悪徳商法の被害者救済…消費者団体の“代行訴訟損賠”まだゼロ件 制度導入から1年、課題多く

産経ニュース / 2018年1月14日 7時7分

消費者支援機構関西の事務所。職員らが消費者からの相談などに対応している=大阪市中央区

 悪徳商法などの被害に遭った消費者個人の代わりに消費者団体が損害賠償請求訴訟を起こすことができる制度が始まって1年以上が経過しながら、訴訟になったケースはゼロであることが13日、消費者庁への取材で分かった。認知度の低さなどが原因とみられるが、消費者団体からは「被害状況調査の資金が不足している」と財政支援を求める声も上がっている。

 消費者被害をめぐっては平成19年6月、国が認定した「適格消費者団体」が個人に代わり、不当な契約条項の差し止めを請求できるようになった。さらに28年10月、同団体の中から選ばれた「特定適格消費者団体」が損害賠償請求訴訟も起こせる新制度が始まった。

 裁判費用の負担などから泣き寝入りしがちな被害者を救済するためで、消費者庁の担当者は「消費者は情報収集力や交渉力も乏しいが、消費者団体は専門知識がある」と期待を込める。

新制度「知らない」84%

 ただ、新制度の認知度は低い。国が実施した28年度の消費者意識調査では、新制度を「知らない」と回答した人の割合は約84%にも上った。

 導入1年目という事情もあるが、同調査では、商品購入やサービスで被害に遭った消費者のうち、消費者センターや行政に「相談した」と回答したのはわずか約7%。消費者団体は約3%とさらに低かった。

 訴訟を提起できる団体が限られるのも課題だ。

 新制度で訴訟を起こせるのは、理事に弁護士を選任していたり、財政的に安定しているなど、ある程度の組織体制が整備されている特定適格消費者団体に限られる。現状、東京と大阪の計2団体だけだ。

 だが、団体を増やそうとしても簡単ではない。愛知県で活動する適格消費者団体「消費者被害防止ネットワーク東海」は「特定-」の認定を得たいが、財政的な理由から実現できていないといい、「消費者から相談を受けても、損害賠償訴訟を起こせないのはもどかしい」と話す。

認定団体も「ボランティアで調査」

 「特定-」の一つ「消費者支援機構関西」(大阪市)でさえ、「活動資金は事務所家賃やスタッフの人件費などで消えてしまい、弁護士や司法書士はほぼボランティアで調査にあたっている」。消費者団体の現状は厳しい。

 こうした状況を受け、消費者団体への支援も始まっている。東京都では29年4月、特定適格消費者団体に対し、訴訟1件につき上限1500万円を無利息で貸し付ける制度を開始。同年7月には社団法人「全国消費者団体連絡会」(東京都)を中心に設立したNPO法人が、適格消費者団体を対象に訴訟費用を助成する制度も始めた。消費者庁も「新制度の活用を促進する取り組みを検討していきたい」としている。

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