自民党の「国土強靱化計画」に消費税増税分が飲み込まれる?

週プレNEWS / 2012年7月18日 14時0分

二階俊博・元経済産業大臣を筆頭に、町村信孝・元官房長官、武部勤・元農林水産大臣らが中心となった自由民主党のグループが、約半年前から推進してきた「国土強靭化計画」。これは、10年間で200兆円規模もの公共事業への投資をもくろむものだ。

昨年の10月27日に作成されたレポートには、<200兆円の財政出動がデフレ脱却・経済成長をもたらし、強靱な日本経済をつくり上げる>と明確に記載されている。

だが、6月4日に自民党が国会に提出した「国土強靱化基本法案」では、当初<3年間で30兆円を投資>となっていた文面が自民・民主・公明の3党合意を経た今、<15兆円を追加投資>(自民党のホームページ上)と半額になっている。

この変化は何を意味するのか。国土交通省のキャリア官僚、T氏はこう解説する。

「一見、30兆円から15兆円へと投資額を半減させたかに見えますよね。でも、実は逆なんですよ。<3年間で30兆円を投資>とは、文字どおり1年当たり10兆円ずつという意味です。民主党政権になってからは“コンクリート系”の公共投資はほとんどカットされていたので、半年前の時点では年に10兆円ずつでも十分だった。一方、3党合意後の<3年間で15兆円追加投資>とは、15兆円を上乗せで追加投資するという意味なんです」

ここにも、書き方を曖昧にして拡大解釈させる“霞ヶ関文学”が潜んでいたのだ。T氏が続ける。

「問題は、何に上乗せするのかです。これはおそらく、例年の公共投資額にさらに15兆円追加するという意味です。例年とはいつを指すのかは書いてないので、最近の額なのか、バブル期の額なのか、ここ20年くらいを平均化して算出するのかはわかりません。例えば自民党の麻生政権時代、平成20年の政府建設投資額は約17兆円です。それに15兆円を追加すると約32兆円となる。つまり、3党合意前の額の3倍以上に増える計算になります。民主党が予想以上に弱体化したため、勢いづいて上方修正したのでしょう」

財務省の試算によると、消費税を5パーセント上げると、その増収額は約13兆円。しかし、自民党が公共事業でバラまこうとしている金額は、増収分の2倍以上にも当たる。つまり、増税した上に、赤字国債まで発行するつもりということだ。これでは「社会保障制度を維持するための消費税増税」というお題目は影も形も見えない。

たった3年弱ほど利権から離れただけで、まるで禁断症状の出た麻薬中毒者のごとく票とカネと権力への執着が倍加している自民党。マニフェストにない消費税増税を実現するために、マニフェストに書いてある政策をバンバン捨てる民主党。われわれにとって、どちらも信用に足らない存在であることは確かだ。

(取材・文/菅沼 慶)



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