“スマホ市場ひとり勝ち”でアップルが「ナベツネ巨人化」する?

週プレNEWS / 2012年9月16日 10時0分

9月14日から日本でも予約受付が開始され、21日より販売されるiPhone5。スマホのなかでも圧倒的な人気を誇るだけに、新機種も莫大な売り上げが期待されている。しかし、その陰で“ガラケー”、“ガラスマ”と呼ばれる機種を作り続ける国産メーカーはいっそうの苦境に追い込まれている。

どうして国産メーカーは力をなくしてしまったのか。家電ジャーナリスト、じつはた☆くんだ氏がこう指摘する。

「携帯電話キャリアによる端末の買い取り制度や、巨大量販店による製品の一極集中の寡占販売。そんなぬるま湯の国内市場が、国産メーカーの国際競争力とグローバル化へのやる気をそいでしまいましたね。ガラケー、ガラスマと呼ばれる国産のケータイやスマホでは当たり前の電子マネー、ワンセグといった機能は、iPhoneをはじめとするグローバル機種には存在しない。日本の常識が国産メーカーの世界進出を遅らせ、自身の首を絞めることになったわけです」

そんな国産メーカーを尻目に、iPhoneという世界スタンダードの規格をつくり上げてしまったのがアップル。大手証券会社アナリストのA氏が解説する。

「世界のスマホ市場は、端末販売数ではサムスンが上でも、やはりアップルを中心に動いています。両社の係争の内容を見ても、サムスンが対アップルというコンセプトで製品づくりをしているのは明白。『魚のいる場所に網を打つのが商売の王道』という言葉もあるように、まったく違うコンセプトの製品開発より、細部の差異を強調してアンチアップル派を取り込むほうが話が早いですから」

アップル派もアンチアップル派も、ライバルのサムスンなどAndroid陣営の各メーカーに至るまで、結局はアップルを中心としてスマホの世界は回っている。

しかし、このアップル一極集中化が進むと、いろいろな弊害が出てくる可能性がある。そう語るのは、前出のじつはた氏だ。

「さらに言うなら、サムスンとのガチンコの殴り合いの訴訟合戦が他メーカーのスマホづくりを萎縮させているんです。『マネしたけりゃマネすればいい。俺たちはもっと先に行くから!』というスティーブ・ジョブズが元気だった頃のスマッシュヒットあり、三振ありと自由奔放だった頃のアップルが懐かしいです……。アップルに過度の技術の抱え込みや排他主義は似合わない。現状のiPhone一極集中に拍車がかかるようだと、本当につまらなくなります。まるで、カネに飽かせてホームランバッターを並べ、プロ野球をつまらなくした、かつてのナベツネ巨人みたいなものですよ(笑)」

確かにアップルは、サムスンだけでなく、他メーカーやAndroidの本丸Googleにも特許訴訟を連発している。

「iPhoneにあらずんば、スマホにあらず」――そんなアップルの独占状態がこれ以上に進むと、スマホ業界から「多様性」という魅力を失わせてしまうかもしれない。

(取材・文/近兼拓史)

■週刊プレイボーイ40号「アップル“ひとり勝ち”がスマホをつまらなくする!」より



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