加藤嘉一「約9年半過ごした中国を離れ、アメリカへ渡りました」

週プレNEWS / 2012年9月18日 15時0分

長年暮らした中国を離れ、9月からハーバード大学で米中関係を



研究することになりました。ぼくなりの決意をここに表明します。

突然ですが、ご報告です。

ぼくは先日、約9年半時を過ごした中国を離れ、アメリカへ渡りました。ハーバード大学ケネディスクール(公共政策大学院)のフェローとして、米中関係を研究することになります。日本が入らないことは若干不本意ですが、そこに日本人がいるということ自体が発信力につながると思うので、きっちりと存在感を示していきたいです。

これまで築いてきた実績や人脈を考えれば、今後も中国で自分が望むような活動をしていくことは可能だったでしょう。しかし、同じことを同じ場所で10年以上やってはいけないという確固たる信念がぼくにはある。ドラスティックな変化こそが人を向上させ、新たな可能性の扉を開くと信じています。

北京へ単身で渡った18歳の頃を思い出します。未知への期待と、底なしの不安。心と体は高揚感で満ちている。10年前がゼロからのスタートだったとすれば、今回はイチからといったところ。そこには、少しだけ成長した自分がいるのかもしれない。新たな戦場にどう挑んで結果を出していくのか、独特の緊張感に包まれています。

ハーバード大学があるボストンのケンブリッジは、静かに研究するには素晴らしい環境ですし、チャールズ河のほとりはランニングにも最適です。研究とラン、中国ではなかなか十分に時間とエネルギーを割いてあげられなかったこのふたつのイシューに真剣に取り組んでいきたいです。

行き先がハーバード大学になったのはたまたまです。アメリカの大学をそんなに知っているわけではないですし、人生の諸先輩方と相談しながら、結果的にここに落ち着きました。大事なことはハーバードかどうかではなく、中国を離れることでした。アメリカに行くことでした。中学生の頃から「いずれはアメリカで勝負したい」と考えていたし、中国で活動していても、視線の先には常にアメリカがあった。

影響力の低下が指摘されて久しいとはいえ、国際政治は依然としてアメリカを中心に動いています。アメリカの政治や社会、アイデンティティや文化を知らずして世界は語れないし、日本の未来をどこかに位置づけることもできない。

アメリカに執着する根源的な理由はほかにもあります。それはぼくの内なる“怒り”です。

日本が人類史上初めて被爆国になったこと、そしてその後、現在の日本という特異な国が形成されたこと。そこにアメリカが大きく関与していることはいまさら言うまでもありません。よく言えばアメリカのしたたかさ、悪く言えばあくどさに翻弄され、日本は自ら戦略を持ち、自立する心を失った。骨抜きにされた。そのアメリカの正体を暴きたい。ひとりの日本人としての強い思いがそこにはある。

ぼくはアメリカで学び、研究しながら、現地コミュニティに「一丁かましてやろう」という気持ちでいます。特別なことではありません。中国人に対して中国語で発信してきたように、アメリカ人に英語で発信し、ぼくなりの意見、見解をガツンと示す。弱肉強食の国際社会では相手を力で負かすことでしか真の意味でのリスペクトは得られない。それは経験上わかっています。日本人としてどう戦うかを考えながらも、日本人という立場を超克(ちょうこく)しないといけない。

敵は大きいほど燃えます。これ以上に生きがいを感じられることがあるというなら、逆に教えて!!

今週のひとこと



避けては通れない「アメリカ」。



思い切りぶつかっていきます!

●加藤嘉一(かとう・よしかず)



1984年静岡県生まれ。高校卒業後、単身で北京大学へ留学、同大学国際関係学院修士課程修了。現在はハーバード大学ケネディスクールフェロー。国境を越えて多くの著書を持つ国際コラムニスト。最新刊『脱・中国論 日本人が中国とうまく付き合うための56のテーゼ』(日経BP社)が好評発売中!



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