投票率向上にはネット投票と選挙割が効果的―松下政経塾合同調査より
政治山 / 2021年10月21日 12時32分
衆議院の任期満了が目前に迫る中、月内には衆議院解散・総選挙が実施される見通しです。10代~30代の若い世代は、今の政治をどのように捉え、今後どのように関わっていこうとしているのでしょうか。
政治山では、松下政経塾 政経研究所(調査担当:西野偉彦研究員)との合同調査において「若者の政治的意識及び動向」をテーマとして、全国の18歳以上40歳未満の男女を対象に10月2日から10月3日まで、インターネット意識調査「政治山リサーチ」を用いた調査を実施しました(回答数1141人)。
ここでは、投票率向上と政治参加のあり方に関する設問から、調査結果を一部紹介します。
女性は選挙割、男性は主権者教育に関心はじめに、投票率向上に有効だと思う施策について、効果の高いと思われるものを3つまで選んでもらったところ、「インターネット投票の導入」(45.9%)が最も多く、「投票すると割引を受けられるサービス等の拡大」(28.6%)、「投票できる時間や場所を増やす」(26.6%)が続きました(グラフ1)。
これを性別で見てみると、「インターネット投票の導入」や「投票すると割引を受けられるサービス等の拡大」、「投票できる時間や場所を増やす」は男性よりも女性の方が回答する割合が高く、それ以外の選択肢は女性よりも男性の方が高くなる傾向がうかがえました(表1)。
さらに年代別とかけ合わせてみると、「インターネット投票の導入」は10代と30代の女性では50%を超えている一方、最も低かったのは20代男性(37.6%)でした。
また、10代女性では「投票すると割引を受けられるサービス等の拡大」(40.9%)、10代男性では「政治や選挙に関する主権者教育の充実」(19.4%)、20代男性では「被選挙権年齢(25歳または30歳)の引き下げ」(10.7%)と「選挙権年齢(18歳)のさらなる引き下げ」(9.8%)が他の性別・年代層よりも高い傾向がうかがえました。
8割が政治参加の意向、20代は立候補への意欲も次に、どのような形で政治に参加したいかを聞いたところ、「選挙で投票する」(51.8%)が最も多く、「住民投票や署名活動に参加する」「インターネットで情報発信する」(ともに17.1%)、「街づくりなど地域活動に参加する」(15.0%)が続きました。ここでは「選挙で選挙運動する」(12.0%)、「選挙で立候補する」(7.4%)といった回答も一定数見られ、約8割の人が何らかの形で政治に参加したいと考えていることから、政治への関心の高さがうかがえました(グラフ2)。
これを性別・年代別とかけ合わせてみると、「選挙で投票する」は10代女性が72.7%とひと際高く、20代男性が37.0%と低い結果となりました。また、「インターネットで情報発信する」は10代男性と20代男女ではやや高く、10代と30代の女性では低い傾向が見られました(表2)。
さらに「街づくりなど地域活動に参加する」は20代男性が高い一方30代女性が低く、「選挙で立候補する」は全体的に女性よりも男性の方が高く、中でも10代女性は1.3%で全体の平均値7.4%を大きく下回りました。
2016年の「18歳選挙権」から5年、一言で「若者」といっても、性別や年代ごとに見ていくと投票の考え方や政治への関わり方について、大きな差異が見られました。選挙権年齢の引き下げ後、初めて実施された2016年の参院選では46.78%だった10代の投票率は2019年には32.28%へと激減し、低迷する20代の投票率と同じ水準となっています。
本調査の結果を受けて研究員の西野偉彦氏は、「今回の衆議院選挙では、10代を中心に選挙の争点等について考える機会をつくり、これからの社会をどうしていきたいか、自分の意見をもって政治参加してほしい」とコメントしています。
「18歳選挙権」当時の10代が現在20代となっており、「選挙で立候補する」と回答した20代の割合が他の年代と比べてやや高かったことにも、関連性があるのかもしれません。今回の衆院選では、多くの若者が政治や選挙について考え、参加する機会となることを期待します。
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