中国のNEWを追求する「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」、指針「BEAUTY」が導く未来とは?

サーチナ / 2020年12月2日 10時44分

写真

三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」は、過去1年間のトータルリターンが37.40%と大きなリターンを残している。11年間の香港勤務を経て今年9月末に日本に戻ってきた運用部プロダクトスペシャリストの村井利行氏に同ファンドの運用の実情と中国株式投資の魅力について聞いた。(グラフは、「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」の過去1年間のトータルリターン推移)

 新型コロナウイルスの感染封じ込めにいち早く成功し、経済再生を映して中国の株式市場は堅調だ。三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」は、過去1年間のトータルリターン(10月末現在)が37.40%と大きなリターンを残している。11年間の香港勤務を経て今年9月末に日本に戻ってきた三井住友DSアセットマネジメント運用部プロダクトスペシャリストの村井利行氏に同ファンドの運用の実情と中国株式投資の魅力について聞いた。

 ――ファンドの基準価額は3月を底に上昇を続けている。中国株式市場の現状は?

 中国は、今年2月以降、政府の徹底的な隔離政策による新型コロナ感染者の封じ込めを行い、その後の積極的な金融・財政政策によってマクロ経済は世界に先駆けて安定化。企業業績は5月以降に業績見通し上方修正の動きも出始めた。2020年は、世界主要市場の企業業績は総じて大幅減益の見通しとなる中で、中国は概ね前年並みの水準を維持できる見込みだ。そして、2021年には15%~20%の増益が見込まれている。

 ――日本からみると、米中貿易摩擦の影響は大きく、香港問題など中国の政治に対する不安があり、思い切って投資できないと感じている人も少なくない。

 中国が常に政策動向を注視しなければならない市場である点について異論はない。ただ、日本で流れている情報と、現地で得られる情報には大きな温度差がある。中国の政策を過度に悪材料視するのは、中国経済の本質を見誤ると感じている。世界の成長市場の1つである中国を投資対象に加えないと、大きな機会損失になると思っている。

 たとえば、11月に予定されていたアント・グループの新規上場が、上場直前に中国当局によって中断させられたことがあった。日本での報道は「アント・グループの親会社にあたるアリババの創業者ジャック・マー氏が政府を批判したことへの懲罰」といったトーンで解説されている。しかし、現地では、アント・グループが中国でオンライン金融に対する規制が厳格化される前に上場を急いだ結果のつまずきとみられている。多くの投資家を守り、オンライン金融の健全な発展を図る上で、今回の措置は「当然」と受け止める見方もある。

 また、米中摩擦は簡単に解決しない問題だということは、中国の政府も民間も良く分かっている。10月末の5中全会の発表は、今後の中国の経済運営の指針となるが、そこでは「国内と海外の双循環(内需強化と国際連携重視)」を第一とし、2番目に「改革・開放政策の継続」を掲げている。これは、内需拡大をけん引役としつつ、国内の規制緩和を進め、外資を呼び込み経済を活性化するという意味だ。中国では「書かれた言葉」が極めて重要であり、このような中国政府の公式文章は、何が何でもやり遂げるという決意表明であると受け止められる。

 中国は、世界第2位の経済大国であり、アジア地域や欧州など、中国と良好な関係を維持している貿易相手国は多数存在する。内需を中心に豊かな成長余力があるというのが、率直な中国経済に対する評価だ。

 ただ、現在の中国は変革期にあたり、従来の主要プレイヤー(金融・エネルギー・通信などの大手国有企業)と新たな主要プレイヤーの成長格差はさらに開くと考える。中国においては、上海総合指数など市場全体を買うのではなく、個別銘柄を見極めて投資することが極めて重要で、伸びる業種・領域を見極めて厳選投資することが不可欠だ。

 ――「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」の運用の特徴は?

 当ファンドは、2001年10月の設定で、過去20年間にわたって常に中国の“NEW”にフォーカスしてきた。4つの有望領域に注目している。(1)堅調な内部成長が見込まれる領域、(2)国際競争力のある領域、(3)強い政府支援の得られる領域、(4)安定的なキャッシュフローが見込まれる領域だ。ベンチマークや時価総額を意識せず、アナリストが独自リサーチで有望銘柄を発掘している。

 運用責任者の葉林(JANE YE)は、欧州系の大手運用会社の中国株式調査アナリストを経て2016年4月に現スミトモ ミツイ DSアセットマネジメント(ホンコン)に入社し、当ファンドを担当している。香港を中心に、上海、東京、シンガポールの4拠点には総勢33名の専門スタッフを配置し、グローバルな大手運用会社とそん色のない運用体制を築いている。中国株のアナリストは16名。2019年度は中国・香港企業に2801件の取材を実施し、リアルタイムで企業の変化を補足することに努めている。

 JANEが銘柄選定の基準として拘りを持っているのは、企業の質・ファンダメンタルズと厳格なバリュエーションの評価。その考え方を突き詰めて「BEAUTY」という選定基準をチームで徹底している。Bはビジネスモデル、EはESG、Aはアクセス・ツー・マネジメントで経営陣へのアクセス、Uはユニークネス(独自性)、Tはターゲットプライス(目標株価)、そして、Yはイールド(利回り)。この基準を運用チームが共有することで、ブレることのない投資判断ができている。

 ――変革期の中国が向かう先とは?

 中国は、2020年から2025年の6年間で1兆4000億米ドル(約148兆円)以上を投資し、主要な先端技術で世界の主導権を握る政策を推進している。AI(人工知能)、5G(第5世代移動体通信)、EV(電気自動車)・自動運転、バイオ医薬、ロボット、DX(デジタル・トランスフォーメーション)など「中国製造2025」の重点分野だ。当ファンドでは「CHINA DISRUPTION(中国による創造的破壊)」ともいえる、これら重点産業に関連する企業等に投資している。

 たとえば、中国のAIの進化は、その規模やスピード感で他国とは比べ物にならない。米国などではサービスを提供する企業が個人データを管理しているが、中国では多くのデータは国家の管理下にある。電子決済やEコマース、防犯カメラの画像データなど、あらゆるデータが国家管理の下で解析の対象になる。5Gを使った自動運転技術の開発も国家事業として地域を丸ごと実験場にしてしまえる。このような環境で進む研究から、次世代の技術が生み出されている。その果実を投資成果として取り入れるという考えが重要だ。

 Bilibili(ビリビリ)はNASDAQに上場している動画共有プラットフォーマーだが、当初は中国のアニメオタク向けに日本の漫画やゲームを紹介するサイトだったが、今ではコンテンツやサービスの水準を引き上げ、中国でジェネレーションZ(Z世代)といわれる90年代・2000年代生まれの若者たちを引き付けるプラットフォーマーとして存在感を確立している。月間アクティブユーザーは約2億人に達し、中国のIT大手であるテンセントやアリババの他、日本のソニーも出資している。

 同じく、Z世代の支持を得ているスポーツ用品メーカーのLi Ning(リーニン:香港)は、オリンピック体操金メダリストである李寧氏が創業した当初は、ナイキのモノマネメーカーといわれていたものの、2018年にはパリ・コレにも出展し、国内市場でナイキ、アディダスに続く第3のブランドに成長した。

 また、Montage Technology(モンタージュ・テクノロジー)は上海の科創板に上場しているクラウドコンピューティングやAI向け半導体設計会社だ。中国政府は半導体自給率を2018年の15%から、2020年に40%、2025年に70%に引き上げる目標を掲げ、同社など国内の半導体関連メーカーへの支援に注力する方針だ。同社にはインテルが戦略出資し、ビジネスパートナーとしてインテル互換プロセッサーも開発している。

 このように、中国の有望企業には、日米など先進国の有力企業も出資や提携などを行って、中国企業の成長を後押しするとともに、中国の経済成長を自社の利益に取り込もうとしている。政治の世界では対立が際立っているものの、民間はしたたかだ。

 ――当面の中国市場の展望と投資家へのメッセージは?

 当ファンドは現在56銘柄に投資しているが、うち45%は中小型株だ。あくまで独自の調査に基づいて成長が確信できる企業を選んだ結果のポートフォリオになっている。コロナショックからの回復という特殊な状況にあることを割り引いて考える必要があるが、ポートフォリオのEPS成長率は30%を超え、売上高成長率は20%超だ。高い成長期待のある銘柄群はPERが跳ね上がる傾向があるが、ポートフォリオのPERは35倍だ。

 中国は実質経済成長率が5~6%程度で、インフレ率が3%台であり、名目成長率は8~10%程度になる。この経済が成長のエンジンとなって、10%以上の売上高成長を可能とし、しっかり経営している企業では15%~20%の利益成長を実現することもできる。これが中国株に投資する魅力になる。

 近年のDX人気などで、米国のハイテク株に集中投資している方もいらっしゃると思う。コロナ禍も終息したわけではない現在、もう一つの巨大経済圏に分散するという考え方も大事ではないだろうか。資産の一部で中国株に投資することを検討していただきたい。(情報提供:モーニングスター社)(グラフは、「三井住友・ニュー・チャイナ・ファンド」の過去1年間のトータルリターン推移)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング