肉を兵庫県の但馬牛と表示する産地偽装が行われ、消費期限の改竄(かいざん)も明るみに出た。10日、京都市で行われた会見で湯木正徳社長の妻でもある佐知子氏は深々と謝罪。この会見で長男、喜久郎取締役の発言を佐知子氏が小声で指示しているのをマイクが拾い、「ささやき女将(おかみ)」と揶揄(やゆ)されることとなった。

20年1月

 「ギョーザは苦かった。ハーブを使ったという包装紙の説明に納得し食べ続けた」(中毒症状で入院した18歳男子高校生)

 30日、中国製冷凍ギョーザを食べた千葉、兵庫両県の10人が食中毒症状を訴え、うち5歳の女児が一時意識不明の重体になっていたことが発覚した。ギョーザの具からは有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が検出され、国内で中国産食品への不信感が高まった。中国当局は22年3月、故意に混入させたとして「天洋食品」元臨時従業員の男を逮捕。待遇への不満が動機とされ、後に無期懲役が確定した。

20年2月

 「ゆとり教育による過度の『学力低下』批判が、子供たちの自信を失わせた。こちらの方が大変なことではないのか」(有馬朗人元文相)

 15日、30年ぶりに授業時間数と学習内容を増やした小中学校の新学習指導要領案が公表され、脱「ゆとり教育」で小学算数に台形の面積、中学理科にイオンなどが復活した。8年に「ゆとり」と「生きる力」重視を打ち出した中央教育審議会の会長だった有馬氏は、「ゆとり世代」と揶揄(やゆ)される現状についてこう述べ、「答申後、全国を回ってゆとりの意味について丁寧に説明すべきだった」と振り返った。

20年3月

 「2人の子供を殺害しておきながら命の保証をされ、更生の機会を与えられる。このような世の中でいいのでしょうか」(米山豪憲君の父、勝弘さん)

 秋田連続児童殺害事件で、長女、彩香ちゃん(9)を橋の欄干から突き落とし、遊び相手だった豪憲君(7)を絞殺、遺棄した畠山鈴香被告(35)に対し、秋田地裁は19日、無期懲役を言い渡した。死刑を求めていた勝弘さんは、1年後の高裁判決も無期懲役(後に確定)となった後、冒頭のコメントを発表した。彩香ちゃんの死亡を水死事故として処理し、次の犯行を許した秋田県警も批判を浴びた。

20年4月

 「すべての気持ちは晴れないが、2人の無念に報いることはできた」(光市母子殺害事件の遺族、本村洋さん)

 11年4月、山口県光市の本村さん方で、妻の弥生さん(23)と長女の夕夏ちゃん(11カ月)が、近所に住む18歳の少年に殺害された。少年の犯行に死刑を適用するかどうかが注目され、地裁、高裁は無期懲役。最高裁は審理を高裁に差し戻し、20年4月、広島高裁は死刑を言い渡した。本村さんは会見で「自分の犯した罪を心から謝罪できる日が来ることを願っている」と語った。刑は24年に確定した。

20年5月

 「最高の天気で、ヒマラヤの山々が祝福してくれるように全部見える。本当にありがとう」(プロスキーヤーの三浦雄一郎さん)

 75歳で世界最高峰エベレスト(8848メートル)に挑んでいた三浦さんが26日午前7時33分(現地時間)、登頂に成功した。制覇は70歳だった15年5月以来2度目。「涙が出るほどつらくて、苦しくて、厳しくて、うれしい」と語った。この5年後の25年5月、三浦さんは80歳で世界最高齢となる3度目の登頂に成功。86歳の現在は南米最高峰アコンカグア(6961メートル)の登頂とスキー滑降に挑んでいる。

20年6月

 「秋葉原で人を殺します 車でつっこんで、車が使えなくなったらナイフを使います みんなさようなら」(加藤智大(ともひろ)死刑囚のネット書き込み)

 ネット掲示板での嫌がらせに逆上した男が狙ったのは、休日の歩行者天国だった。8日午後0時半ごろ、加藤死刑囚は東京・JR秋葉原駅近くでトラックで人をはね、さらに車から降りてダガーナイフで通行人を襲った。7人が死亡、10人が重軽傷。この年は1月に東京都品川区で少年(16)が5人を切りつけ、3月には茨城県土浦市で無職男(24)が8人を刺すなど、通り魔や無差別殺傷事件が続発した。

20年7月

 「今日は、携帯電話が本当の“インターネットマシン”になった歴史的な日だ」(ソフトバンクモバイルの孫正義社長)

 11日早朝、東京・表参道に1500人以上が行列を作り、日本初登場となる米アップル社のスマートフォン「iPhone3G」の発売を待った。すべての操作をタッチで行い、「電話の再発明」と同社がアピールしたiPhone。日本独自に進化した携帯電話市場で苦戦を予想する声もあったが、23年にau、25年にドコモからも発売され、シェアはトップに。他社のスマホも形はそっくりになった。

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