セルジオ越後の一蹴両断! 第266回「Jリーグの“地盤沈下”が心配だ」

週プレNEWS / 2012年7月19日 15時0分

外国人選手まで引き抜かれるJリーグの地盤沈下が心配だ!

夏も新たな日本人選手がヨーロッパに挑戦する。ともに五輪代表の中心選手ですでにA代表にも定着している清武(ニュルンベルク)と酒井宏(ハノーファー)だ。ポジションも違うし、求められるものは違うけど、ふたりとも最初から十分にやれるんじゃないかな。いや、やってもらわないと困る。彼らが移籍したのはビッグクラブではない。仮にもA代表の常連なのだから、試合に出たり出なかったりでは話にならない。レギュラーの座を奪って、コンスタントに試合に出るのは最低限のノルマだよ。

問題は、そこから香川(マンチェスター・U)のようにステップアップできるか。それができればA代表でもレギュラーになれるし、日本サッカー全体のレベルアップにもつながる。清武のライバルは香川や本田(CSKAモスクワ)や岡崎(シュツットガルト)であり、酒井宏のライバルは内田(シャルケ)だということ。期待しているからこそ、そこは強く意識してほしいね。

今回の彼らの移籍に際しては、ともに1億円程度の移籍金が発生したという。ここ最近の日本人選手の海外移籍は契約期限切れでのゼロ円移籍が大半、移籍金が発生しても数千万円程度だったことを考えれば、一定の進歩といえる。

ただ、それでも世界の相場を考えたら、まだまだ安いよね。ドイツのクラブにとっても、リスクの少ない投資で香川のように大化けしてくれれば儲けものぐらいの感覚なんじゃないかな。

一定水準以上の海外クラブで活躍する日本人選手が増えるのは歓迎すべきことだけど、有望な若手を決して高額とはいえない移籍金で次々と放出してしまうJリーグの現状は心配だ。

日本人選手だけじゃない。先日、大宮のブラジル人FWラファエルがブラジルのクラブに、同じく大宮の韓国代表DFキム・ヨングォンが中国のクラブに引き抜かれた。オイルマネーを持つ中東勢ならともかく、ブラジルや中国のクラブに選手を引き抜かれるなんて、以前では考えられなかった。まさにJリーグの“地盤沈下”を象徴する出来事だよ。

活躍しても年俸は大して上がらない。だから出ていく選手は増える。当然だよね。海外のスター選手も来なくなった。アジアチャンピオンズリーグでも勝てなくなった。有望な高校生が大学進学を選ぶケースも増えている。これからは宮市(アーセナル)のようにJリーグを経由せずに海外を目指す選手も増えるだろう。そんな状態では、世間に魅力をアピールしようとしても、なかなか難しいよね。

実際、日本代表が試合をすればテレビ、新聞が大々的に取り上げるけど、一方でJリーグのメディア露出は年々減っている。今の首位が仙台だということをどれだけの人が知っているか。サッカー専門誌ですらJリーグの特集号が売れなくなったと聞く。

東日本大震災の影響を受けた昨季、J1の1試合平均観客動員はその前年の1万8428人から1万5797人まで落ち込んだ。今季はここまで1万6000人台と持ち直しているけど、震災前の数字に戻すのは無理だろう。

言うまでもなく、日本サッカーのレベルをもっと上げるためにはJリーグの発展が不可欠。だからこそ、僕は厳しい現実から目を背けず、危機感を持って指摘していくつもりだ。

(構成/渡辺達也)



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