米海軍特殊部隊<ネイビーシールズ>現役少佐が「国家機密」を語り尽くす

週プレNEWS / 2012年7月19日 13時0分

米海軍特殊部隊に所属するローク少佐。常に冷静沈着な受け答えに、修羅場をくぐり抜けてきた凄みが感じられる

あのビン・ラディンを暗殺する秘密作戦を担当した米海軍特殊部隊・ネイビーシールズ。その隊員は普段絶対にマスコミ取材を受けず、決して素顔や名前をさらさない。そんなシールズの現役少佐が、週プレのインタビューに応じるという。なんでだ?ってことで、華麗に突撃取材を敢行!

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■4、5mの距離から銃撃戦で敵を掃討

―本日、実戦経験のある現役のネイビーシールズ隊員がなんでも話してくれると聞き、飛んでまいりました。まず、ビン・ラディンをブッ殺した「ジェロニモ作戦」について聞きたいであります。あれは普通なら陸軍所属の特殊部隊、デルタフォースの出番だと思うのですが……

少佐 作戦を与えられるかどうかは、タイミングや運次第だよ。

―でも、ソマリアの海賊掃討作戦もシールズでしたよね。デルタより優れているからこそ、実行部隊に選ばれるのではないですか?

少佐 そういうことではない。デルタは疑問の余地のない素晴らしい能力を持つ特殊部隊だ。ただ、上層部はシールズの過去の実績やほかにはない能力、危険を顧みない点などを買っているのだろう。

―ビン・ラディンの暗殺は無人攻撃機プレデターからの対戦車ミサイルや精密誘導爆弾でも可能でしたよね。なぜ、シールズが現場に潜入する方法を取ったのでありますか?

少佐 狙った獲物が本人だと確認できていれば、プレデターでの攻撃は非常に効果的だ。しかし、周囲に民間人もいる場合は人間の目で確かめるほかはない。われわれは、敵のように「民間人もろとも」といった作戦は取りたくないのだ。標的だけを確認して攻撃できるのはシールズだ。

―プレデターよりすごいぞ、と。

少佐 敵に関して確実な情報があり、即座に動かなければならないようなときはプレデターのスピードが役に立つがな。

―少佐殿が体験した実戦話を少し聞かせてほしいであります。

少佐 そうだな……。2006年にイラクに最初に派遣されたんだが、最も危険な時期だった。ちょうど周囲が敵の武装勢力だらけの場所に海兵隊が小さな陣地を設営したんだ。毎日、15発や20発の迫撃砲がブチ込まれてにぎやかだったよ(笑)。そこで、そいつらを掃討するために私のチームが呼ばれた。

―厄介そうですな……。

少佐 敵はピックアップトラックの荷台に迫撃砲を搭載し、撃ったらすぐに離脱する戦法だった。ならばと、われわれは夜中に基地から出撃して2週間監視し、敵の行動パターンが見えてきたところで狙撃手を含めたチームを編成した。そして発射地点で敵を待ち伏せし、数人を狙撃で無力化して一気に叩き潰したのさ。

―シールズ、最強であります! 近接戦闘はないでありますか?

少佐 4名の武装勢力が靴に見せかけたIED(即製爆弾)を道に仕掛けようとしていたんだ。われわれは草むらに身を隠して接近した。4人の敵のうち、ひとりはAK自動小銃、ひとりはPKM機関銃を持っていた。敵との距離は4、5mで銃撃戦となったが、私のM4カービンが火を噴き、無事に敵を掃討した。危ない銃撃戦だった。

―はぁ~。そんな戦闘中、少佐は「もうダメだ」と思ったことはないでありますか?

少佐 一度もない。私がシールズの選抜訓練を受けた際、残ったのは190名中22名だった。なぜ、それほど訓練がキツいかわかるかね?

―わからないであります!

少佐 いかなる状況に直面しても決してあきらめない鋼鉄の意志をつくり上げるためだ。戦場では道路際にIED、建物の陰に敵の狙撃手、武装勢力はそこらじゅうにいる。戦闘は日常茶飯事で、一瞬たりとも気が抜けない。だが、シールズ隊員は絶対に逃げない。



■世界中が同意できる正義など存在しない

―1987年、日本人で元・米陸軍特殊部隊・グリーンベレーの三島瑞穂(みずほ)軍曹は「特殊部隊隊員は『サイレントプロフェッショナル(沈黙のプロ)』であり、墓場まで秘密を持っていく」とおっしゃっていました。しかし今回、映画『ネイビーシールズ』ではすべて本物、それも現役の隊員が出演しています。なぜでありますか?

少佐 人類の歴史は、もう何も隠すことができないところまできている。われわれの作戦も瞬時に世界中で報道される。政治家や軍人はマスコミの目から逃れられない。だから、そろそろわれわれの本当の姿を見せてもいいと思った。スーパーヒーローではなく、「静かに任務をこなす男たち」としてね。もちろん、敵を利する戦術面の情報は一切出していないが。

―演技はうまくいきましたか?

少佐 演技などしていないよ。いつもどおりのことをしただけだ。

―ランボーのように、叫びながら機関銃を撃つシーンはナシでありますか?

少佐 黙って撃つ。叫んでも銃声が大きくて聞こえないだろ?(笑)

―あっ、そうでありますね。では、最後にドカーンと爆発するアクション映画っぽいのは?

少佐 それはアリだ(笑)。監督が、敵のトラックをある武器で撃って爆発させてほしいと言ってきた。私は実戦でその武器でトラックを撃ったことがあったんだが、窓も壊せなかったよ。だから、対戦車ロケット弾・M72LAWを使えば爆発すると教えてやったんだ(笑)。

―少佐は37歳とのことですが、今の20代の若者に何か言ってやりたいことはないでありますか?

少佐 今の若者は自分のことばかり考えている。われわれの世代は、自分より他人やチーム、任務のことを考える。個人ではなく、大きなものに所属する喜びを知っているんだ。金儲けのために就職せず軍に入隊したことは、私の人生で最良の選択だと考えているよ。

―日本には憲法上、軍隊は存在しないであります……。

少佐 軍では名誉や誠実さが重視される。だから、信じることのできる何かがある。若者たちがこういう価値観を持つようになれば、世界はよりよい場所になるだろう。

―最後に……少佐にとって正義とはなんですか?

少佐 いきなり哲学的なことを聞いてきたな(笑)。

―哲学的訓練であります(笑)。

少佐 それを考えるのは私の仕事ではない。政治家たちだ。私の仕事は上層部の決定した作戦を遂行することであり、戦場ではそのことに集中するだけだ。アメリカ人として言わせてもらえば、アメリカは世界で可能な限り善を為そうとしている。しかし、世界中が同意できる正義など存在しない。われわれは自らの信じることをやるのみだ。

***

少なくとも日本の政治家は、「正義」について考えなくてもいい。「官僚の幸せ」だけを考えて税金を上げ、原発を動かし、官僚さまによりよい天下り先をつくっていればよいのだ。楽な仕事である。

(取材・文/小峯隆生 協力/河合洋一郎 撮影/五十嵐和博)

●ローク・デンバー(RORKE DENVER)



カリフォルニア州出身。1999年よりネイビーシールズ隊員としてイラクやアフガニスタン、アフリカ、中南米などで任務に就き、数々の賞や勲章を授与される。映画出演後に大尉から少佐に昇進

★米海軍全面協力! ローク少佐の出演する映画『ネイビーシールズ』は東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズほかにて公開中



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