市民の常識が反映されていない?問題が山積みの裁判員制度

週プレNEWS / 2012年6月6日 17時0分

6月2日、裁判員制度のあり方を問う市民集会が都内で開かれ、裁判員経験者や弁護士、映画監督の周防正行氏らが出席、「守秘義務の緩和」や「第三者期間による検証」などが提案された。

施行から3年たった今、裁判員制度に各所から見直しの声が挙がっている。裁判員裁判では、裁判員の負担をなるべく減らすため、「3、4日で審理が終わるスケジュールを組む」「頻繁に休憩を入れて、裁判官がレクチャーする」「刑罰には幅があるため、裁判員が悩まないよう量刑表(過去の類似事件の裁判で職業裁判官がどのような量刑を下したかを記載したもの)という“アンチョコ”も用意する」などの配慮がある。

だが、こうした裁判員ばかりに気を使う措置に対し、『裁判員制度はいらない』(講談社プラスアルファ文庫)の著者である高山俊吉弁護士は、「審理を尽くして真実を明らかにするのが刑事裁判。しかし、裁判員制度では真実の究明はどんどん後景に退き、とにかく証拠をできるだけ圧縮して、審理を迅速に進めて結論を出すことだけが優先されています」と批判する。

しかし、そんな最高裁の思惑とは裏腹に、裁判員裁判は長期化する傾向にある。裁判所が事件を受理してから判決が出るまでの期間は、平均8.5ヵ月(制度施行から今年3月末まで)。職業裁判官だけの裁判の6.8ヵ月(2006~2008年の平均)より、ひと月以上も長くなっているのだ。

裁判員裁判では、争点や証拠などを“素人”である裁判員が理解しやすいように絞り込む「公判前整理手続」がある(平均5.7ヵ月)。裁判が長期化する理由は、この段階で、弁護側が被告人に有利な証拠採用や審理計画にしてもらおうと粘り強く主張し、一方、検察側はこれに抵抗するようになったからだという。

そもそもの目的だった「市民の常識の反映」も危うい。元裁判官の井上薫弁護士が語る。

「強姦致傷罪など、一部の罪状では量刑が重くなる傾向にありますが、全体的に見ると劇的な変化があるわけではない。量刑表を使うため、裁判員が過去の“相場”に影響されているからでしょう。また、従来の限りなく100%に近い有罪率が特に下がっているわけでもない。これでは単なる従来の裁判の踏襲にすぎず、わざわざ市民を裁判に参加させる必要はありません」

問題が山積みの裁判員裁判。今一度、制度の是非を議論する必要に迫られている。

(取材/西島博之)



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