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「石破新総裁誕生」の立役者となった”もうひとりのキングメーカー”とは? 決選投票「大逆転」の舞台裏

集英社オンライン / 2024年9月27日 20時8分

9月27日に行われた自民党総裁選は、1回目の投票で2位に甘んじた石破茂元幹事長が、逆転で当選した。序盤は「進次郎の圧勝まである」といわれ、終盤は「高市が猛追」といわれた今回の総裁だが、最後に笑ったのは石破氏だった。その背後ではやはり“派閥ボス”たちがうごめいていて…

【写真】総裁選「影の勝利者」といわれるのはこの人

逆転を狙った麻生氏の「一手」

結局はキングメーカーの座を争う“派閥ボス”たちの意向がモノを言う総裁選だった。

9月27日に行われた自民総裁選は石破茂元幹事長が当選した。

石破氏は1回目投票で、181票を集めてトップになった高市早苗経済安全保障相に次ぐ2位(154票)に甘んじたものの、決選投票では議員票を143票も積み増して高市氏に逆転勝利、第102代総理大臣に就くことが確定的となった。

この逆転劇をもたらしたのは水面下での派閥ボスらによるめまぐるしい攻防戦があった。まずは唯一、派閥を維持している麻生派の麻生太郎副総裁。

麻生氏の狙いは次期首相を自らの手で誕生させ、総裁選後も自民党内で主流派の地位に留まり、影響力を維持すること。

「ただ、麻生派として推していた河野太郎デジタル相、上川陽子外相ともに支持が増えず、決戦投票に残れない見込みとなった。

一方でキングメーカー争いをする菅義偉元首相は関係のよい石破氏、小泉進一郎元環境相が決選投票に駒を進める可能性が大で、どちらが当選してもいい左うちわ状態。

このままでは手駒切れの麻生氏は非主流派に転落するだけでなく、84歳という年齢を考えれば、政界引退も迫られかねない崖っぷち状態にありました」(全国紙政治部デスク)

そこで打ち出したのが河野、上川支持を見合わせ、1回目の投票から麻生派として決選投票に残りそうな高市氏に票を集めて、チーム菅に対抗するという作戦だった。

「麻生氏が高市支持に回り、茂木派にも同調を呼びかけたという情報が自民党内に飛び交ったのは総裁選2日前の9月25日夜半のこと。

総裁選当日、1回目投票で直前まで議員票は35票ほどと目されていた高市氏が72票も集めて総裁選会場がどよめきましたが、この異様な票の積み増しは麻生派、茂木派、さらには勝ち馬に乗ろうとする約45票の浮動票からの得票があったから。

実際、54人もいる麻生派が推す河野氏の得票は22票にすぎなかった。麻生氏の呼びかけを受け、かなりの麻生グループ票が高市氏へと流れたと考えるべきでしょう」(前同)

ただし、結果は石破陣営の大逆転。当選のあいさつをする石破氏を見つめる麻生氏が苦虫を嚙み潰したような表情だったことは言うまでもない。

高笑いが止まらない岸田派 

対照的に会心の表情だったのが、麻生、菅両氏とキングメーカーを争う岸田首相だった。

総裁選前日の26日午後、岸田グループ内にこんな首相の支持が飛び交ったのだ。岸田派国会議員秘書がこう証言する。

「決戦投票で岸田グループとしてどのような投票行動をとるのか、アメリカからの外遊帰国後も音沙汰なしだった岸田首相が突然、だれであろうと1回目投票で1位になった候補に岸田グループとして投票をしようとの呼びかけがあったんです」

この指呼びかけの意味することは「事実上の石破氏への投票指示だった」と指摘するのは前出の政治部デスクだ。

「党員の投票も反映される1回目投票こそ民意であり、それを尊重して決選投票では1位候補に投票することになったというのが、岸田首相周辺の説明でした。

この言い分なら岸田グループが派閥による数字合わせに動いたという批判を浴びずにすむ。

ただ、その時点ではだれもが1回目投票では地方人気の高い石破氏がトップに立つと考えていた。つまり、1位候補に投票せよという呼びかけはイコール”石破に投票せよ”という指示なんです」

その真意を汲んだ岸田グループ議員は、1回目投票で予想を覆して高市氏が1位になるというサプライズにも動じず、石破候補に票を投じたと見られる。

「靖国参拝継続、対中国外交の強硬路線化など、高市さんの政策は自民内でも最右派。

その高市さんが首相では穏健保守層などが離反し、総選挙は戦えないというのが岸田首相の持論。対中関係を重視する公明党も高市政権誕生には消極的だった。

そこに直前の岸田首相の指示で決戦投票では岸田グループは結束して石破支持に回った。それが石破氏の議員票143票積み増しとなって現れ、決戦投票での大逆転につながったというわけです。

これで岸田グループの主流派入りは決まった。石破新政権では岸田派は閣僚ポストや党人事でかなりのポストを得られるのではと期待しています」(前同)

岸田派は高笑いが止まらないのではないか?

進次郎氏は「官房長官」か「幹事長」? 

それではもう一人のドン、菅元首相の動きはどうだったのか? 政治ジャーナリストがこう解説する。

「これは既定路線通りです。まずは進次郎氏を全力で推し、決選投票に残れなかった場合は関係の良好な石破推しに切り替えるというのが菅元首相の作戦。実際、決選投票では小泉陣営に投票した75人の国会議員のうち、かなりの部分がそのまま横滑りで石破氏に投票したと見ています」

じつは石破氏は7月1日に二階派の大番頭である武田良太元総務相を交え、菅元首相と都内のホテルで食事をしている。

「その時、総裁選での支援を求める石破氏に対して、菅元首相は『今回は同じ神奈川県選出の進次郎を推す。ただし、それはあくまでも神奈川県連として推すということ』と伝えたと聞いています。

その意味することは個人としては石破支援もありうるということ。石破氏も小泉氏が決戦投票に進めず、神奈川県連で推すという縛りがなくなれば、菅元首相は2回目投票では自分の支援に回ってくれるという手ごたえを感じたはずです」

永田町では菅・小泉陣営が石破当選に貢献したことから、組閣後に小泉氏が官房長官、または党幹事長に就任するのではという観測が早くも浮上するほどだ。

まぎれもなく菅・小泉連合軍は新政権で勝ち組に残ったと言えるだろう。

とはいえ、裏金問題など、自民党への怒りはまだまだ大きい。

党再生に向けて派閥を解消したとアピールしておきながら、実際には決戦投票直前に派閥ボスたちがキングメーカーの座を賭けて水面下で数字合わせに走っていたとわかれば、次の総選挙で自民は有権者にそっぽを向かれ、敗北することになるかもしれない。

次期衆院選は年内、早ければ11月初旬にも行われる見込みだ。

取材・文/集英社オンラインニュース班
 

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