米政界 なお波乱含み 弾劾「無罪」もトランプ氏追及続く

産経ニュース / 2021年2月15日 16時15分

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米前大統領は、連邦議会議事堂襲撃事件を扇動した責任を問われた弾劾裁判で有罪を免れたのを受け、2024年大統領選への再出馬をにらんだ政治活動を再開させる考えだ。ただ、共和党の一部では「トランプ離れ」の動きも目立ち始めたほか、民主党や司法当局は別の形でトランプ氏の責任追及を続けるとみられ、今後も波乱含みの展開となりそうだ。

 ■決着急いだ民主政権

 バイデン大統領は13日の声明で、議会襲撃を含めた一連の騒動に関し「米国史の悲痛な一章だ」と総括した上で「共にこの野蛮な争いを終わらせ、国の魂を癒さなくてはならない」と訴え、「トランプ後」の米国再建に向けて前進していく立場を打ち出した。

 バイデン氏は、「大統領選に大規模な不正があった」などとする虚偽の主張を繰り返して支持勢力による議事堂襲撃を引き起こしたトランプ氏の責任を明確化させるため、議会による同氏の弾劾手続きを支持する立場を表明してきた。

 ただ、上院の弾劾裁判で有罪評決を下すに十分な票を確保できる見通しがなかったことや、新型コロナウイルス対策や新政権高官の人事承認を優先させたい思惑から、裁判の長期化を避けたい意向を示していた。

 昨年の大統領選で民主党候補指名を争ったクロブシャー上院議員は14日、FOXニュースの番組で「トランプ氏には歴史の審判が下されることになる」とし、無罪評決でも裁判の意義はあったと強調した。

 ■内紛含みの共和党

 一方、共和党陣営は弾劾裁判で大多数の上院議員がトランプ氏に無罪票を投じる一方、評決後はマコネル上院院内総務を筆頭にトランプ氏と距離を置く発言が相次いだ。今後はトランプ氏を軸に党内抗争が活発化するのは確実だ。

 無罪票を投じた同党のクレーマー上院議員は議会紙ヒルに「トランプ氏には強固な支持勢力があるが、(一連の騒動で)規模は縮小した」と指摘した。

 かつてはトランプ氏と近く、次期大統領選への出馬が取り沙汰されるヘイリー元国連大使も米政治サイト「ポリティコ」に「彼は進むべきではない道を歩んだ。私たちは彼に従うべきでなかった」と批判し、同氏との決別を宣言した。

 ただ、共和党議員の大多数は、トランプ氏の擁護は控えつつも、来年の中間選挙で上下両院を奪還するには同氏の支持勢力の確保が不可欠であるとして、同氏との決定的な対立は避けている。党内での「トランプ氏優位」の構図は大きくは揺らいでいない。

 一方、トランプ氏は自身の弾劾訴追を支持した共和党下院議員と、弾劾裁判で有罪票を投じた同党上院議員に報復するため、来年改選を迎える議員に対し同党の予備選でトランプ派の新人候補をぶつけ、党を名実ともに「トランプ党」に変貌させたい考えだ。

 ■司法当局の捜査も

 マコネル氏は13日、上院での演説で「米国には刑事司法制度と民事訴訟がある。前大統領はいずれからの責任追及も免除されていない」と指摘し、弾劾裁判とは別に司法当局の捜査が今後も続いていくとの見方を示した。

 司法省は1973年、現職大統領を原則として起訴しないとの規定を設けたが、トランプ氏が退任したことで刑事捜査の対象になる可能性が高まった。

 既に南部ジョージア州では、トランプ氏が1月、ラフェンスパーガー州務長官に電話して大統領選の集計結果を覆すよう要請した問題に関し、州都アトランタを擁するフルトン郡の検察当局がトランプ氏に対する刑事捜査に着手した。

 東部ニューヨーク州の検察当局はトランプ氏の一族が経営する「トランプ・オーガニゼーション」の脱税や不正な資金取引の疑惑に関し捜査を続けている。

 一方、議会民主党は、米憲法修正14条に基づき、反乱に関与した当局者が公職に就くのを禁じる措置をトランプ氏に適用することを検討しているという。

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