【2018トランプの米中間選挙】(中) 侮辱されてもトランプ頼み 保守地盤のテキサスに異変

産経ニュース / 2018年10月11日 21時15分

3日夜、南部テキサス州コンローの演説会場で支持者との記念撮影に収まる共和党のテッド・クルーズ上院議員(加納宏幸撮影)

 米南部テキサス州で再選を目指す上院議員テッド・クルーズ(47)は2016年大統領選の共和党候補指名争いで大統領ドナルド・トランプ(72)を終盤まで苦しめた。激戦下で「うそつきテッド」と呼ばれたクルーズは今、トランプの支持を必要とする。*11月6日の中間選挙に向け、盤石と思われていた地盤に異変が起きているためだ。

 テキサス州ヒューストン近郊のコンローで今月3日夜、集会を開いたクルーズは民主党候補で下院議員のベト・オローク(46)を繰り返し攻撃した。

 「オロークは唯一、トランプ大統領の弾劾に賛成するといっている民主党の上院議員候補だ。そんなものはテキサスではない」

 クルーズにとってオロークは「極左」だ。トランプ政権による不法移民の取り締まり、減税や規制改革に反対しているとしてクルーズが非難すると、支持者から賛意を示すブーイングが起きた。

 会場にはトランプの長男ジュニア(40)が駆けつけ、激しい指名争いの恩讐を超えて父を全面的に支えているとし、「クルーズのような人が必要だ」と訴えた。トランプも今月、テキサス州で最大規模のスタジアムを満杯にして応援すると予告している。実際、民主党や不法移民を激しく批判するトランプの応援演説に聴衆は熱狂し、数百人の支持者が会場に入れないこともある。

 クルーズの演説会場にいた陸軍の退役軍人ボブ・ホールデン(73)はトランプの仕事ぶりを「北朝鮮の肥満児(金(キム)正(ジョン)恩(ウン)(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長)に核実験もミサイル発射もさせていない」と高く評価した。

 トランプの支持率は40%台と低迷しているものの共和党支持層では90%近い。大統領選でクルーズは父がケネディ大統領暗殺に関わったとのデマを流され、妻の容姿も侮辱されたが、「トランプ化」した共和党支持層を固めるには支援は必須だ。それほどクルーズの危機感は強い。

 保守地盤のテキサスは共和党が1994年中間選挙から上院で議席を維持し、クルーズの勝利は盤石とみられた。だが、共和党の地盤で対話を重ね、前大統領オバマばりの演説術をみせるオロークが好感され、8月の世論調査で支持率はクルーズに1ポイント差に迫った。ホワイトハウス高官は「共和党がテキサスで破れる可能性はある」と述べた。

 オロークは民主党支持層に加えて無党派層や2000年以降に成人した「ミレニアル世代」の取り込みに力を入れる。テキサス大オースティン校で4日、会場を埋めた学生を前にオロークは不法入国者の家族分離をもたらしたトランプを批判し、「みんなでこの選挙で勝って答えを出そう」と呼びかけて沸かせた。

 同校で生体工学を学ぶ黒人女子学生(18)は「前向きなメッセージと人柄に好感が持てる」とし、人生で最初の一票をオロークに投じることにした。

 テキサスA&M大教授ジョン・ボンドは「トランプ氏の支持で、保守的で比較的高齢者が多い白人層の支持基盤がクルーズの助けになるだろう」と語り、投票率が高めの高齢者の動員を理由にオロークの逆転勝利を疑問視する。一方で「オローク氏は保守的な土地までくまなく回り、人々の意見を聴く姿勢が好感を持たれている」とし、若者や女性、人種的少数派の投票率が高まればオロークにも勝機があるとみる。

 クルーズの集会では白人の高齢者が目立ち、クルーズやトランプ・ジュニアの演説に熱狂していた。

 「勝利を確信している」。演説を終えたクルーズは記者団にこう語り、再びオローク批判を始めた。=敬称略(コンロー 加納宏幸)

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