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ネットでの誹謗中傷から身を守るために知っておきたい対処法

集英社オンライン / 2022年8月4日 13時1分

親には聞けない、親も話しづらい。10代が抱えるさまざまな問題について、犯罪学教室のかなえ先生がガツンと答える『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』(フォレスト出版)から一部抜粋・再構成してお届けする。

SNSなんてしないほうが精神的にラク

学校で長期休暇前にプリントや口頭で、SNSやインターネットの利用に関する注意喚起を受けたことがある人は多いかもしれません。私もギリギリその世代です。実際、トラブルに巻き込まれることを防ぐために、「SNSやインターネットは危険」と教えたり、そもそも利用を制限したり、禁止したりする学校も多いはずです。

警察庁「令和2年における少年非行、児童虐待及び子どもの性被害の状況」を基に作成


私が生徒の立場であれば余計なお世話と思うでしょうが、今の立場からだと、インターネットは別として、家族など信頼できる限られた関係の中から少しずつ関係を広げていくような使い方がベストだと考えます。

ネット上での「人づきあい」がわかっていない状態のまま、急速につながりを増やすことは、やはりリスクしかないでしょう。本当に信頼している人にしか、アカウントを教えないなど、ルールを事前に決めておくといいかもしれません。

たとえば、友だちの悪口を目にしたことはありませんか? 心がザワつきますよね。

仮にクラスメイトからSNSのアカウントを聞かれても、「持ってない」「親にダメだと言われている」「あんまり見ないから無視しちゃうかも」などと言って、一定の距離感を保って接するのは、大人なカッコいいコミュニケーション術です。もちろん、こんなふうに「自分は自分、他人は他人」と割り切るのはとても難しいでしょうが……。

「やるな」と言っても、どうせやるのなら

とはいえ、「やるな」と言っても、どうせやるでしょう。大人だってスマホを片手にSNSやゲーム、ユーチューブに夢中になっているのだから、子どもにそれを制限させるのは無理な話です。

たいていの人は、いくら学校や親が注意しようと、誰も見ていなかったり、仲間同士であれば、スマホをポチポチするはずです。だったら本当に教えなければいけないのは、「正しい利用方法」や「対処法」です。

インターネットやSNSは、何気なく使っていることが多いからこそ、自分が被害者になるケースだけでなく、ちょっとしたことで加害者になってしまうこともあります。

特に、リスクや対処法について、犯罪学の力を借りて、みなさんと正しい利用方法について理解を深めていきたいと思います。

■ネットで誹謗中傷する人って?

次のような経験やこんな場面を目撃したことはないですか。

●普段温厚な人が、ネットだと言動が攻撃的になる。
●自分の投稿に知らない人から、突然タメ口の不快なメッセージが届いた。
●タイムラインに回ってきた知らない人の投稿に、「消えろ」や「死ね」のようなふだん使わない言葉を使って書き込んでしまった。
●友人に好意的な返信を送ったつもりが、文章を省略したせいで意図がはっきりと伝わらず、逆に友人を怒らせてしまい、口論になってしまった。

このように、人々が気軽に文字を通して意見交換や情報発信が簡単にできるようになった結果、SNSやネット掲示板ではしばしば互いが感情的になり、ときには攻撃的な言葉を用いてやり取りをしている場面を目撃する機会が増えてきました。

しかし、ネット上で交わされる攻撃的な書き込みの多くは、対面の場面ではあまり使われない言葉です。ここで1つ疑問が生まれてきます。

どうして、顔を合わせている場面だととうてい出てこないような攻撃的な言葉が、オンライン上のコミュニケーションの中ではたびたび見られるのでしょうか。

それを理解しないままでは、インターネットやSNSでうっかりトラブルを起こしてしまうかもしれません。

「言葉」だけのやりとりは誤解を生む

まず、顔を合わせている状況を想像してみてください。

ふだん顔を合わせている場面では、直接口にしている言葉だけではなく、表情や声色、身振り手振りなどの情報もコミュニケーションに活用しています。そのため、話し手の意図と受け手の解釈が大きくズレることは、ほとんどありません。

笑顔から飛び出た「やばい」という言葉にはポジティブな意味も感じられますが、今にも泣きそうな顔でポツリともれた「やばい」にはネガティブな印象しか受けないですよね。このように表情や声色などの非言語的な情報(言葉以外の情報)には、話し手の意図と受け手の解釈のズレを防ぐ機能があるのです。

そして、この機能のおかげで私たちは円滑にコミュニケーションができます。しかし、SNSやインターネット掲示板上の書き込みではどうでしょうか。

表情も声色も身振り手振りも見えません。相手がどんな属性を持つ人かもわからないことも多いのです。このように非言語的な情報が欠落している場合、コミュニケーションの受け手は発信者(話し手)が意図していなかった方向に書き込みを解釈してしまう可能性が高まります。

その結果、双方の間で認識のズレ、摩擦が発生し、大きな揉め事の火種となることがあるのです。大人もビジネスにおいてメールやSNSを使うことがありますが、ネガティブな内容(謝罪・注意・催促……)などを伝えなければならない場合、メールではなく、極力電話で伝えるという人もいます(謝罪の場合は会いに行くというのが、一番誠意が伝わると考えている人が多いですよね)。

文字だけで伝えた場合、相手は送信者の言葉を数割増しくらいに強く感じてしまうもので、それがきっかけで不信感を持たれたり、怒りを買ったりして、新たに大きなトラブルに発展してしまうかもしれないからです。

オンラインでは他人と打ち解けやすい一方で…

高度にオンラインコミュニケーションが発展した現代では、コミュニケーションの往復の回数が劇的に増えた一方、発信内容を熟慮する時間が確保できないまま、メッセージを返信してしまうことが多くなった気がする人もいるのではないでしょうか。

また、匿名の世界における責任感の低下や、相手から直接仕返しを受けることはないという間違った安心感から、より攻撃的な言動が現れやすくなったと思う人もいるでしょう。

研究によると、私たちはインターネットで他者と対話する場面では、リアルだったら言わないようなことでも、言葉にしやすくなってしまうそうです。たとえば、初対面でもタメ口で相手に話しかけることや、躊躇なくからかいの言葉を書き込んだりすることは、顔を合わせて対話する場面ではめったに見られないですよね。

しかし、ネット掲示板やSNSでは、当たり前のように見られます。

このように、ネット上のコミュニケーションは、現実世界における対面場面のコミュニケーションよりも、距離も近くなってしまい、ついつい礼を欠いたふるまいをしてしまうことがあるのです(オンライン脱抑制効果)。

『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』(フォレスト出版)

犯罪学教室のかなえ先生

2022年7月21日

1540円(税込)

単行本(ソフトカバー) ‏240ページ

ISBN:

978-4866801735

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