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「維新の不正を徹底的に暴きます!」水道橋博士、参院選出馬を激白

集英社オンライン / 2022年6月18日 8時1分

お笑いコンビ「浅草キッド」の水道橋博士が、7月の参院選にれいわ新選組から立候補する。5月に日本維新の会の代表で、大阪市長の松井一郎氏に名誉毀損で訴えられたことに端を発し、「反維新」を掲げて出馬する博士。その民事訴訟の内幕や維新との因縁、そして今回の出馬の真意を激白する。

そもそも博士はなぜ、出馬するのか?

――「反維新」「反スラップ訴訟」を掲げての今回の出馬ですが、博士の著作、『藝人春秋2』を読むと、今回の出馬は決して松井一郎大阪市長に訴えられた憤りからくる、突発的な行動ではないように思います。特に橋下徹氏と共演した『たかじんNOマネー』(テレビ大阪)の生放送中(2013年6月15日)に突然、降板を宣言した事件の経緯を読んで、そう思いました。



『藝人春秋2』にそのファクトは書いてありますが、あの時、テレビ大阪は『たかじんNOマネー』に出演していた橋下氏の従軍慰安婦問題の発言に対して、ほとんどのコメンテーターが問題有りと指摘していた中で、視聴者投票を実施しました。

その結果は圧倒的に「橋下発言問題無し」だったんですが、そもそもこれは無作為のアンケートではなかった。実際に投票したのは、「メール会員」と呼ばれる右派の番組シンパの人たちで、最初から橋下支持という結果ありきだったんです。僕はこの番組が橋下市長(当時)に肩入れして作っていることを、番組制作会社のトップから直接聞いていましたから。

――番組制作会社のトップであり、番組プロデューサーだったA氏が「橋下支持に決まっとりますわ!」「僕は大阪を壊したいんです」と言い放っていたと、『藝人春秋2』で告発していますね。彼が維新プロパガンダ番組の黒幕だったと。

やしきたかじんさんは新聞部出身の、いわばジャーナリストの目があり、僕が見る限り基本的に中立の立場でした。ところが、たかじんさんが作った制作会社の社長だったA氏はとにかく無思想、無節操だったんです。

あっちの楽屋に行って「先生、朝日新聞って左の新聞ですやん。言うたってくださいよ」とやったかと思えば、こっちの楽屋へ行って「先生、あいつ右寄りでっせ。叩いておかないとバランス取れまへんわ」と言っている。それが丸聞こえなんです。こんな人が番組の権限を持っていたんですよ。本当にひどいものでした。

こうして大阪のテレビは維新に乗っ取られた

――博士が出演していた3年間で番組はどんどん右傾化していき、大阪のテレビが維新に乗っ取られていく様子や、それに対する義憤なども同著に記されていますね。

『たかじんNOマネー』は番組内で国際問題を扱うときに反中、反韓の発言を明確に出すようになっていったし、それはヘイトスピーチをする人たちへのサブリミナル効果にもなったと思います。立ち上げから参加していたバラエティ畑の放送作家たちは抜けていき、代わりに右派論客の作家が次々と入ってきました。

――あらためて、生放送中に降板を宣言した2013年6月15日の“事件”について振り返ってもらえますか。

あの日の番組は「橋下市長が緊急生出演!徹底討論」と銘打った告知がされていました。当時は参議院選の最中で、打ち合わせの時に「政党や政治家の名前を言うのをやめてほしい」と放送作家が言ってきたんです。

でもね、そもそもこの生放送の翌日には尼崎市の市議会議員選挙があって、なのに当時、大阪市長だった橋下氏を出演させている。

「こんなのはバラエティじゃない、偏った政治番組じゃないか!」と僕はそこで芸人になって初めて打ち合わせの場で怒鳴ってしまったんです。

――番組サイドはまったく問題意識がなかったと。

はい。作家たちはまったく分かっていなくてポカンとしていましたよ。テレビなんてそんなものだと言ってしまえばそれまでですけど、僕は見て見ぬふりはできなかった。

それで番組の冒頭に橋下市長が、「小銭稼ぎのコメンテーターと違って(アンケートに回答した)有権者は冷静だった」と言ったので、最後にそのフレーズに食ってかかって、もう降ろさせてもらいますと言って、スタジオから退出しました。

――バラエティ番組の体をなしつつ、番組自体が橋下氏のプロパガンダになっていたと。

以前には平松邦夫大阪市長(当時)が事前に「番組には出られません」と言っているのに、「平松市長対橋下知事(当時)という討論を生放送でやる」と局側が一方的に発表し、あたかも本番で平松さんが敵前逃亡したように放送したこともあった。このことは当時の裏方は皆、知っていますよ。

そもそも僕は橋下氏に政治家の資質はないと思っていて。弁護士の交渉術について書いた著作の中で、「嘘をつくのは当たり前だ」とか「政治家と弁護士は嘘つきじゃないと駄目」みたいなことを平然と書いている。

映画『教育と愛国』の監督の斉加尚代さんが記者時代に橋下氏に質問をして、恫喝、罵倒されたのは有名ですが、論点のすり替えがひどい。本来、あんな人を政治家にしてはいけないんですよ。

「今の読売新聞はひどいなんてもんじゃない」

――大阪のテレビ局の萎縮はさらにひどくなっていると感じますか。

橋下氏の長年にわたる「アメと鞭」で萎縮してしまっていますし、一方で出演者のモラルの低下もひどい。

ABC(朝日放送)のアナウンサーなんて番組で「すべての野党が反論しかしていなくて、政策を進めようとしないということは僕はおかしいと思う」って、はっきり言いますからね。局のアナウンサーがですよ。

かと思えば、『正義のミカタ』という番組では今や、ほんこんさんが政治のご意見番ですからね。こういうことを関連会社の朝日新聞が許している理由がさっぱり分からないですよ。

――MBS(毎日放送)も正月のトークバラエティ番組に維新の橋下氏、松井氏、吉村氏の3人を揃って出演させて、BPOから「政治的公平性を損なうおそれがある」と厳しく指摘されました。

あれを見て異常さが分からない人はおかしいと思いますよ。あの3人がやってきて、アナウンサーもいて、みんな盛り上がっているんですから。どうかしてますよ。

――5月30日には、「(松井市長の過去の疑惑をまとめた他人のYouTube動画をリツイートして)SNSで名誉を毀損された」とする松井市長との民事訴訟も始まりましたが、自身に対する報道についてもバイアスや悪意を感じることはありますか。

読売新聞が大阪府と包括連携協定を取った時に、OBの大谷昭宏さんが「読売新聞は死んだ」と発言されましたが、今の読売はひどいなんてもんじゃないですよ。

5月30日に僕が口頭弁論で大阪地裁に行ったら、読売新聞の記者ももちろん来ていて、何枚か写真を撮られました。ところが、紙面にするときはその写真を使わずに、あえて過去の僕の顔色の悪い、ひどい写真を選んで使っている。そんなことやって恥ずかしくないのかと思いますね。

松井市長の“電飾決算”を明らかにしていきたい

――今回、松井市長の過去の疑惑をまとめた他人のYouTube動画をリツイートしたことで訴えられたわけですが、博士はこれを「スラップ訴訟」だとして、当選した際にはこれを禁ずる法案を作りたいと。

橋下氏も吉村氏も弁護士出身なので、これまでもスラップ訴訟を乱発していますが、権力者の私人に対する口封じやイジメをなくさないといけない。これは「反松井一郎法」と名付けてもいい。

裁判といえば6月3日にDHCテレビの『ニュース女子』問題(※)で東京高裁の判決が出ました。実はこの番組も『たかじんNOマネー』と同じ制作会社が関わっているんですが、テレビ局はほとんど報道しないから、この判決のことなんて誰も知らないですよね。

結局、裁判が長期化して、ブラックボックス化したら、それ自体がなかったことになってしまうんです。これは裁判制度の問題ですよ。だから僕は今回、担当弁護士の米山隆一さんに「俺自身はブラックボックス化しないからしゃべります」と言ったら、米山さんは「あなたがやりたいんだったらしょうがないけど、負ける確率は高まりますよ」と。

――しゃべることによって負ける確率が高まると。

裁判官に形成される心証というのは、騒ぐことによって悪くなるんだと。よく「係争中なのでコメントは控えさせていただきます」って聞くじゃないですか。あれは皆、裁判官の心証をよくするためにやっているんだそうです。

――つまりは印象論だと。

まさにそうです。でも負ける確率が高くなっても僕は本当のことを発信したい。芸人としての僕は偽悪の仮面をかぶっていますが、本当は真っ当な正義が好きなんです。だから維新とは徹底的に戦っていきますし、メディアがほとんど追及しない不正を暴いていきますよ。

例えば、大阪市は新型コロナウイルスの感染者情報共有システムへの入力作業を外部の業者に委託する際、契約書なしで約1億円の発注を口頭でやっている。松井市長は会見で「忙しくて先送りにしていた」と言っていますが、こんなの普通の企業なら絶対アウトでしょう。

さらに松井市長でいえば私用でスパに行くのに公用車を使い、電飾企業をファミリービジネスでやっている。通天閣をはじめとして大阪の電飾ってものすごいじゃないですか。僕はこの“電飾決算”も開示請求しようと思ってます。

後編に続く

取材・構成/木村元彦 撮影/苅部太郎

※2017年1月に東京MXテレビで放送された番組『ニュース女子』では、沖縄県の米軍ヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設反対運動の参加者を「テロリスト」などと表現。市民団体共同代表の辛淑玉(シン・スゴ)さんが、それを煽り、経済的に支援しているかのように伝えていた。これに対して辛さんが、制作会社のDHCテレビジョンなどに1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は6月3日、制作会社に対して550万円の支払いとウェブサイトへの謝罪文の掲載を命じた1審・東京地裁判決(2021年9月)を支持し、同社側の控訴を棄却した。同番組を巡っては、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会が18年3月、辛さんへの人権侵害を認定。東京MXテレビが同年7月に謝罪していた。

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